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小児性愛者について。性依存症者の私が知っていること。



お久しぶりです。
性依存症者の津島隆太です。

最近、ジャニー喜多川氏の性加害が外部の専門家による「再発防止特別チーム」によって改めて認められ、そのなかでジャニー喜多川氏自身も幼い頃に性被害を受けていて「性嗜好異常」「パラフィリア症」という病気であっただろうという発表がされました。

以前私は「セックス依存症者の私から見てジャニー喜多川氏がセックス依存症であっただろうと推測する点。」というタイトルのnoteを書き、反響が多くありました。

病名こそ違いますが、内容はほぼ同じであり、私の推測が当たっていたという結果になりました。

※私の言う「セックス依存症」とは通称であり、正式な病名ではありません。
また「性依存症」も正式な病名ではなく、2023年現在は「強迫的性行動」「性嗜好障害」「パラフィリア症群」などと呼ばれ治療がされています。
いずれも「問題的な性行動が自分の意思ではやめられない状態」という病であり、私の知る限り治療法はそれぞれほとんど同じです。

治療法が同じであるというのは、種類が違うのに雑にまとめているわけではなく、認知行動療法や薬物治療やグループミーティングなどの同じ治療法が同様に効くからです。

同様の治療がなされているのは性的な問題行動だけではなく、アルコール依存症やギャンブル依存症、薬物依存症などもそうです。
私は将来的には「依存症」または「使用障害」として病名がまとめられるのではないかと予想しています。
嗜癖(依存対象)が違うだけのことなんです。

ジャニー喜多川氏が「性嗜好異常」「パラフィリア症」だっただろうと発表されたことで性依存症についての認知や治療が進んで欲しいなと思うのですが
病名が違ければ全く違う問題だと人々は思いますので、性依存症治療の認知も進まないだろうなというのが悲しいところです。

性的な問題行動について人々が適切な治療を受けて加害や被害を防ぐ世の中になるには、まだまだ時間が掛かってしまいそうです。


パラフィリア症群に含まれる「小児性愛症」

パラフィリア症群とは世界保健機関(WHO)による国際疾病分類(ICD-11)において
要約すると
・「非定型的な性的興奮が持続的に強い」(性嗜好の異常性)
・「性的同意を正しく得られない相手(幼い・無防備・動物)へ向かうこと」(同意なし)
・「本人の日常生活に害を引き起こし、他者に危害を及ぼしている」(加害性)
などが特徴として挙げられております。

強迫的性行動症が浮気や不倫や不特定多数や過剰な自慰などの性行為がやめられない状態であるのが多いなか
パラフィリア症は痴漢や盗撮や不同意性交などの犯罪に発展するケースが多いという分類になっています。

この件からジャニー喜多川氏は小児性愛や同意なしの行為がやめられない状態であったと判断されたのだと思います。

加害者が幼少期に自身も性被害を受けていたというのも性依存症治療を受ける仲間の話ではよく聞く話です。
私自身は犯罪にこそ至っていないものの、そのパターンです。


ペドフィリア差別に反対します

そして今、SNSなどではこの件から
「#ペドフィリア差別に反対します」
というハッシュタグと
「#ペドフィリア擁護に反対します」
というハッシュタグが生まれて物議を醸しています。
ペドフィリアとは小児性愛者のことを指しています。

今回SNS上で見かけたペドフィリア差別とは、性犯罪を犯していなくとも小児に性嗜好を持っている人間は逮捕しろ死刑にしろというものでした。
そのお気持ちはわかるのですが、やはり単なる差別であり認められるものではありません。
SNS上でそれを言っている人も本気ではなかったりしますしね。
ただ、本気では言っていないものの、小児性愛に差別的な感情を持っている人は少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。
実際に被害に遭った人がそう考えていて、SNS上で差別発言をしてしまう心も被害者でもある私には理解できるものです。

それらの発言を受けて誕生したのが「ペドフィリア差別に反対します」というハッシュタグでした。

自分はペドフィリアだけども性犯罪を犯していないのだから差別をするなというものです。

理屈としては差別に反対しますは正しいです。差別はいかなるときも許されず、差別を許してしまえば世の中は良くなるどころか逆に悪化してしまいます。

そのハッシュタグを受けてまた誕生したのが「ペドフィリア擁護に反対します」というハッシュタグです。

SNS上では言い争いが巻き起こり、双方話し合って理解し合うどころか憎しみ合うばかりです。

彼らは理屈ではなく感情で話しているので、お互い理解や解決に向かうことはなく憎しみの感情だけ増幅するという悪循環に陥ってしまいます。
ペドフィリア差別は助長され、ペドフィリアは理解が得られないと諦めて心を閉ざし、犯罪へと向かってしまいます。

