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置き去りにされた記録 第9章〜決断〜

夫と出会ってからのことを思い出してみた。

ひどい暴力、暴言はあった。でもとてもやさしい人だったし、一緒にいてとても楽しかった。
犬を飼い始めてからはよく犬を連れて海や山へ出かけた。
そこでは他愛のない話を何時間でもした。
なんだかんだ言いながら私のわがままを聞いてくれる。だから時間がかかってもお互い回復すればそんな楽しい時間が戻ってくるはず、、、
そんな風に思っていたけど、カウンセリングでは「DVのハネムーン期だよね」と言われ、最初は認めたくなかった。
でも思い返すとやさしさあって、ガマンがあって、爆発があって、またやさしくなるの繰り返し。
ハネムーン期=やさしさではない・・・・
じゃあ夫のやさしさはどこにあるの・・・?

夫がやさしくなるためには、お酒と暴力が必要だった。

別居してからちょこちょこ夫から連絡があった。
うるさいなと思いながらも、家を出た罪悪感もありごちゃごちゃ言われてもガマンをしていた。
でも、どうしてもガマンできないことがありそのことをカウンセリングで話した。

私「この間すごいムカつくメールがきて、もうガマンできない!」

先生「なんて言いたい?」

私「あんたのせいで私の体はこんなになってて苦しいのに、あんたは全然わかってくれない!他にもたくさん言いたいことはある!」

先生「それを言ったら旦那はなんていうと思う?」

私「いつものように逆ギレされてすごく嫌な思いをする」

先生「じゃあなんて言ったらいいと思う?」

私「なんて言ったら・・・?わからない」

先生「今は体の調子が悪いからあまり話せない」

私「それだけ!?」

先生「そう、それだけ。今の状況だけ伝えればいい」

私「え、、、、、物足りないないな・・・・・」


全然納得できないけど、余計なことは言わずに調子が悪いから話せないことだけ伝えた。
超物足りないけど、でも傷つけられることはなかった。
自分の中でこのやり取りが印象に残って、それから夫に限らず自分が何か言いたくなった時は一度「なんて言いたいかな?」と考えるようにした。
そしたら今まで余計なことばっかり言ってきたな、、、、、と反省した。


自分の中で離婚したい気持ちが大きくなってきたけど、でもまだ不安だった。
それは

離婚して、私が不幸になったらどうしよう
私が不幸になって、夫が幸せになったらどうしよう・・・
夫が私より幸せになるなんて許せない!

そう思っていた。

私より絶対に幸せになって欲しくなかった。


5回目くらいの夫婦カウンセリングの時、夫が

「お酒は飲んでないけど、今食べることに依存している。止まらない」

そう言った。
その時、久しぶりに夫の顔を見た。
夫の苦しい思いが伝わってきた。

今まで私は夫にわからせようとしていたけど、ちゃんと本人に問題を返していくと自分の力で気づいていく。わからないときに何か言われても反発するだけなのは私が一番よくわかってる。

夫に大切なことを教えてもらった気がした。


しばらくして、また肺に穴があいた。
相変わらずパニック発作がおさまらなくて精神的にまいっていたし、誰かにやさしくしてほしかったし、八つ当たりもしたかった。
それを夫に求めたかった。
また肺に穴があいたことを夫に言ったら、最初はやさしいけど「俺だって大変なんだと」と責められた。
まただ、、、と思ったけど正直な気持ちを伝えた。

「また肺に穴があいてすごく苦しかった。不安だったし、さみしかった。私たちはたくさん話をしてきたけど、お互いちゃんと聞いてなかったね。理解もしようとしなかったね。私は今、あなたに苦しいことを伝えたいだけなの。私も今まであなたの苦しみを受け止めることってしたことなかったね。人は苦しい時、何かして欲しいんじゃなく、ただ受け止めて欲しいんだよね。」

そう言ったら夫は言葉につまり電話を切った。

文句じゃなくて、気持ちを伝えたらとてもスッキリした。



夫はお酒を飲まない苦しみを味わっていた。
ストーカーのようにくるメール。
気が狂っているような様子だった。


私の中で離婚の迷いがなくなってきた。

夫より不幸になりたくないと思っていたけど、私が夫より不幸になるなんてありえないと思うようになった。


離婚に向けて動き出すことにした。


つづく


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