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街を変える

住み慣れた心地のいい街が、他人の空気を出した。

あんなに住みやすかったのに、見慣れた景色さえもよそよそしかった。
別にそれが気持ちわるかったって言いたいわけじゃない。

必要のない街になった瞬間に、こんなに変わるものなのだと。

感情に伴う景色の見え方の変化に驚きを隠せなかった。


これまでたくさん引っ越しをしてきた。
今回が一番、これまでの生活に対して持つ意味合いの強い引っ越しかもしれない。

好き好き言い合っていた恋人と住んでいた街を、もう好きじゃないからと別れて離れる。
この生活で違ってしまった自分を元に戻しながら、でもよく変わったところはそのままに、新しい街で生活をはじめる。

感情てんこ盛りじゃないか。
これまでの引っ越しに、こんなに感情が詰まってたことなんてない。


入居日に新居の最寄駅に降りた瞬間、「ここが私の暮らす場所」とすんなり思えた。

と同時に、「やっぱり結構ドライなところあるよなぁ」とも思った。
すっと切り替えてしまえるあたり。
おや?おやおや?となってから別れるまでも早かったし。

ともかく、新しい私の場所は人がたくさん住んでいて、おだやかで、静かで、まだよくわからないけれども感じが良い。
ひとりでゆっくり生活して、目標に向かって仕事をして、好きな服を買って好きなものを食べるにはもってこいの街と部屋だと思う。
早くネットが引けたら100点満点だ。


これからしばらく私は、「気に入った服を買って、それを着て仕事をして、稼いだお金でおいしいものを食べて、映画館に行って、おもしろい話をたくさん聞いて、全部自分の血肉にして、たのしいすてきな人になりつつ、お金持ちになるべく貯金に励む」ことに勤しもうと思う。

これまでの集大成をさらに大爆発させたような人間になりたい。



他人の顔をしたのは、住み慣れた街じゃなくて私の方だったのかも。


なんちゃって。



たのしく生きます