ダイエット外来の先生がライターになりたい私に「守破離」の基本を教えてくれた
「長い人生のうちのたった何か月思って、言われたことを素直にきいてやってごらん。絶対に成果は出るから」
新しいことに挑戦するときに、真っ先に思い出す魔法の言葉。
ライターで身を立てたい。
2ヶ月前「ものキャン」というオンラインのライティング講座に申し込みました。
そのときに最初に思い出したのもこの言葉。
ライティングを学びだして、はじめて知った言葉に「守破離(シュハリ)」という言葉があります。
私に「守破離」の基本を教えてくれた先生。
それはライターでもブロガーでもなく、ダイエットの先生でした。
今日は私の「守破離」の先生との出会いについて紹介します。
ダイエットしているのにだんだん太る20代
私がまだ20代だった頃。
ちょっと食事を減らして運動しては5、6キロ痩せて、油断して前よりも太るという流れを、一年中くり返していました。
リバウンドするたびに、ダイエット前より太ってしまう自分にイライラして、自己嫌悪に押しつぶされる毎日。
もうこのまま一生痩せられないのかも……
なかば諦めかけていたとき「隣の県にダイエットのすごい先生がいるらしい」と耳にします。
個人病院を経営しているその人は、もともとは産科の医師。産後の体型に悩むお母さんたちがあまりに多く、減量指導をしているうちに、とうとうダイエット外来を開くことになったという変わった経歴の持ち主です。
私は自己嫌悪な毎日から抜け出したい一心で、病院に予約の電話を入れました。
病院までは、車で片道1時間半。
初めての道を、カーナビを頼りに一人で運転して病院まで行きました。
先生は変わり者
診察当日、ドキドキしながら院内に入ると、受付のお姉さんが優しい笑顔で迎えてくれました。
うわさによれば「先生かなりの変わり者だから、患者さんが話をさえぎったり聞いてなかったりすると『最後まで聞きなさい!』って怒るみたいだから気をつけてね」とのこと。
ものすごく怖い先生だったらどうしよう……
病院が苦手なこともあり、名前を呼ばれるまで、動悸が止まらず緊張しっぱなし。
「やたさ~ん、どうぞ~」
よ、呼ばれたー! いざ診察室へ。
初対面の先制パンチ
「こんにちは」
60代くらいの少し神経質そうなお医者さん。
グレイヘアをきれいに整えて、背筋をピンっと伸ばして椅子に座るその姿は、とても若々しく見えました。
特に印象深かったのは、その目です。
メガネをかけているのに眼力がすごくて、じっと見据えられた私は、どこを見ればいいのか困ってしまうほどでした。
「どうしてこんな隣の県までわざわざ受診しにきたの?」
「妹の職場の人がここに通って痩せたと聞いて……」
事実のとおりに答えると、先生はしっかりと私の目を見てこう言いました。
「はじめに言っておくとここは、歯医者みたいに黙って口を開けていれば悪いところを治してくれるところじゃないからね。自分で努力しないとダイエットには成功できないよ」
病院を訪れる人の中には、方針と合わず途中で帰ってしまう人もいると聞いていたので、覚悟はしていましたが、なかなかに個性的な先生です。
ただ、今さら楽して痩せられるなんて思っていなかったので正直、方法なんてなんでもよかった。
私は「わかりました」と答えました。
「それなら一つ約束して。ここに通っている間は、私のいうことをただひたすら『うんうん、はいはい』と素直に聞いて実行すること。話を遮ったりせず最後までちゃんと聞くこと。できるかね?」
結構パンチの効いたせりふにも関わらず、しっかりとこっちを向いて目を見て話をしてくれる先生の姿に、私はちょっと感動していました。
そんな医者をあまり見たことがなかったから。
「先生、よろしくお願いします」
私が答えると、初めて先生がにっこり笑ってこう言いました。
「これからの長い人生のうちのたった数ヶ月。たった数ヶ月と思って、言われたことを素直にきいて、そのとおりにやってごらん。絶対に成果は出るから」
先生、笑うと笑顔が素敵だな。
とにかく言われたとおりにやってみよう。
私は初診が終わる頃には、すっかり先生のことが好きになってしまいました。
覚悟を決めてやるぞ!
