ペーボ博士の自伝と、沖縄旅行から学んだこと
📕ペーボ博士の自伝と、沖縄旅行から学んだこと
先日、自分の執筆している高校生用の英語ニュース教材で
「ネアンデルタール人のDNAを解析し、今年のノーベル生理・医学賞を受賞したスヴァンテ・ペーボ博士」について取り上げました。
先日、彼の自伝を読み終えましたが、たくさんの学びがあって、すごく良い本でした!
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『私たちはネアンデルタール人と交配した』
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このブログでは、本書からの学びと、先日の自分の沖縄旅行での思い出について、書きます。
ペーボ博士のノーベル賞受賞のニュースを知った時、まず
「彼はスウェーデン人なのに、なぜ自分の国でなく、ドイツのプランク研究所で研究員をしているの?」
という疑問を持ちました。
その疑問の答えは、この本にしっかりと書かれていました。
理由は、第2次世界大戦中のドイツの歴史に遡ります…。
1940年代のドイツでは、ホロコーストが行われ、「人類学」というと
「アーリア人は優れた民族で、ユダヤ人は劣った民族」
という歪んだ結論が出るよう人為的な操作が行われていました。
そのため、戦後しばらく経ってからも、ドイツで人類学を研究することは「タブー」でした。
1980年代になって、ドイツの有名なマックス・プランク研究所(1911年設立)で、新たに「人類学の研究部門」を立ち上げる時が、ついに来ました。
この時、マックス・プランク研究所は、ここで研究する科学者を全て「ドイツ人ではなく、外国人にするべし」と定めたそうです。
なぜなら、「ドイツ人の科学者では、歴史の負の遺産により、世界から信用してもらえない。
海外から優秀な科学者を招いて、彼らに研究費を出すことで、人類全体の科学の発展に貢献する!」
という理想があったからだそうです。
ペーボ博士は、ドイツ語もできないのに、マックス・プランク研究所に「優秀な科学者」として、期待されて、招かれたのでした。
このエピソードを知って、ドイツのマックス・プランク研究所(あるいはドイツ政府がそのような方針なのでしょうか)の人類全体の恩恵を考える懐の深さに、感銘を受けました。
★★★
話題は変わり…
先日、私は夫と沖縄に旅行に行きました。
私にとって初めての沖縄旅行。
美しい海や、首里城、美味しい沖縄料理に感動しました✨😍
特に印象に残ったのは、沖縄に住んでいる夫のお友達夫婦と、沖縄料理のお店で美味しいご飯を食べながら、いろんな話をしたことです。
「この間、ノーベル生理・医学賞を受賞したペーボ博士は、オイスト(OIST、つまり、沖縄科学技術大学院大学)の客員教授でしたね❣️すごいですね❣️」
…と私が話しかけると、
夫のお友達の奥様は目を輝かせて
「そうなんです!ゆきさん、よくご存知ですね!ペーボ博士のノーベル賞受賞は、沖縄の人たちの誇りです!あの大学は、設立してからまだ10年くらいの歴史しかないのに、もう素晴らしい結果を出して…」
と、いろんなことを話してくれました。
奥様のお話をまとめると、このような内容になります。
🔴奥様のお友達は、オイストの事務室に勤務していらっしゃり、お子さんは、オイストの関係者専属の保育園に預けている。
🔴その保育園に通っている子どもたちの半数が日本人、半数が外国人である。そのため、保育園の言語は英語。
🔴お子さんは、保育園では英語を話し、世界各国の子どもたちと友だちになり、とても良い環境で育っている。
🔴オイストの素晴らしいところは、日本人だけでなく世界中の優秀な学生や教授に門戸を開いているところ。
「日本のためでなく、世界の科学技術の発展のために」という学校の精神を感じる。
🔴沖縄県の中でも自然の豊かな場所にキャンパスがあり、学生さん達もスタッフの皆さんも、恵まれた環境で研究ができて、最高の教育機関だと思う。
…このような貴重なお話は、沖縄に実際に住んでいらっしゃる人からしか、なかやか聞くことができないので、とてもありがたく、勉強になりました。
昨年ノーベル物理学賞を受賞した真鍋淑郎さんも、
「日本の大学教育のレベルを上げたければ、海外から優秀な教授や学生を受け入れることです。
私自身も、アメリカの大学に受け入れてもらって、本当に感謝しています」
と、笑顔で語っていらしたことがあります。
この真鍋さんの言葉を、ふと思い出し、
そして、ペーボ博士の自伝でも読んだばかりの、マックス・プランク研究所が外国人の研究者を積極的に採用したエピソードも、思い出しました。
ペーボ博士の本を読むと、彼がすごくpatientで我慢強く、20年以上をかけてじっくりと研究を続けてきたこと。一瞬でも楽観的にならず、先を急がず、徹底的に研究室の除菌をし、徹底的に検証を繰り返して…といった気が遠くなるような話が書かれています。
ノーベル賞受賞はその努力の結晶なのだと、頭が下がりました。感動的な本でした✨
🌼初著書
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