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いつのまにか、みんな結婚していた

高校時代の同級生(女の子)たちが、どうやらかなり結婚しているらしい。
今日初めて知った。なんだか裏切られた気分だ。

私の母校は県内トップレベルの進学校で、みんな何かしら夢を持った子たちだった。女の子もたくさんの子たちがいわゆるバリキャリと呼ばれるような社会人になる夢を持っていて、男になんか負けないぞ!って言いながら大学に進学した。本当に、胸を張ってキャリアウーマン風な服を着て都会の町並みを闊歩するのを夢見ている子たちだった。
高校では早々にドロップアウトした私も、自分の好きな仕事でたくさん活躍して生きていくことを夢見ていた。男になんか負けないぞ!って思っていた。

世でいう結婚ラッシュの第一期は、女性でいうとまず大学卒業してすぐくらいだと思うのだけれど、そこで結婚した同級生は誰もいなかった。いなくて、やっぱりそうだよね、ウチら働くの楽しいもんねって、誰とも会っていないし確認もしていないのにそう感じた。あの高校出身の女の子たちはまだまだ自分一人で立って生きていけるんですよ、って思っていた。
結婚している人を一人で立っていないなんて思っていないけれど、そうはいっても当時は心のどこかで「いざとなったら専業主婦になるんでしょ」とか「守ってくれる人がいていいですね」とかってちょっと下に見ていたのだと思う。今はそうじゃないことがわかるけど、当時は今よりもっと幼かったから「この歳で結婚した人たちは社会でがんばることから逃げた人たち」って印象を抱いていた。(ひどすぎるね)

今ちょうど結婚ラッシュ第二期に当たる歳で、社会人3年目〜4年目が終わるころ。
私の親友が結婚した。別の友達も結婚した。二人はひと段落ついたのかな、高校の同期の中ではレアな方だなぁこの歳で結婚って、なんて考えていた。一足先に幸せになりにいくのね、なんて思ったりもした。
結婚が幸せの全てだとは思っていない私とは思えないような感覚だけれど、本当にそう思った。


今日突然、半分くらいの同級生が結婚していて、その半分くらいに子供がいるということを知った。
驚いた。みんなバリキャリになって働きまくって、婚期逃して、「でも仕事が楽しいからまだ結婚したくないんだよね〜!ガハハ」って言い合うのかと思っていた。「ウチらまだ30歳だから!まだまだこれからよ!」「私今度課長になるよ!」「私も今度役職つく!」「私今度デカめの仕事のリーダーやるよ」なんて言ってるのかなって。「子供いなくても別になんとも思わないよね」「結婚したからって幸せってわけじゃないだろうしね〜」「てか結婚したら仕事に打ち込めないじゃんね」「家庭のために仕事犠牲にするなんて考えられない!」ってみんなで言い合うんだと思ってたのに。

私のこの想像に登場していた女の子はみんな、結婚した。
全員が仕事を辞めている。半分は子供がいる。バリキャリと呼ばれる子は一人もいない。
みんな、立派な奥さん、お母さん。幸せそうだ。


裏切られたと思った。羨ましくなんてない、ただ裏切られたと思った。
男に負けたくないと思ってがんばるはずだったのに、みんな今男の人と一緒になっている。勝ち負けの世界にいなくなっている。

これが裏切りでもなんでもないことだって、私はちゃんとわかっている。
けれどもやっぱり裏切りだと思ってしまう。
私をおいて幸せにひた走っていたことが裏切りなんじゃなくて、「勝ちたい」と思っていたはずの敵に私の知らないところで尻尾を振っていたことが裏切りだと思った。
幸せになるのはいい。でもあの頃の私たちは「男の人と一緒にいることだけが幸せじゃない」ってことを体現しようと夢見ていたはずだった。「一般的な幸せなんかよりもっと、自分だからこそ実現できる男のいらない幸せ、自分一人の幸せのためにがんばろう」って思っていたはずだった。


みんな結婚した。
でも私はまだその境地に至れない。それが幸せだとまだ思えない。みんなだけ大人になって、私のことを遠くに置いていったような気持ちだ。
「やっぱり好きな人と一緒にいて家庭を築くのって幸せだよ」って、私の理解できないことをみんなが考えていることがすごく悲しかった。みんな、そんなの嫌だっていってたじゃんか。「愛以前になりたい自分がある」っていってたじゃんか。
それなのに「一人でがむしゃらに働いてるよりも、誰かと一緒になってその人の帰りを待てることの方がずっと幸せだよ」って、どういうことなの。

みんなまだ4年しか働いてないじゃん。まだ何も見えてないじゃん。
まだまだ全然たくさんやれることあるじゃん。男の人と寄り添わなくても、自分の足で見に行けるところってたくさんあるじゃん。
世の中の女の子たちがどうかなんて知らないよ、そりゃ結婚して幸せだと感じる女の子たちはいっぱいいるだろうよ。でもさ、私たちは賢くてかっこいいリーダーになって「女性だってすごいんだぞ、男にだって負けてないんだぞ」ってことを世に知らしめていくためのベースをあの頃に作ったじゃんか。
なんでみんなそっち側に行っちゃったの、私たちはこっち側になる力があるじゃんか、なんでもうそっち側に行っちゃったの。って。一瞬思った。


みんなが幸せになれたのはうれしいよ。
でも、みんなが男の人の手を取ってお仕事と繋いでた手を振り払うことがさみしい。


みんな、結婚していく。
結婚したいと1ミリも思えない自分がなんかすごく足りない人間のような気持ちになる。子供を育てたいと思えない自分大きく欠けている人間に感じる。いろんな人と遊びまわって無責任に仕事に打ち込んでいる自分は、自分の人生にちゃんと向き合えていないんじゃないかって思ってしまう。

お母さんや奥さんをしている友人たちは偉大だ。
最悪自分でなくてもいい仕事よりも、自分を求める人と一緒になる決意を若くでできた友人たちは大人だ。足りていそうだ、人として。

結婚が幸せの正解ではないけれど、同じはずのものを見ていた周りが一気に違う人になっていて、なんだか、とても切ない。私のことを置いていかないでほしい。

私と一緒に、男なんていなくても仕事が楽しくて幸せだねって言ってよ。


結婚するって、何がそんなに幸せなの?
ねえみんな、働いていた時より幸せ?


幸せなんだろうね。


たのしく生きます