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置き去りにされた記録 第7章〜アスペルガー症候群〜

「アスペルガーだね」

先生にそう言われた。
初めて聞いた言葉だ。

「アスペルガー? なにそれ??」

先生が説明してくれたけどあまり理解できない。

カウンセリングからの帰り道に本屋に寄ってアスペルガー症候群の本を買った。

「あ〜」と腑に落ちた。

私の苦しみのもとはここにあった。


私は小さい時からいつも「変わっている子」と周囲に言われた。
自分ではなにが変わっているのかわからない。
ただ、周囲とズレているのはわかっていた。
私はいつも「どうしてみんなは言われた通りのことができるんだろう?」って思っていた。
私は嫌なものは嫌だった。
やりたいことしかやりたくなかった。
「こうすることが当たり前なんだ」と言われることが一番理解ができなかった。
でも集団行動ができないわけでもなかったし、友達もいた。
成績はすべてが普通。
そういえば図工は何かあるといつも選ばれ、よく賞をもらっていた。
でもいつも賞を取ることは意識していなかった。
物を作ることに夢中になっていただけだった。
高校は裁縫が好きだったので家政科高校へ行った。
でも数学に夢中になった。
24時間数学の勉強をしていても飽きないくらいだった。

私はできることとできないことが極端で、できることは簡単にできてしまうからできないことを一生懸命人並みにできるようにがんばった。
私はいろんなことが普通にできるようになりたかった。
特別にできることより、どれもが普通にできるようになりたかった。
できないことっていうのは、ペースが遅いとか、注意力がないとか、母親には鈍臭いことをいつも怒られていました。

私はいつも自分を責めていました。
私が鈍臭いからいけないんだって。
私はあれとこれとあれができないからダメなんだって。
もっともっとがんばって人並み以上にならないとって思っていました。
できることは差し置いて。

アスペルガー症候群の本を読んで驚いたのが

「アスペルガーの人は自分が人とは違っていることには気がついていて、なんとか“普通”になろう、世の中のルールを身につけよう、人との関わり方のパターンを見つけ出そうと、私たちが考えもつかないような努力をしているのです」


「えっ!? みんな私が思っているほどがんばってないの?」

私にとっては衝撃でした。
がんばってもがんばってもできない自分をいつも責めていました。


そしてこの本に救われました。


***

『あなたがあなたでいるために〜自分らしく生きるためのアスペルガー症候群ガイド』

「あなたが毎日暮らしやすくなるために特別な工夫が必要です」

「あなたの存在は間違いではない。少数派なだけ」

***


私はカウンセリングの中で先生にアスペルガー症候群と言われただけ。
だからそれは本当のことかどうかわからない。
でも、アスペルガー症候群と言われたことで私はとても楽になった。
私は私のままでよかったとようやく自分を受け入れられた。

周囲とのズレが苦しかった。
自分の思うことを言うといつも批判された。
だからいつも「正しさ」を探していた。


でも世間の正しさを捨て

苦手なことは私の努力が足りないからではない

できないことはできないままでいい

できないことに一生懸命になるより、できることを一生懸命やろう

好きなことを夢中になってやろう


そう思えるようになったら、世間のルールを受け入れながら私は私らしくいられるようになった。



つづく



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