見出し画像

優秀な人に働いて頂くために

私の事務所の運営思想について記述します。経営ではなく運営という言葉を使っているのは、なんだか恥ずかしいからです。

1番のこだわり

事務所の運営において、最もこだわっているのは、メンバの優秀さです。私は、優秀な人とだけ仕事がしたい、偏屈な人間です。そして優秀な人ほど、同じ傾向にあると観察しています。また、事務所の商品は、人間による役務提供です。優秀さは、経済社会に価値高く役務を提供するための必要条件です。いかに優秀な人に働いて頂くか。これが事務所運営における最大の論点なのです。

メンバという言葉

従業員や部下という言葉が、あまり好きではありません。上下関係を想起させるためです。事務所のメンバは並列にそれぞれの持場を担っている、そういう感覚で私はいます。私は代表という立場にあり、営業や採用など事務所を運営するあらゆる仕事をしていますが、それはその役割・職種に就いているというだけで、上下関係ではありません。完全に対等・並列だと考えています。

働いて頂く

メンバは私の事務所の従業員であり、社会保険料も事務所で負担しています。しかし、私は雇っているという言葉を使わないし、その感覚がありません。どこでも通用する優秀なプロフェッショナルが、私の会社で働いて頂いているのだ、と思っています。「従業員の生活がかかっているので経営者はプレッシャだ」というのは、従業員の能力を過小評価しているか、そもそも採用が間違っているのだと思います。

働いて頂くための環境

私の事務所には、始業就業時間・出勤日・服装・言葉遣い など、一切のルールがありません。いつ来ても、いつ帰っても、いつ休んで旅行にいっても、サンダルでも金髪でもタメ口でも、なんでもOKです。もちろん出勤せずに、ずっと自宅で作業をしても問題ありません。優秀な人であれば、成果に必要な最低限の行動をとるはずです。これを最適に実現するため、結果として各々のルールを醸成することになります。ルールは自ら作るものです。

一方で、恵比寿駅徒歩1分のお洒落ビル内のゆったりとしたオフィスに、34ワイドモニタとハーマンミラーセイルチェア、手作りランチとドリップコーヒー、15時のおやつを用意しています(料理等を用意してくれるのは天才オフィスマネージャですが)。オフィスに来たメンバに最大限のおもてなしをするのは、会社の義務だと思います。

画像1

働いて頂くための契約

私はメンバに、定額の報酬を約束します。その後、各々の能力向上に合わせて増額します。そのために会社として仕事を獲得し続けるのは私の義務です。報酬水準は、同キャリアの市場価格より確実に高くなるように設定します。

一方で、メンバが自分の名前で獲得した仕事は、内容が事務所の対象領域であっても、当該メンバの名義で契約することを基本としています。もしそのプロジェクトに私が必要であれば、私とメンバで交渉をします。そしてメンバに、私へ払うフィーを決めてもらいます。この方式にする理由は、①全員が独立可能な状態に至るべきである、②自分の名前で契約する感覚を経験するべきである、③私は提供業務に報酬を払っているのであって、時間に対してではない等、様々あります。

働いて頂くための業務

なぜメンバが事務所で働いてくれているのか。それは、「ここにいれば能力が伸びるかな」と期待しているためだと想像しています。この期待に適切に答えるため、よく考えて仕事を差配しています。[財務・経理・法務・労務・上場準備] ✕ [スタートアップ〜中小企業] ✕  [国内・海外] といった要素を因数分解したものを立体的にマッピングした、業務全体マップにおいて、各人がどこまで習得済なのか、どの方向でレベルを上げていきたいのかを把握し、習得領域を最大化するようにします。具体的には、クライアントポートフォリオに気を遣い仕事を選んでいます。同じレイヤの仕事が長く続きすぎないようにメンバのアサインを動かします。スタートアップであればそのフェーズ進行も勘案します。

私は、メンバを新しい仕事にアサインする前に、この仕事をやればどのような実務能力が身につくのかについてプレゼンします。同時にリスク≒めんどくささも説明し、同意をもらった場合のみ、アサインに至ります。

大切なことは?

メンバにとって何が嫌か、を見極め潰していくこと。メンバにとって何が嬉しいか、を見極め追加していくこと、この2つの継続的プロセスです。それは、私の体験が元になっています。私がこういう会社だったら働いてもいいな、と思う会社からの逆算をしています。

最後に。私が最も気をつけているのは、私自身の実務能力を陳腐化させないことです。理由は2つあります。

①この運営を維持するには、事務所が仕事内容を選び、報酬を決める必要があります。そのためには、仕事を獲得する私自身が経済社会で価値ある存在であり続けなければなりません。メンバに能力向上の観点から魅力的と感じてもらえるような様々な仕事を獲得するためです。

②私を無能と判断した時点で、おそらくメンバは誰もいなくなるでしょう。自分では対応できない仕事をとってきてメンバにやっていただきそのおこぼれで暮らすような代理店的・情報商社的な構造は、誰も納得しないでしょう。もちろん私も嫌です。

これを避けるべく、私は実務能力の総量*として、経済社会に必要とされるように、メンバに追いつかれないように、研究と経験を重ね続けなければなりません(*もちろん各々得意分野があって、勝てない領域はたくさんあります)。なんとかあと5年ぐらいはがんばりたいものですが、果たしてどうだろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?