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『リチャード三世』と『7人のシェイクスピア』

私の塾では、中学生の間で「シェイクスピア名台詞かるた」が大ヒットしています。

★沙翁百人一句 シェイクスピアかるた
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札は全部で100枚。子供達に特に人気の読み札に
"A horse! A horse! A kingdom for a horse!"…があります。

私はこの台詞について
「シェイクスピア作品中、最大の悪党リチャード3世のもの」
…程度の知識しかありませんでした。
そこで、この作品を日本語で初めて読んでみました。

★『リチャード三世』シェイクスピア著・福田恆存訳
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うーん、私の読解力の欠如のせいで、初めはいまいちピンときませんでした(><)

私はシェイクスピアの悲劇の中では『マクベス』が一番好きです。
脚本を読み始めると音楽が始まり、目の前に情景が現れて動き出す、すごい作品だと思います。シェイクスピアは天才だと思います。
マニアックですが、黒澤明監督が『マクベス』を戦国時代の日本の武士を主人公に作り替えた映画『蜘蛛巣城』も大好きです。

『蜘蛛巣城』(黒澤明監督)
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しかし『リチャード三世』は歴史物で堅いし、設定(薔薇戦争)が難しくてよく知らないのと、「何でこんな極悪人が主人公なの!?意味不明!」という気持ちで、話に入り込めませんでした^^;

ところが、そんな私の価値観をひっくり返してしまう本に出会いました。

『7人のシェイクスピア~NON SANZ DROICT 3巻』ハロルド作石
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英語の先生のお友達のお薦めや、いろんな雑誌やニュースで話題の漫画。「シェイクスピアは、実は7人のチームだったのでは?」という斬新な仮説を元に、歴史や宗教のエピソードもふんだんに盛り込まれて語られる重厚な物語です。

この漫画の3~4巻を読み、初めて『リチャード三世』は天才的な俳優の演技あってこその大成功だったことが、分かりました。

シェイクスピアの書く戯曲や、詩のような美しい台詞も素晴らしいのですが、そこに命を吹き込む舞台芸術や、俳優たちの迫真の演技も加わった、総合芸術としての「演劇」だからこそ、戯曲が生きてくることがよく分かりました。

これで少しは子供達に"A horse! A horse! My kingdom for a horse!"の解説ができそうです^^ 

それにしても、福田先生訳の表紙のリチャード三世は、イケメン過ぎる気がするのですが…(リチャード三世はugly manの設定のはずです…)

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