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「特別永住者」のあなたへ 〜メディアと日韓の歴史継承の話〜

春光うららかな季節、あなた(*1)はいかがお過ごしですか。
わたしは、こども家庭庁関連の根回しに奔走しています(*2)。誰もやりたがらないけれど、誰かがやらないとみんなが困る仕事。それが、永田町の「土方(ドカタ)」仕事です。

今日は、20年前、大学でともに机を並べて学んだあなたにも、ぜひ汗を描いてもらいたくてお手紙を書いています。

東京ガスさんの最新CM「母の推し活」

どんなに気の進まない仕事でも、「やってきてよかったな」と思える日が来るものです。先日、東京ガスさんの新作CM「母の推し活」を拝見して、心からそう思いました(*3)。

俳優・安藤玉恵さん扮するリアルな中年女性像をまるで我がごとのように感じられたのはもちろん、「エネルギー業界大手の東京ガスさんが、”韓国アイドルへの熱狂”を描いた」という事実は、歴史的にもっと評価されてもいいのではないでしょうか。少し前までの日韓感情なら、このCMへの共感の声はここまで広がっていなかったと思うのです。裏方で働く名もなき多くの人の努力が、実を結んだ結果を実感しました(*4)。

誰かを”好き”になる気持ちが、日常を変える楽しさ。
これをもっと政治の世界にも広げたい。

20年温めてきた、わたしの夢の話

「政治の本質は宗教」だ、とわたしは思います。
実際、世間のいたるところに「宗教らしきもの」を見つけることができます。

例えば、「脱炭素」や「SDGs」などのスローガン。
例えば、ファンのロイヤリティを競うアイドルやスポーツ。
民間企業の”エバンジェリスト(伝道者)”が「○○のあるライフスタイルのご提案」なんて謳っているのも、まさにライフスタイル(持ち家か借家か、車を持つか持たないか、専業主婦か共働きか…)が宗教(価値観を共有する消費者の集合体)であることの証左ですよね。

「相対的な価値観の勢力争い」が政治そのものであるとすれば、さまざまな価値を同じステージに乗せ、民主的な意思決定プロセス(メディア興行による人気投票)の仕組みを作りたい。左右のイデオロギー対立が溶けつつある今なら、政党に変わる新しい政治参加の装置になるかもしれない

野心家のあなたなら、「いいじゃんそれ、おもしろそうだね」と周囲の方に協力を呼びかけてくれる気がするのです。

ぜひ、新しい時代のルールの周知徹底をお願いしたい。

新しい日本語メディアのルール

新聞テレビ、ウェブメディア、SNS。あらゆるものがメディアになる時代の、これが「これからのルールブック」5つです。

(1)専門家の情報提供は、基本有償に(*5)

まず、医療・科学技術や法務などの専門医えは「せっかくお金と時間を費やして得た知識や見解を、容易く無料で垂れ流しすぎる」とわたしは考えています。AIや少子化といった社会環境の急激な変化に、教育研究機関が対応できるよう「専門家の情報提供は基本有償」にしませんか。わたしのような政治的主張、売名、所属元宣伝などの目的があるのであれば、かつての芸能界のような「媒体を超えたお膳立て」を準備すべきでしょう。

(2)ニュース価値の再構築

公人と私人の棲み分けを通して、ニュース価値の見直しをしていく必要があると考えています。例えば、プライバシーの過度な侵害(SNS上での私刑)は辞めるべきですし、地方議会の討議内容など、暮らしに身近なメディア空間が必要ではないでしょうか。

(3)リアルな意見交換の場を

価値ある情報が有料になると、情報の囲い込みが起こります。エコーチェンバーや視野狭窄を招かないためにも、異なる意見を交わせる”場”を設けられたら面白いですよね(*6)。また、貧困による情報格差を招かないよう「公的制度に依らないデジタル化による"弱者"支援の仕組み」を整備する必要があるのではないでしょうか。

(4)純粋さの搾取にならないために(*7)

”アイドル”や”趣味”と宗教は同じ。だからこそ、ファンと家族の平穏な暮らしを壊すことのないよう、周囲が見守る必要があります。純粋さの一方的な搾取にならないよう、この仕組みを通じた収益を還元する仕組みも必要でしょう。他方で、会社や家庭の中に”引きこもり”がちな友だちに、久しぶりに声をかけてみる気配りも大切にしたいですよね。

(5)今こそ、日本国籍を

わたしは、「日本語の存在自体が、富を築きその流出を防ぐ防波堤である」と考えています。同じ日本語を使う同胞として、あなたに「朝鮮・韓国系日本人」(*8)になってほしい。そして、わたしといっしょに堂々と政治に参加してほしい。

