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武蔵野大学第7期コピーライティングゼミの学生が燕市での2週間のフィールドワークで作成した10篇と、それに続き燕の写真を添えました。


山の頂上で見た景色


命が生まれる音がする
守っていきたいと思った
君と君の腕に包まれた命
想いが募って溢れたんだ

木漏れ日が差し込む山道で
君は俯き座り込んでいた
初めましてだった、何も知らなかった
気づけば僕は声をかけていた

日常から逃げたくなって
もう一度上った、景色を見たくなった
広がる白い世界の中に
あの時の君がいた

心が揺れる音がする
もっと知りたいと思った
景色よりも輝くあなたの姿
想いが募って溢れたんだ


(大矢朱夏)


太陽と月


二人の時間はいつも朝。
 
昼間は騒がしい教室も、
チョークまみれの黒板も
今だけは静かに二人を包み込む。
 
教室の窓から広がる澄み渡った空に
昇っていく太陽と、
ぼんやり浮かぶ月。
 
この時間がずっと続けばいいのに、
山から雲が、夜から星がやってくる。
 
二人だけの空を
二人だけの時間を
ただただ一緒に過ごしたい
今はそれだけ。
 
 
(須永葵)


初恋


この本の何を綴ろうか
カーテンを閉めるように、あなたと語る為の便箋
二人で逃げよう、この世界から
代わりはいらない

新しい便箋が欲しい
想い想われるように、あなたと話す為の便箋
二人で消えよう、この世界から
代わりはいらない

あなたの顔はもう見えない
震える右手でシワをつけた、あなたと笑う為の便箋
二人ではいられない、この世界では
代わりはいらない


(柳沼観月)


何気ない毎日


明るい朝の空 静かな町の朝
犬とのんびり 今日も歩く
十数年経っても 変わらない景色に
穏やかな気持ちで 今日も歩く
暖かい世界 白銀の景色
優しい力に 守られて愛されて
今日も生きていく


(矢賀部はな)


ジェンガ


持ち寄った木材で出来た
少し傾いた記憶
箱庭の中で繰り広がった
物語

絶えてしまった阿吽の呼吸
昨日あなたがいた右側
通り過ぎていく北風が
少し寒い

僅かばかりは
知っていたような気もする
この思いの終点

あなたがアルバムに載るまでに
世界をカラフルにさせて
笑わなくったっていいから
そっと笑っていて
そのままで

あなたとの最新の言葉は
またねだったけれど
どれほど効力のある
言葉だろう

重力に勝とうとして
必死にジャンプしたり
痛む足の回数だけ
笑えていた

いつかきっと
僕はあなたを忘れた僕に
あなたは僕を知らないあなたに
なるとは思うけど

今が昔になる前に
昔を今にさせて
花火の光が照らし出す
写ルンですの中
見れない記憶

あなたがアルバムに載るまでに
世界をカラフルにさせて
わがままだっていいから
優しい嘘だけは
付かないで

あなたがアルバムに載るまでに
世界をカラフルにさせて
笑わなくったっていいから
どうかそっと笑っていて


(布施凌太郎) 


白昼夢な初恋


ふと横目に見えた
雪より白い肌、
光を吸収するような黒髪

そんな彼女に
心の奥で惹かれた

僕の青春は有限なのに
無精な僕は無限

喋ったことのないあの子に
声をかける勇気は
僕には

自己の弱さを理由に
何もすることの
なかった時間

決してなにも
おきることはなかった


(斉藤 奨)


お鍋の内話


思い出がふつふつと蘇る
母と僕とお鍋の話
その手にグツグツ溢れんばかりの気持ち
彼女と僕とお鍋の話
今も昔もこれからもコトコト人を温める
僕と家族とお鍋の話


(大竹真維)


雪を食む十日


生まれてから、
今まですべて
君との出会いのため、
そしてこれからも、
私の人生も君のため。

生まれ変わるまでには
遠く時間がかかりますが、
今から祈りましょう!
出会い方が最悪でも、
まだ
僕は君に恋をするんだよ!


(オウ)


知りたい、会いたい


雪がジャリッと鳴る。

布団の中から、雪国へ

空間を飛び越えた先に

あなたと出会った

つらい毎日が、幸せになる、

でも、まだ足りない

やっぱり私もう少し幸せになりたい

あなたをもっともっと知りたい

顔を見せて、雪国に行かせて

早くあなたに会いたい。


(土浦由貴)


重なる季節


君と私が出会うまで
変わりばえしない日々の中で
せわしなく過ぎる時の中で
知らない世界を歩んでた
モノクロ世界を歩んでた

君と私が出会えたら
二人の世界が重なって
知らない世界が見えてきて
モノクロ世界に色がつく

君と私が恋に落ち
二人で世界見つけたら
色づく世界を見にいこう

君と私はすれ違う
君が描く世界にも
君の瞳にうつる私も
どこに行こうと見つからない

君がいなくなってから
世界は今日も変わらずに
時は容赦なく過ぎてきます
君が残してくれた世界
君が教えてくれた世界を
今日も精一杯歩んでいきます。


(保立千宙)


以上をもって、武蔵野大学第7期コピーライティングゼミの学生が2月に実施した燕市でのフィールドワークの作品紹介を終わります。

そして、今回燕市に来た学生の中には、2023年9月に再び燕市でのフィールドワークを行う方もいます。また皆さんにお会いできること、そして再び燕を訪れ、生活し、残してくれる言葉をとても楽しみにしています。

小説はInstagramにて紹介しています!是非ご覧ください!
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