ハザードマップとマンションについて②
今回はハザードマップとは何ぞや?という基本編をお話しします。こちらはどの地域の方でもある程度は参考になると思います。
それから広域(大阪市内やその近郊)でのマンション選びをする上でのはたけ流のハザードの考え方も記していきます。
前回の①を事前に見ておく必要は特にありません。①は本コラムの総まとめです。先に読みたい方はどうぞ。
ハザードマップとは何でしょう。
もう上記以上のまとめは無いように思いますが、こういう災害が起きたらここまで被害を受けます。有事には○○に逃げてください、という目的で作られたものです。
しかし日本は自然災害が多く、予期せぬ災害が頻繁に起こる一方で、あまり複雑にしすぎると理解できなくなり、あらゆる注意喚起を厳しくしすぎるとオオカミ少年のようになって人々が耳を貸さなくなるなど、マップの作成には大変な困難が付きまとっています。
今ハザードマップが注目されている理由
ところで今ハザードマップが何故、注目を浴びているのでしょうか?
諸説あるかもしれませんが、東日本大震災(2011)で津波による甚大な被害が起きたこと、100年に一度の大災害に耐えられるとされていた構造物でもやられてしまった結果、人命を最優先に確保する目的として避難対策として国や自治体がそのマップの見直し、作成、情報告知に力を入れた、とされています。
補足としてその前後にも台風や豪雨などにより河川からの氾濫、浸水、土砂災害などで甚大な被害を出していました。
特に2018年の西日本豪雨では200人以上の死者・行方不明者が出てしまったことは記憶に新しいです。
この際、住家全壊6758棟、半壊1万878棟、一部破損3917棟、床上浸水8,567棟、床下浸水21913棟の被害は出ました。
またこの2年後の2020にも熊本を中心に甚大な被害が出ました。
こういった経験などを経て、今ハザードマップが注目を浴びています。また、新しく家を建てたり、居住地を選定するうえで考慮される要素の一つとなっています。
ハザードマップには何がある?
ハザードマップで分かる災害には何があるでしょうか?実際に見ていきましょう。こちらのサイトが活用されます。また下記のものは国土交通省が作成したものですが、他に自治体が作成したものもあります。
いったいどんな情報が載っているでしょうか。
・河川浸水洪水(破堤等の河川氾濫・水害・治水)
・土砂災害
・地震災害
・火山防災
・津波浸水・高潮
・避難経路・避難場所
等が載っています。このうち、火山防災、土砂災害は本コラム(マンション、特に大阪市内)とはあまり親和性が高くないので割愛させていただきます。
それぞれ見ていきましょう。マンション選びの上での考え方も記していきます。
※資産価値については今回は触れません。また次回。
・河川浸水洪水(破堤等の河川氾濫・水害・治水)
いわゆる「洪水ハザードマップ」になります。浸水想定区域や○○川が氾濫した場合などの想定、内水氾濫(下水設備の処理が追い付かなくなった場合)の洪水の予想範囲が書かれています。また最も重要な点は「避難計画」になります。
「避難計画」とは、避難場所の想定、そこに行く経路の想定などです。
※ちなみに淀川はスーパー堤防が予定されており、その結果淀川の氾濫による洪水によるハザードマップの色は変更される可能性があります。特に淀川の南北にある区域。
河川浸水洪水のマンション選びにおける考え方
大阪市内は特定地域を除いて、全般的にハザードがかかっている場所が多いです。
ハザードがかかっている場所での低層階は、浸水想定が何メートルなのかよく調べておきましょう。また、あまり低層階すぎると想定になくても実際には水につかる可能性もありますし、高潮など他の災害の影響の可能性もあります。
タワマンであれば、もちろんデベ側もそういったハザード色付きの場所での1階や2階は共用施設にして居住階にしていないことも多いですが、板マンや小規模であればその限りではなく、僕はそういった場所の低層階は選ぶべきではない、と思っています。
逆に言えばハザードの色付きでない場所の低層階や色付きでも4,5階以上であれば命の危機にさらされる危険性は少ないかな、と思います。(絶対ではない。)
しかしあえてギリギリを狙う必要は全くないと思っているので、個人的には虫のこともあるのでたとえハザード色なしでも最低でも10階以上に住みたい、と考えています。この辺はもちろん個人の自由です。
また、たとえタワマンであっても一たびエントランスなど洪水が起きて浸水してしまうと、しばらく「籠城生活」が余儀なくされるので、籠城準備はばっちり済ませておきましょう。
