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病院が好きな理由

私は病院という場所が大好きだ。(検査は嫌いだけれど)

何か体調に変化があった時の対応をしてくれるだろうという期待と、そして何より女性看護師さんが優しい。

これが一番の理由と言ってもいい。

特に女性看護師さんは私も同じ女性ということもあるので不安を感じたりしている時には背中をさすってくれたり人の体温で安心させてくれることが多い。

不安な時、人の体温は偉大だ。(私に限る話かもしれないが)

私は幼い頃から母親に抱きしめられたことがない。

1番古い私の人生の記憶はたぶん、祖母と一緒の布団で眠っている記憶だ。

何歳くらいだったか定かでは無いが5歳以下というのは間違いない。

その頃母親は体調を崩し数ヶ月入院していた。だから幼い私は祖母と共に眠っていたが、私はとても寂しかったのを覚えている。

未だにあの時の母親の入院の理由も知らない。

何度か聞いたことがあるのだが「ちょっとね……」と含みを持たせた言い方をしてくる。その入院している時間、私はとても寂しかったというのに理由さえ教えてくれず、お見舞いも一度いったきりでその時も抱きしめてくれることは無かった。

そして退院後、唯一母親の体温を感じられる時間が出来た。

それは夜中に私が目を覚ました時に母親の布団に入りに行く時だけ。

母親と同じ部屋で寝ていた時もあったが、普段の生活では抱きしめられるということは無かった。

そして小学生に上がると兄と同じ部屋で眠るようになった。

2段ベッドがあったけれど、私は床に布団を敷いて眠っていた。それはきっとおねしょ対策だった。おねしょ、というより夜中に目を覚ましても怖くてトイレに行けなくてそのまま布団にしてしまうことがあった。

私はとても怖がりだ。布団から手足を出すのも難しいくらいに。

今はだいぶ良くなってきたが、子供の頃はそれが酷かった。

夜中に目を覚ますことも多く、そして怖くて眠れなくなる。それがほぼ毎日続く。

しかしトイレには行けないくせに、夜中に目を覚ますと私はよく両親の寝室へ行き、母親の布団に入りに行った。

背中をぴっとりとくっ付けて、母親の体温を感じていればすぐにぐっすり眠ることが出来た。

私が母親の体温を感じることが出来たのがその時だけだった。

そしてその生活は中学生間際になるまで続いた。

それ以来、私は母親の体温を感じる経験をしたことがない。

だから女性看護師さんが大好きなのだと思う。母親にして欲しかったこと。

発作の時に背中を撫でて欲しかったこと。

「大丈夫」だと言って欲しかったこと。

母親から貰えなかった体温や安心感を、私は病院でしか受け取れない。

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