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勇気を出したら、勇気をもらった #なかむらインド旅行記

インドに来ています。

今いるのは、北部にあるリシュケシュという街。ガンジス川上流のほとりにあり、ヨガ発祥の地としても有名です。ヨガが習えるセンターやアシュラム(道場みたいなもの)が町中にあり、ぼくのような短期の観光客だけじゃなく、中期でヨガの修行をしている人もたくさんいる、そんな街です。

ぼくにとっては、初めてのインドで、初めて滞在する街です。

長旅を経てようやくたどり着いたインド初日。ぼくは、めちゃくちゃドキドキビクビクしていました。

初めてのインドは、本当に全てのことが新鮮で衝撃的で訳がわからなくて。でっかい牛がそこら中を歩いていて、車はクラクションを鳴らしまくっていて、屋台ではよくわからないフルーツやお菓子を売っていて、吊り橋にはサルが大量にたむろしていて、犬があちこちで寝ていて、突然お祈りの声が大音量で鳴り響いて。

それは色々な人から聞いたインドそのまんまで、でも、まさに「百聞は一見に如かず」。実際に目にすると、圧倒されてしまいました。

そんな中で1人歩いていると、ぼくにとって当たり前じゃないことがここでは当たり前すぎて、そのギャップに、自分だけがこの街に馴染めていないような、異物であるかのような感覚になってきます。

そして異物だからこそ、警戒オーラをビンビンにして(ついでに足元も牛のフンを踏まないように警戒して)いました。話しかけられたらトラブルに巻き込まれる!と思っていたので、「私に話しかけてこないで」というメッセージを全身全霊で発しました。

いろんなお店や屋台も、惹かれる部分はもちろんあったけれど、「怪しいお店でぼったくられるかもしれない」「変なもの入っててお腹壊すかもしれない」などと思うと、なかなか踏ん切りもつかず。

それによってますます、自分だけが隔絶されているような感覚になったりしていました。

それだけ何重にも壁を作りながら街を歩くのは、やっぱり疲れます。ちょうどよく、ガンジス川の側にのんびりできそうな場所があったので、そこで色んな人が行ったり来たり、ガンジスから出たり入ったりするのをしばらく眺めていました。

すると、とある白人のお兄さんが沐浴をはじめました。周りの人は、サンダル脱いで足だけチャプチャプしたり、体を濡らすくらいだったのに、彼はずんずんガンジスに入っていって頭までどっぷり浸かっていました。写真じゃ伝わりきらないですが、思ってたよりずっとガンジスの流れは速くて、温度も低く、しかも濁っていて底は全く見えません。一応ロープは掴んでいましたが、すごく平静を整った表情のまま、そんなガンジスで沐浴している姿に、なぜか心が打たれました。

(奥で川に浸かっているのが彼)

おそらくヨガをしっかりやっている方なのでしょう。その肉体は細く引き締まって均整が取れていて、とても美しかった。そして沐浴の前後に深い呼吸を丹念にやっている姿に、生命の躍動みたいなものを感じて、すっかり目を奪われてしまいました。

彼はどこから来ているのか、何者なのか。どんな思いで沐浴をしていたのか。すごく気になりましたが、先ほど書いたように、ぼくはバチバチの警戒モード、心に要塞を作っている状態です。そんな中で誰かに話しかけるのは、とても勇気のいることでした。

そのお兄ちゃんの背中を見ながら、たっぷり15分くらい悩みました。悩めば悩むほど「変な間になっちゃった…」「あ、振り返った!見てるの気づかれたかな…」とか、色々考えすぎて、ますます勇気がしぼんでしまいます。

たくさん悩んだけど、勇気を出して話しかけてみることにしました。「せっかくだし」「わざわざ来たんだし」「嫌がられても、もう一生出会わないだろうし」みたいな口実を頭の中でたくさん作った末の行動でした。

彼はとっても優しいナイスガイで、色々な話をして盛り上がりました。

彼はイギリス出身で、インドにもリシュケシュにも、もう何度も来ているそうで、今はヨガの先生を養成する1ヶ月間のコースを受けている最中なんだとか。沐浴はそのコースの一環というわけではなく、冷たくて急な川の中でも呼吸を乱さないことを練習するために、個人的にやっていることらしいです。

あのガンジスに入っていく勇気に感動したんだ!と伝えると、ありがとう、でもぼくはまだまだだよ、なんて謙虚に話してくれました。

おもしろいなーと思いながら色々話す中で、ぼくが今日はじめてのインドで、1人で来ていることを伝えると、「You are so brave!(めっちゃ勇気あるね!)」と彼に言われました。

その一言に、ぼくはなんだかとっても救われました。

確かに、インドはお世辞にも旅しやすい国とは言えないでしょう。インドで嫌な目にあった経験談がネット上にも溢れています(同じくらい、インドで得難い経験をした話もありますが)。

そんなインドに、旅の経験すら決して多くないぼくが、1人で来たのは、実は結構すごいことなのかもしれない。インドに何度も来ている彼にそう言われたことが、少しだけ自信に繋がりました。

そして、すごいことだからこそ、今はバチバチに警戒しているのもしょうがない、そういうものだな、と感じることもでき、少しずつ馴染んでいこう、受け入れていこう、と思えるように。

するとなんだか、そう思っただけで、インドが少し身近になったような、馴染めたような、街を歩いていても違和感が少なくなったような気がしてしまうから、不思議なものです。街を歩く勇気が湧いてきました。

がんばったことを彼に認めてもらったことで、現状を肯定することができ、心にゆとりが生まれたんだと思います。勇気を出して彼に話しかけたら、ぼくが勇気をもらいました。

彼にも勧めてもらって、明日と明後日は、朝晩2回のヨガに参加することに決めました。彼曰く、ヨガはただ体を動かすだけじゃなく、自分の身体を超えていく営みだそうで、「はじめてちゃんとヨガをやるんだ」と伝えると、「Great journey(素晴らしい旅)の始まりになるかもね」と言われました。

インドに来たことも、ヨガに挑戦することも、ぼくにとっては新しくて不確実なものとの出会い。そんな出会いには、いつもお供に勇気が必要です。

いろんな人と勇気をやりとりしながら、持っている勇気を振り絞って、いろんな出会いに向かっていく旅にできたらいいな、と改めて感じたインド初日でした。

#なかむらインド旅行記 は、ぼくがインド旅行で感じたことをつらつら書いていくハッシュタグです。そのうちマガジンにまとめます。

書きたくなったら書くので、これからどのくらい続くのかわかりません(これが最初で最後かも)が、温かく見守ってください。

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