日韓の歴史継承のあり方

そう、20年前のあの日、たわいない雑談の中で「選挙速報をスポーツバーで見れたらおもしろいと思うんだよね」(*9)と言った時、あなたのルーツが朝鮮半島にあったことを思い出して、ひとり気まずくなったあの一瞬が、今のわたしにつながっています。

日本の政治が、世間一般の感覚からかけ離れたところで行われ、いっこうに投票率が上がらない理由。その理由の一つが、安倍元首相が”脱却”を目指しながらも、死をもってその遺構が露呈されることになった「戦後レジーム」でしょう。

表向き、謝罪要求と言い訳に終始してきた日韓の戦後外交史を、
度重なる戦火や、心ない差別や、苦しい労働の辛さに、国境を超えて手を差し伸べあう普遍的な物語にしたい。

ちょうど、わたしの祖父の故郷である佐渡の金山遺産が、ユネスコ世界遺産認定手続きに再度挑戦しています(*10)。過酷な鉱山労働の記憶と、政治的敗者が礎を築いた民衆能の伝統は、人種や国籍を超えた共感をもたらしてくれる可能性を秘めているはずです。今こそ、過去の歴史を振り返って、国際情勢と人口減少という国難の中でわたしたち自身がどのように考え行動したかを、"わたしたち自身の物語"として未来に継承したい。

わたしたちがこれから紡ぐ物語は、
あなたがお孫さんに語って聞かせる物語になり、
あなたのお孫さんの、そのまたお孫さんが、地球のどこかで語って聞かせる物語になるでしょう。

(*1) 「特別永住者」とは、「平和条約国籍離脱者(1952年サンフランシスコ講和条約が発効時点で日本に住んでいた韓国人・朝鮮人や台湾人を対象に日本国籍を失った人達のこと)またはその子孫」のことで、国内に約29万人います(法務省出入国在留管理庁調べ)。
https://www.moj.go.jp/isa/publications/press/13_00028.html

(*2) 2006年の子ども園設立の時には見送られた文部科学省と厚生労働省の間の壁を壊し、デジタル基盤を敷くという歴史的な仕事です。一時的とはいえ、世間の皆さまの平穏な日常に割って入る不愉快な仕事でもあります。せっかくの大仕事ですから、第3号被保険者の壁を含む年金改革にも取り組むべきだと考えています。

(*3) もちろん、私一人のアイディアではありませんが、このnoteの影響を感じる成果物を見かけるようになりました。全ての働くひとに敬意と感謝をこめて、わたしもこのnoteを書いています。

(*4) 与党の一部にネット世論誘導の疑惑が噂されていましたが、未だ真相は明らかになっていません。仮に事実だとしたら、政治家がカネをばら撒いて招いた事態を、市井のボランティアが始末をつけ他ことになります。

(*5) 悪意あるデマを防ぐためにも、「情報に価値を認め、きちんと購読料を支払う」義務をわたしたちはもっと認識するべきでしょう。また、プラットフォーム運営者に記事利用の適切な対価を求めていく必要もあると考えています。

(*6) ”街の本屋さんが失われつつある”とのことで、「街の本屋さんを元気にして、日本の文化を守る議員連盟」が結成されたそうですが、電子出版が当たり前になった今、「書籍を本棚に陳列して販売する」業態にとらわれる必要はないですよね。ジャニーズ事務所や宝塚歌劇団のファンマネジメントを他コンテンツにも展開できたら、面白いのではないでしょうか。

(*7) 安心して”無駄遣い”ができる社会を作りたいと考えています。

(*8) 「特別永住者」には、兵役はありません。人口減少に悩む日本が、朝鮮半島からの移民を含む皆さんにとって居心地の良いものであるために、また、これ以上望まない軋轢を繰り返さないために、今こそその特権を手放す義務があるのではないでしょうか。

(*9) 週刊誌の選挙予測記事を読み比べ、選挙区と比例代表順を覚えると、開票速報をギャンブルレースや生ドラマのように鑑賞できたものです。しかし、今の政界はどうでしょうか。カネのかかる政治からの脱却、信教の自由と政教分離の両立を目指すために、一人ひとりの価値観に照らし合わせて個人の共感を政治家への寄付に変える仕組みを作りたいと考えています。

(*10) 朝日新聞「世界遺産へ、佐渡金山の推薦書正式版を再提出 24年の登録目指す」https://www.asahi.com/articles/ASR1N4GQRR1NUCVL00J.htm

日本と韓国の違いとして、「姓の多様性」がよく挙げられます。国民の5割が上位5つの姓で占められる韓国と、読みや字体の違いを含めて多種多様なバリエーションがある日本。その理由は、狭い島国という地理的制約から政治的敗者が密かに生き延びる土壌があったからでしょう。わたしの大叔父が家族に遺した「本当は『源氏物語』を研究したかったけれど、戦時中だったから仕方なく『平家物語』を選んだ」という言葉にも、日本史の因果を感じることができます。


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