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御礼 第105回「読書のすすめの落語のすすめ」

【御礼 第105回「読書のすすめの落語のすすめ」 粋なはからいか、偶然か… 江戸の風に吹かれて】

江戸川区篠崎の「読書のすすめ」での月一回の定例落語会「読書のすすめの落語のすすめ」、先日8月11日は第105回目でした。

三遊亭神楽師匠と兄弟子の三遊亭全楽師匠の二人会、出演の順番は交互で、今回は神楽師匠が先、全楽師匠が後でした。

三遊亭神楽師匠の一席「釜泥」は、
両国 回向院に墓がある義賊 ねずみ小僧次郎吉の末路の様子をマクラ噺に、
大盗賊 石川五右衛門の釜ゆでの刑の後、子分たちが日本中の釜を盗んで五右衛門の供養をするという噺。

ねずみ小僧や五右衛門の辞世の句が披露され、事実ではなかろうが、噺家さんの洒落が効いていて、思わず唸り笑いが。

三遊亭神楽師匠

三遊亭全楽の一席は「猫定」。
神楽師匠の噺に出てきた ねずみ小僧次郎吉の墓の側に、猫塚の碑が立つ。
飼い主 定吉に忠義を尽くす漆黒の猫 クマを祀る墓で、現在、広く動物供養の場所として知られている。「猫定」は、忠猫クマの噺。

人間の我欲と妄執の恐ろしさを、その魂をその身に宿したかのような全楽師匠の緊迫感と臨場感、人の心に潜む地獄を垣間見て身震いが起こりました。

三遊亭全楽師匠

神楽師匠の「釜泥」の、
両国回向院に墓があるねずみ小僧の末路の様子のマクラ噺から、

全楽師匠の「猫定」の、
ねずみ小僧の墓の隣にある猫塚の謂れへと、

粋なはからいか、偶然か、そのつながりの妙を味わいながら、

江戸の町並みが目に浮かぶ神楽師匠の洗練された巧みな語り、

死者の魂を我が身に引き寄せて業の深さを語る全楽師匠、

江戸の風に吹かれました。


そして、私からの本のおすすめは、
『読んでおきたい日本の「宗教書」ー日本人の生き方を考える12冊』小野耕資著
https://dokusume.shop-pro.jp/?pid=169551468

12冊の「宗教書」とありますが、「宗」とは宇宙をいい、「宗教」とは宇宙の教え・この世界の理(ことわり)をいいます。

古事記
万葉集
歎異抄
神皇正統記
夜明け前
大西郷遺訓
代表的日本人
武士道
茶の本
日本的霊性
英霊の聲
「空気」の研究

現代は、一人よがりの知識を溜め込み、自分勝手な感情を振り回す人が多く、

その浅はかさの奥の、真善美の心(情緒)を、今この時代にこそ育まねばならないと思う。

情緒を育むのは、
この世に生を受けてからの体験や躾と教育、
古から伝えられてきている伝統・文化、
“縦糸の読書(時代が変わっても変わらない“人の道”を歴史や先人に学ぶ読書)”など。

そして、真善美の情緒は、本当の真善美の大いなる自然に習い沿うこと。

私は、『読んでおきたい日本の「宗教書」ー日本人の生き方を考える12冊』の、それぞれの日本精神のもとにあるものが、まさしくその真善美の情緒だと感じました。

その真善美の情緒は、郷愁のように懐かしく、温かく優しい“慈悲心”に根差しています。

人や事物に触れて生まれ、
伝統・文化から流れきて、
“縦糸の読書”から注がれる、

その慈悲心こそ、今私たちが受けとり、それに根差し、後へ続く者へ託していかねばならないもの。

人の憐れさ愚かさを包み込む、座布団一枚の世界の落語に慈悲心を聴き、

日本人の生き方を考える12冊の本の、その精神の根元にある慈悲心を両手で掬いとり、

後に続く者たちを助けてゆく、
そうした情緒を育んでいきたい。

そして今回の、その情緒が心いっぱいで、曲「銀河鉄道999」に乗せて奏でるトリーマンのアコーディオン演奏は、

何かの重力に引っ張られて重そうな音を響かせていましたが、次回は解き放たれて流れ星のように宇宙を駆け巡るでしょう🌟

次回は、9月14日(水)19:30~
    10月12日(水)19:30~

またリアル会場とZoomの併用、
皆様のお越しをお待ちしております。


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