その結果また新たな性犯罪が起こり、被害者が生まれます。
そしてまた差別が強くなります。
SNSでの言い争いをしてる人々は自分たちが犯罪を生み出している原因であるという自覚はありません。
ただただ「相手を言い負かす」という快感を欲しているだけです。


自分は小児性愛(ペドフィリア)という性癖に生まれただけ

ペドフィリアたちの主張の多くには「自分はこの性癖に生まれたのだから仕方ない」というものがあります。
先天的な性癖であるので、性犯罪を犯していない限りは認められるべきだというものです。
もちろん犯罪者ではない者を犯罪者扱いすることは差別であり認められません。
しかし「生まれ持った性癖である」という考えにはひとつ注意していただきたいなと思っています。

私は小児性愛だと自認する方が成人と結婚して幸せに暮らしているケースを多々知っています。
自助グループでも元々は小児性愛だという方が回復して結婚しているお話も聞きました。
小児性愛=病気というわけではないと思いますが、先天的な性癖であるという考え方はやや危険かなと思うのです。

小児性愛だけでなく、性嗜好が変化した話も多く聞きました。
実生活での出会い、または治療などでも変化する余地は十分にあると思います。
そこで「先天的な性癖」という思いこみをしてしまうと、一気に人生は不幸なものから抜け出せなくなるのではないでしょうか?
小児性愛は決して性的同意が得られるものではありません。
「自分は小児性愛という性癖である」と思い込んでしまうと一生性生活を失うことになります。
小児性加害に至ってしまう人も同じように「自分はこういう性癖だから仕方ない」と語ります。
諦めているんです。
その絶望感が性犯罪へと向かう認知の歪み、エネルギーになってしまいます。

「成人と付き合ってもダメだった」というケースもあるとは思いますが、そもそも性生活自体がお互いの愛情などを得た特別な状態であるので、セックスは誰もが出来る容易いことではないと思います。
私もいわゆるロリコン傾向はあるので、絶対に性癖は矯正できる!と簡単には言えませんが、性癖は変化してゆけるものであると信じることから始めることは大切なのではないでしょうか。


なんで性犯罪者と仲良くするんですか?やめてください。私は一生性犯罪者を差別します。

性犯罪者に対する差別。
これは私が実際にネットで言われた言葉です。
性依存症自助グループではミーティング後に一緒にお茶をしたり、趣味を一緒に楽しんだりすることがあります。
私はマンガの中で痴漢のオーバーさんと仲良く過ごしている描写を描いたところ
性犯罪者と仲良くするなんて酷い。あなたも性被害者じゃないんですか?
という批判と苦情を受けたことがあります。
これは加害者支援をしている人々もかならず受ける苦情だそうです。
被害者の心としては性犯罪者は絶対に許すことは出来ず、生涯差別したいのだと思います。
ただやはり、性被害者でありながらも、性犯罪がなぜ起こってしまうかを身をもって知ってしまった私には性犯罪者であっても差別することはできません。
差別はまた新たな犯罪・被害者を生む土壌を作り出してしまうだけだからです。
私は性犯罪を本当に憎んでいるからこそ、性犯罪者の差別は同じように許せません。
必要なのは差別ではなく治療や支援です。
加害者支援をしている人々も犯罪を防ぐために支援を行っているんです。
もちろんこのとき、差別をしてしまう人々の心の治療や支援も必要であると同時に思うのです。


ネットやSNSの言い争いでは解決できない。だからマンガという物語に書きたい。

ジャニー喜多川氏の幼少期の性被害や心の病について、今回改めて確認が取れました。
おそらく生前に診断を受けて治療をしていたわけではないと思います。
性依存症自助グループでも高齢の方は多くいらっしゃいます。
70代80代になっても彼らが言うのは「やめつづけなければいけない」
私は初めて性依存症自助グループに繋がったとき
どんなに老いて性機能を失おうと性的な問題行動は止まないのかと絶望した気持ちになりました。
ジャニー喜多川氏もほぼ亡くなるまで性加害を続けていたことになります。

こういった事実や今回のSNSの騒動を見ていて私は改めて、本当に性加害性被害をなくしてゆけるものは治療である・それを伝えられるマンガや物語であると強く思いました。

みなさまはどう思うでしょうか。
どうか本当に性犯罪を憎む気持ちがあるのでしたら性依存症や治療について知ってくださったら嬉しいです。
性犯罪はなくせます。
それを信じることから始めませんか。



私のマンガ
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