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ネイチャーフィールドnote

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2020年7月の記事一覧

トレイルカメラは見た!第1話 「生きものでにぎわう小さな水たまり」

野生動物は人の気配にとっても敏感で、彼らを撮影するためには、さまざまな工夫が必要です。 近年では「トレイルカメラ」を使って野生動物を撮影するようになりました。トレイル(Trail)とは、痕跡、獣の跡、通り道ーーのような意味を持つ言葉です。その名の通り、動物の痕跡があるような場所にこのカメラを設置すれば、その痕跡の主を、センサーで感知して自動撮影することができます。野外に置きっ放しで24時間、雨の日でも記録・撮影することが可能なカメラです。 赤外線センサーを使用して撮影する

ふじまる虫時間・第3限「トックリバチの巣の内部」

出来上がったトックリバチの巣のその後前回の記事では、ミカドトックリバチの巣作りの様子を紹介しました。今回は、出来上がった巣をどう利用するのか、「キアシトックリバチ」を例にしてご紹介します。 キアシトックリバチの分布は九州、四国、本州で、活動期は6月~10月。体長は10~14mmです。河原などの開けた草地で見かけることが多いハチです。 巣にえさをためこむ母バチキアシトックリバチは、茎や細い枝などに巣を作ることが多く、夏場は、高さ1メートル前後のところに作りますが、越冬用の秋

里山大百科「夏」里山の生物の食物連鎖

自然界には厳しい掟がある。いわゆる食物連鎖と呼ばれるもので、多くの生きものたちは食うか、食われるかの関係にある。 そのバランスは微妙で、一方がある時繁栄していても、その反動により長くは続かない。食物連鎖は生き物すべてのためにある厳しい自然界の掟なのだ。 虫が虫を食べる ▲シオカラトンボの捕食/埼玉県滑川町(撮影・大久保茂徳) シオカラトンボがイチモンジセセリを捕らえた。トンボは肉食で、生きたチョウや同種のトンボなどを捕らえて食べる。 鳥が虫を食べる ▲餌を運ぶオオ

ふじまる虫時間・第2限「トックリバチの巣作り」

トックリバチとは「トックリバチ」とは、スズメバチ上科ドロバチ科トックリバチ属に含まれる単独性の狩りバチの総称です。日本には4種類のトックリバチ(Eumenes)がいます。 今回は、その中の一種、「ミカドトックリバチ」を主にご紹介します。 ミカドトックリバチは、九州から北海道まで分布しているハチです。活動時期は6月~10月。体長は10~15㎜です。 発生する季節によって、模様が変わることが知られています。(季節型と言います)最初の世代は黄班が少なく、次の世代から黄班の多い

里山大百科「夏」さまざまな爬虫類

人の気配を感じてか、水面に波紋を残しながら水中に消えていく黒いかたまり。 音もなく草むらを移動する長い影。 石垣のすき間を出入りするメタリックな体。 爬虫類はその不気味さゆえ、大人にとっては緊張感をもたらす存在だ。大人の過敏な反応に比べると子どもたちは事もなげに、自然に接している。 アオダイショウ ▲アオダイショウ(成蛇)/埼玉県滑川町(撮影・大久保茂徳) 九州以北に生息するヘビでは最大で、2mを越す個体もいる。ネズミや小鳥などを主な餌としていて、木にもよく登る。

となりのアライグマ その2「アライグマが日本で生きていけるのはなぜ?」

▼前回の記事はこちら 日本の野外で生きられるアライグマのナゾペットとして輸入され日本に来たアライグマ。しかしその性格は、見た目とは裏腹に気性が荒く、おおよそペット向きとは言えません。野に放たれたアライグマは、今では日本の野外下で繁殖・定着してしまっています。 しかし何故、もともとは北アメリカで生きていたアライグマが、見知らぬ日本にも順応できたのでしょうか? その答えは、アライグマの生活様式と日本の環境にありました。 木登りが大の得意原産地の北アメリカにいる、本来の野生

