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息子6歳の葛藤に「ともにいるだけ」で接した結果 (#27)

我が家の6歳の息子。
彼は本当に優しく、お茶目にまわりを盛り上げ、人の痛みが分かる良い男です。
しかし、彼には苦手なことがあります。
僕の主観に過ぎませんが、コンプレックスに近いものかもしれません。

それは。自転車にうまく乗れないこと。

周りの同い年の友達、あるいは、年下の友達がスイスイ乗れているのを目で追いつつも、転ぶことや曲がれないことへの怖れを消しきれないというか、
どう扱っていいか分からないような。
僕自身も、どう接したら良いのだろうかと、常々思ってきました。

ですが、昨日、自転車を練習している中で、お互いにその糸口を見つけられた気がして、綴りたいと思います。
キーワードは、「ただ、そこにいるだけ

晴れた春の土曜日の午前中、気持ちのいい大きな公園。少し風が吹いて、桜の花びらがヒラヒラ舞い散る感じ。ちょっと練習の間が空いてしまったことを悔やみつつも、練習の舞台としては気持ちが前を向く感じです。

僕「よし、やってみようか。ちょっと間が空いたけど、からだは覚えているからね」
彼「うん」

彼は、ペダルに足をかけ、右足をグンとふみつけます。
乗れた、こげた、ふらつきが安定していきます、乗れてる、乗れてるよ!
曲がろうとするが、急ハンドルで転んでしまいます。
自分で自転車をおこし、再スタート。
うん、こぎ出しは順調。あたたかな陽射しが彼を照らします。
さあ、そこをゆっくり右に曲が・・・れなかった。
転ぶ、顔からモロにいった。
下唇から、赤い血がにじむ。
泣きたい気持ちを必死でこらえているのが伝わります。

僕「転ばないで自転車乗れるようになった人は、いないからね」

僕は、なんと空しい言葉を発してしまったのだろう。励ましというより慰めだ。
僕の中にある「せっかく公園に来たのだから、もうちょい練習しようよー」という気持ちが、そんな言葉を生んでしまったのでしょう。
彼が感情の渦の中にいることを自覚した僕は、コーアクティブ・コーチングで学んだ「コーチが何も言葉にせず、ただともにいるだけで良い時がある」を思い出し、実践することにしました。

僕は、何も言わず、じっとそばに居続けました。彼の動きやまとっている空気をじっと聴き続けます。
自分で自転車をおこす。スタンドをおろす。
スタンドを上げて、シートに腰をおろす。
また自転車からおりて、スタンドをおろす。
飛んでいるモンシロチョウや草の観察を始める。
モンシロチョウをおいかけまわす。
歩いて自転車に戻ってくる、スタンドを上げる。
うまく乗れている同年代の子を、目で追う。
下唇が気になる。
スタンドをおろす。
スタンドを上げる、シートに腰かけ、ペダルに右足をかける。
目が変わった。
右足を力強く踏み、前へ、前へ・・・
僕も、走って追いかけます。

僕「いま、どんな気分!?」
彼「きもちいい!」

この間、10分ほどだったと思います。
ともにいるだけを続けた結果、彼自身が葛藤の底打ちの瞬間に向き合い、自分で水面に上がってきたように思います。
このあと、結局何度も失敗を続けるのですが、彼はどことなく誇らしげな感じ。もしかしたら、僕が彼を誇らしく感じているから、そう感じたのかもしれません。

コーチング技法でいうと「プロセス・コーチング」というものに近いと思います。
その場を取り繕う言葉を発するのは、発する側にとってはラクなもの。
「その場で、ともにいるだけ」を続けて相手に変化が生まれたとしても、「自分は果たして誰かの役に立てていたのだろうか?」と、役に立てている実感などありません。
でも、僕は相手の力を信じたいと思います。僕に力など無くていい、力があるのは相手なのだから。
be with you なだけで、言葉は無くていい。

帰り道、彼は、自分の自転車を「ファルコン・ブルー」と名付け、自分の道具として愛情を注ぐようです。

1,500文字もの親バカ話におつきあいくださり、ありがとうございました。
今日も、佳い日で。

* * *

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