最後にマンションは洪水が起きた場合有利な点として、垂直避難が有効な点にあります。つまり部屋から出る必要がない、もしくは上に逃げればよい、という点で戸建て程は洪水ハザードに関して場所選びに神経質になる必要は無いかな、と思います。
・地震災害
液状化現象が発生する場所、大規模な火災が発生する範囲などです。
液状化現象とは地震の際に地下水位の高い砂地盤が振動により液体状になる現象を言います。
・大規模な火災とは木造住宅密集市街地のような同時多発延焼火災等の起きやすい場所を言います。
・マンション住まいであっても近くに戸建てなどの建築物が密集している場所は良く確認しておいてください。
※地震の際には例えタワーマンションはじめ、マンションが火災に強いとされているとはいえ、都市直下型の地震では確かに電気による火災の危険性が指摘されていますが、このハザードマップにおいての火災とは意味が別物ですので、一旦置いておきます。
地震災害のマンション選びにおける考え方
基本は近くに木造住宅密集市街地があるような場所は救急車やインフラなどとの接続が途絶する可能性があるので注意が要るかもしれません。
液状化に関しては・・・難しいですね。専門家にも知見を募りたいところではありますが、これも気にしすぎてもハゲるだけでは?と思います。
というのも、過去の大震災の事例を見ても、液状化が起きた神戸ポートアイランドや東京の湾岸区域においても、支持杭が押されて建物が倒壊した、という話は聞きません。それよりもスロープの崩壊、水道・ガス・電気などのインフラの途絶が問題となったようです。
大地震が起きた場合はいずれにせよ同様の事は起こりうるわけで、これらもマンションであればそこまで気にする必要は無いように思います。もちろん個人の感想です。
なお、大阪市内においては大半の地域において液状化リスクがあります。
・市内西側は昔海だったことに由来します。つまり砂地だったため、液状化しやすい。
・逆に東は湿地帯であったことに由来します。
・興味深いのは上町台地もスポットによっては液状化リスクがある(逆に上町台地のハザードリスクはあってもこれだけ)という点です。
逆に堺筋から上町台地の間が強いのは謎。なんでだ。
・津波浸水・高潮
最後はこちら。津波や高潮と、洪水との最大の違いは海からの攻撃の有無です。もちろん津波や高潮の結果洪水が起こる可能性もあります。
津波と高潮の違いを貼っておきます。
基本的にマンションであれば、避難に関する概念や方法は洪水に似てはいます。ただ想定の高さの問題があるので、自分の住んでいる階が想定の津波の高さにかかる場合は垂直避難を考慮してください。
津波浸水・高潮のマンション選びにおける考え方
あまり洪水の考え方と変わりません。かなり強い理由が無ければハザードのかかる場所の低層階に住むのは避けるべき、と考えます。
なお、津波・高潮の基本的な考え方と同じであり、ハザードに関して場所選びに神経質になる必要は無い、むしろ気にすべきは階数かな、と思います。
やはり発生するとインフラが途絶しますの、マンションライフにおいて、籠城の準備は必須かと思います。
なお大阪においては津波、高潮のリスクは洪水のリスクと違って市内でも色付きの明暗がはっきり分かれます。
大阪の大動脈「御堂筋線」を境に東西で色付きが分かれます。中之島は色なし。
高潮は大半の地域がかかります。中之島も高潮は色付きに。中央区などでは阪神高速1号線(高麗橋~道頓堀)の東西で分かれます。
※残念ながらスーパー堤防が出来てもこちらの被害は大半の地域で防げない可能性が高いと思われます。
まとめ
まぁ、全体的に言えることは、マンションであればすごく気になる人以外は、ハザードの色に対する居住する階数をしっかり考慮すれば、○○に住んではいけない!なんてのは無いかな、と思います。
それと垂直避難がマンション住まいのスタンダードであればやはり高層階に共用施設のあるマンションであれば、そこに何日間か避難しやすいので強いかな、と思いました。板マンや小規模はここが弱く感じます。まあ個人の感想です。
それより各自、災害時の備え(防災リュックは用意されていますか、家の火災対策は出来ていますか、籠城の準備は出来ていますか、外出時の避難先、連絡先はネットが使用不可でもすぐわかる環境にありますか。)などをしっかり行い、避難訓練など自治体の催しなどにも積極的に参加することが重要かな、と思いました。
今回は防災や安全などに重点を置きましたが、次回はここから一転してハザードマップと資産価値についてなどを語りたいと思います。
ではまた。
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