里山大百科「夏」梅雨~そして夏のはじまり

田んぼに咲いた花菖蒲 ▲ハナショウブ/埼玉県滑川町(撮影・新開孝) しっとりとした梅雨。 モンスーンの贈りものであるこの日本独特の雨季が早苗には欠かせない「恵の水」を大量にもたらす。田んぼの水路には溢れんばかりの水が流れ込み、かたわらでは花菖蒲が多彩な色を競うかのように咲き誇っている。 それは灼熱の夏のプレリュード。

武蔵野の鳥と里山と/7月「巣箱で子育てするシジュウカラ」

「武蔵野の鳥と里山と」は、1999年に刊行された写真集「野に生きる鳥たち~里山の野生~」(武藤健二・著)をWeb用に再編集、加筆したものです。 合歓の咲く頃(1990/7 青梅市) ペンタックス645 165mmF2.8 f8 1/125 RDP 巣箱で子育てするシジュウカラ(1995/7 所沢市上安松) ペンタックス645 75mmF2.8 f16 1/60 RDP ストロボ シジュウカラは、人が設置した巣箱をよく利用する鳥だ。自宅の庭の隅にある樫の木に巣箱を掛け

里山大百科「夏」オオヨシキリの子育て

ヨシ原のオオヨシキリ里山の元気者オオヨシキリがやってくると、アシ原は急に賑やかになる。オオヨシキリのオスが朝早くから日没間ぎわまでひっきりなしに鳴き続けるからだ。 一夫多妻のオオヨシキリのオスはメスへのアピールに懸命なのだろう。やがてアシ原のあちこちでたくさんのヒナが誕生する。 ▲アシ原のオオヨシキリ(上)アシ原のいちばん高いところにとまって鳴くオオヨシキリのオス。「ギョシギョシ・・・」と間断なく鳴いている。 メスに給餌するオス(下)抱卵中のメスにオスが餌を運んできた。

ネフィno編集後記/Digital野鳥記オオヨシキリとホオジロ 動画を4Kで再生する方法

こんにちは。ネフィno編集長、しげゆかです。今回は「Digital野鳥記#004/ヨシ原の歌い手競演!オオヨシキリとホオジロ」の編集後記です。 4回目となるDigital野鳥記の動画、PCからだと4K再生が可能となっています! 今まで公開した動画は、せっかく4Kカメラで撮影した映像も2Kにダウンコンバートした状態で編集・公開していました。すべてはPCのスペックの関係です・・・。 しかし最近PCを新調し(27インチ画面最高!)、4K動画をそのままで編集してみたところ、問題

Digital野鳥記#004/ヨシ原の歌い手競演!オオヨシキリとホオジロ

湿地に広がるヨシ原は鳥たちの楽園。初夏、様々な鳥たちがここで巣を作り、子どもを育てます。歌い手たちも賑やかです。特にオオヨシキリはいたる所でさえずる姿がよく見られます。 同じくヨシ原を含む湿原を好むホオジロは、オオヨシキリよりも目につく数は少ないけれど、さえずりの時間の長さはオオヨシキリに負けてはいません。 とにかくさわがしいほど賑やかなオオヨシキリと、美声でありながらどこか哀愁漂うホオジロの囀り。歌い手たちの競演は初夏のヨシ原の風物詩です。 ヨシ原の主役オオヨシキリ▲

里山大百科・序~日本の里山~

※「里山大百科」のコーナーは、2000年にTBSブリタニカより出版された「里山大百科 いちばん身近な自然の四季」(平野伸明、新開孝、大久保茂徳・著)をWeb用に再編集したものです ▲春の里山(上)/埼玉県嵐山町 カブトムシのオス(下)/埼玉県所沢市 (撮影・新開孝) 里山大百科・序 ▲ハッチョウトンボのオス/新潟県黒川村(撮影・新開孝) 「里山」とは、大自然と人間の暮らしの間にあるいちばん身近な自然のこと。 雑木林、田んぼ、小川、トンボ、カブトムシ・・・日本人なら誰