わたしのしごと「政治スタッフ(見習い)」の話 〜永田町のカビ臭さを外交戦略にしたい〜
政治家の卵が、世間のいろいろな方の”ごはんの食べ方”に迫るインタビューシリーズ。初回は、39歳で政治の世界に入ったわたしから、自己紹介を兼ねてお伝えします(*1)。
選挙という文化祭の裏方仕事
---「政治スタッフ(見習い)」ってどんな仕事なんですか?
永田町を中心とした「おまつり担当」です。内閣府や霞ヶ関の皆さんが「政策担当」だとしたら、選挙に向けて動き出す選挙プランナーさんや、新聞の政治部記者さんに近いです。「さぁ〜盛り上がってまいりました〜!!」という気合いが求められる泥臭い現場仕事です。
---なぜ”見習い”になったのですか?
「ブラックな環境に耐えられるメンタルの強さ」「たおやかなアグレッシブさ」、これらの特性を育んだ「生まれ育ち」でスカウトされました。クジみたいなものだと思っています。
---ブラック耐性…。これまでどんな仕事をされてきたのですか?
新卒で入社したのは、外資系のITコンサルティング会社でした。過酷なデスマーチ(*2)の現場で、ワークライフバランスに悩んだ末に、特許法律事務所で下積みしながら弁理士になりました。30代で自動車会社の知的財産部に転職。ワーキングマザーとして孤軍奮闘していたところ、この世界にお声がけいただきました。
都心に残された最後の”ど田舎”
---やっぱりブラックなんですか?
「徒弟制で習得するスキルや業界風土が特殊すぎて潰しが効かない」、「”同業他社”という概念がほぼない」がゆえに、逃げ場がないブラックさがありますね。永田町の文化を象徴する言葉をいくつか紹介しましょうか。
・禊(みそぎ)を済ませる(*3)
・前回は○○さんが「泥をかぶった」から今回は「花を持たせてやろう」
・負けるが勝ち、などなど
前近代的な日本のムラ文化を「これでもか!!」と煮詰めた風土です。世襲議員が多いのもわかりますよね。
グローバルな”日本らしさ”をつくりたい
---これからどんなことをやりたいですか?
コンテンツや知的財産を作る人に直接お金が回る仕組みをつくりたいです。ちゃんと教育投資をしたら報酬を回収できる仕組み、ですね。のちほど詳しく説明します。
あと、前近代的な永田町のムラ文化を、「SDGs」という消費トレンドだけではなく、日本の外交戦略に昇華できたらおもしろいですよね。
---ムラ文化と「SDGs」?
「持ちつ持たれつ」「和をもって尊しとなす」。古い日本の政治哲学は、「閉鎖的」「陰湿な足の引っ張り合い」「悪平等主義」とこれまでさんざん批判されてきました。ネガティブな面があることは重々承知しながらもなお、日本という国が、狭い島国(*4)の中で無用な諍いを避けるために叡智を積み重ねてきた歴史を感じています。
今話題の「SDGs」は、「限りある地球資源の分配ルール」を変えようという動きです。それは、「”価値観の共有を前提に””限りある国土”を治めてきた日本の政治文化」と似ています。かつて「モッタイナイ」が話題になったように(*5)、日本の文化を発信するチャンスだとお気づきの方は多いのではないでしょうか。
---それが日本の外交戦略に?
以前勤務していた自動車会社には、海外子会社を駆使して租税回避スキームを考える社内弁護士や、世界の環境規制動向を睨みながら、エコカー優遇税制を引き出す渉外担当がいました。いわば、「できるだけ国に税金を払わない競争」「できるだけ自社に有利なルールを作る競争」です。
このような競争が日本だけでなく、世界中で激化した結果、なにが起きているでしょうか。絶望的な富の偏在と労働者の疲弊。わたしたちは、自分で自分の首を締めるような仕事をしているのではありませんか。
昨今、OECDはグローバル企業への課税を強化する方針を打ち出しています(*6)。まだ各国の足並みは揃っていませんが(*7、2021年7月12日追記)、わたしたちが政治的な声をあげれば「グローバル企業にきちんと税金を払わせる国際ルールを作る仕事」「国際ルールがきちんと守られているか確かめる仕事」ができるはずです。
そして、「その仕事をどの国が担うか」を考えたとき、
かつて植民地支配で世界を席巻したEU諸国ではなく、
GAFAを抱えるアメリカでもなく、
人権意識に隔たりのある中国でもなく、
この日本のわたしたちが、
「その仕事やります!」と胸を張って言えたら素敵だと思いませんか。
明治の偉人たちも苦悩した欧米諸国への劣等感と、
急速に台頭するアジア・アフリカ諸国への焦燥感をバネに、
新しい日本のアイデンティティを創りませんか。
「日本に寄付文化を」にご共感いただけましたら、サポートのほどよろしくお願いします🙇♀️💦