帰りの車でそう思ったことを、今でも憶えています。
生活をすべて変える
その日から、とにかく言われたとおりに生活するようになりました。
パンをやめる
乳製品は最小限
和食中心の食事
水は2リットル以上
運動は無理にしなくてもよし
今までサラダしか食べず、無茶な運動で痩せてきた私にはちょっと物足りないくらいの内容。
これで痩せるのかなぁ、とはじめは正直半信半疑でした。
ただそれでも言われたことを言われたとおりに続けます。
パンとコーヒーを口にできないのだけが、ちょっと寂しかったです。
やっている間は毎週1回、診察に通って経過を報告します。
片道1時間半の運転なので、体力も消耗しました。ただ、不思議と病院通いが終わるまで「やめたいな」と思うことは一度もありませんでした。
「2ヶ月で-10キロ」から得た気づき
ダイエット外来に通い続けた結果、2ヶ月で10キロ、3ヶ月で15キロの減量に成功しました。
「言われたことを素直にきいて、そのとおりにやってごらん」
当時は、なぜいうことをきくだけで痩せていくのかさっぱりわかりませんでした。
ライティングを学び始めて、守破離の考えを知ったとき、ようやくわかりました。
あぁ、あれは守破離の「守」だったんだなぁ、と。
「素直に言われたとおりにやる」というのは、初心者が最短距離で目的地までいける最善の道なのだと思います。
指導者がこれまで何百、何千人と指導してきて蓄積されたノウハウを実践することで、無駄や失敗をあらかじめ防ぐことができるから。
私はライティングを始める前から、知らぬ間に守破離の大切さを教えられていたのです。
その後ダイエットに関しては病院に通わなくなって数年後、残念ながら「守破離」の「破離」の部分がうまくいかずにリバウンド。
ただ今も凝りずにダイエットは続いています。
すべてがそろってはじめて成功と呼べる
私、実はこれまでに6回、10キロ以上減量してリバウンドしています。
そのうち2回は15キロ減量したにも関わらず、です。
これは、今なら「守破離」の「破離」の部分が足りなかったからだとわかります。
そのため完全に、その後については自分の責任です。
「痩せる」という「守」はできるが、「維持」「継続」ができない。
それを解決するためには、自分に合った方法を見つけて、無理のない範囲で続ける。
たぶん、これが私のダイエットにおける「守破離」の正解なのだと思います。
正解は人それぞれだけれど
言われたとおりにやるだけなんて、ただの「思考停止」と思われるかもしれません。
人には人の考えがあるので、すべての人にとってこれが正解とは思いません。
ただ私の場合「頭を空っぽにして、指導してくれる人のいうことを素直に聞いた方がうまくいく」ことが多いというだけです。
ダイエットで、指導者や方法が変わっても「素直に聞き入れる」という「守」を守ることで、成果が出やすいのかについては、最近また実験してみました。
いつもお世話になっているジムのトレーナーに「年末までに10キロ痩せたい」と相談し7月から3ヶ月間、指導してもらうことに。言われたとおりの食事をして、運動メニューを実行しました。
結果、3ヶ月でマイナス10キロ。
年齢や体重など以前と違いはあるものの、やはり私の場合、素直に聞き入れて実行する方が成果が出やすいようです。
「守破離」の「破」と「離」についてはまだまだこれからですが、「素直にきく」ことの大切さを教えてくれたダイエット外来の先生には感謝しかありません。
新しいことにチャレンジするとき、ずっと指針になる言葉をくれました。
今学んでいるライティングにも、この言葉の効果があるのかは、「ものキャン」講座で検証中です。
成功したら、久しぶりに先生の顔を見に隣の県までドライブしようかな。
長くなりましたが、最後までお付き合いくださり、ありがとうございました!
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