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ワン・トゥ・ゼロ(1→0)

こんにちは、BYARDの武内です。
今回のnoteは成田悠輔さんのこちらをTweetから着想を得て、書いていきます。


1.「ゼロ・トゥ・ワン」と「ワン・トゥ・ゼロ」

ゼロ・トゥ・ワン(0→1)

こちらの概念はピーター・ティール著『ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか』が有名です。10年前の本ですが、今でもこの本を読み返すというスタートアップ経営者はたくさんいるほどの名著です。

特にこの冒頭の一節は有名で、色々なところで引用されているので、この一節だけは見たことがあるという人もいるでしょう。

ビジネスに同じ瞬間は二度とない。次のビル・ゲイツがオペレーティング・システムを開発することはない。次のラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンが検索エンジンを作ることもないはずだ。次のマーク・ザッカーバーグがソーシャル・ネットワークを築くこともないだろう。彼らをコピーしているようなら、君は彼らから何も学んでいないことになる。

ピーター・ティール『ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか』より

「事業を成功させるためには、競合との競争に勝たなくてはならない」という思い込み、いわゆる競争戦略ばかりを考えてしまう経営者は多くいます。資本主義では競争は避けられないものであり、生き残るためには競争に勝ち残らなければならないと考えれば考えるほど、収益はゼロに限りなく近づいていきます。

ピーター・ティールがとなえる「ゼロ・トゥ・ワン(0→1)」の重要性は、競争の真逆である「独占」をすることにあります。

新しい何かが創造される場は、均衡とはほど遠い。経済理論の当てはまらない現実世界では、他社のできないことをどれだけできるかで、成功の度合いが決まる。つまり、独占は異変でも例外でもない。独占は、すべての成功企業の条件なのだ。

ピーター・ティール『ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか』より

ゼロからイチを生み出し、市場を独占するような圧倒的なシェアを獲得することこそ、スタートアップの成功の条件です。失うものがないスタートアップだからこそ、ゼロからイチを生み出すためにとにかくトライ&エラーを繰り返すことが重要なのです。

ワン・トゥ・ゼロ(1→0)

成田悠輔さんのTweetにある「ワン・トゥ・ゼロ(1→0)」はスタートアップで成功するとか、独占するとか、そういう話ではなく、「いったん始めたものも、不要になったらちゃんとやめるようにしよう」という意味だと私は理解しました。

考え方はいわゆる「断捨離」と同じかと思いますが、個人とは違い組織でこれを徹底するのは結構大変です。サイバーエージェントの「捨てる会議」などはこの取り組みとして有名な事例です。

新しいことに取り組むにはかなりのエネルギーが必要ですし、組織であれば新しいことを認めてもらうためにかなりの労力と時間を使うでしょう。しかし、いったんスタートしてしまうと、ほぼ見直しは行われずに惰性で続けられていくのです。

仕事が早い人とは、作業スピードが速い人ではなく、必要のない作業を見極めて、やめてしまえる人です。

羽田康祐k_bird「無駄な仕事が全部消える超効率ハック」より

生産性向上に取り組む際はどうしても目の前の「作業の効率化」にフォーカスしてしまいがちです。作業の効率化は即効性はあるのですが、その効果はすぐに頭打ちになり、かつ、全体の生産性には大した貢献はできないという結果になります。

効果が大きいのは、必要のない作業(プロセス)をやめることです。始めた当初は意味があった各種業務プロセスも、時間の経過や環境の変化によって意味が無くなることが多分にあるからです。この「ワン・トゥ・ゼロ(1→0)」にもかなりパワーが必要ですが、ちょっとした作業の効率化よりも遙かに生産性の向上に寄与します。

では、なぜ多くの企業が「ワン・トゥ・ゼロ(1→0)」ができずに、業務を膨張させ続けてしまうのか。

2.全体像が見えてないから、やめられない

「Excelで管理しているが、現場がカオスでしんどい」
「マニュアルを数年前に作ったが、更新することができずに、今では誰も使っていない」
「担当者が頑張って処理をしてくれているが、複雑で誰も手伝うことができない」

こういう相談をいただき、現場の状況をヒアリングさせていただく機会が結構ありますが、多くの現場では「自分たちがやっている業務プロセス」をきちんと把握できていません。

自分たちの業務なのにそんなわけがない、と思うかもしれません。もう少し正確に表現するなら「自分のやっている業務(だけ)は把握しているが、前後を含めて業務プロセス全体は把握していない」ということです。

では、マネージャーは業務プロセス全体が見えているかというと、決してそんなことはなく、自分のところに回ってきたものを「承認」はしていても、全体のプロセスではなく、その内容だけしか見ていない場合が大半です。

各自がそれぞれの持ち場で、与えられた役割を頑張ってこなしている。これが正しく機能するためには、マネジメントレベルが状況に応じて業務プロセスの見直しを行ったり、各種の調整をする必要がありますが、日本では管理はしても、マネジメントが機能していないため、現場の頑張りが正しいアウトプットに繋がっていないケースが非常に多いのです。

現場同士で業務を調整したり、マネジメントが見直しを指示したりすることがどうしてできないのか。この仕事を始めてからずっと疑問に思っていましたが、問題が発生する組織で必ず発生していることを1つ発見しました。

業務プロセス全体の設計図(地図)が存在せず、それぞれが自分が担当する業務のことだけを考えているのです。完全に部分最適化の罠にはまっている状態なのです。

設計図がなければ家は作れない、地図がなければ目的地にたどり着けない。

子供でも分かる理屈ですが、業務になるとどうしたことか、全体像を把握しないまま目の前の業務だけを頑張ってしまいます。

全体の業務プロセスが見えていないから、何が不要な業務なのか、どうやって改善すればいいか、という議論すら出来ません。各自がサボっているわけでもなく、個々人は頑張っているのに成果に繋がっていないという非常に残念な状態です。

解決策は1つだけ。全員で業務プロセスを可視化・構造化し、かつ、常にその業務プロセスを見ながら業務を実行し、さらには常にその業務プロセスを見直し続けることです。

3.可視化・構造化のために生まれたBYARD

日本ではずっとリモートワークは特殊な働き方だと思われていて、出社して同じ空間と時間を共有して業務を進めるのが当然とされてきました。

前述の通り、多くの企業では業務プロセスの全体像が正確に把握されないまま業務が進行している状況ですが、これまでは同じ空間・時間を共有していることによって、その場の阿吽の呼吸でギリギリのところで調整したり、誰かが頑張ってカバーをしてきたため、大きなトラブルには発展しなかったのです。

コロナ禍によって多くの企業が強制的にリモートワークになり、コロナが五類になって正常化した後も、リモートワークという働き方がかなり根付いた印象を受けます。

リモートワークには、お互いの状況が見えにくいという特性(デメリット?)があります。リモートワークになっても、全員が出社していた時と同じようなスタイルで業務を回していたら、確実に問題が発生します。

リモートワークをするためにはデジタル化はもちろん必要ですが、ツールを導入すれば解決するわけではなく、業務の土台から変えなければうまくいきません。

そんなことを考えながらコロナ禍の強制リモートワークで混乱している各社の状況を見ていて、改めて認識したのが「可視化・構造化」の重要性でした。

業務プロセスの全体像を把握することが難しい理由は、それらが適切な形で可視化・構造化がされていないからです。つまりは、既存のマニュアル、チェックリスト、フロー図などはこの観点ではあまり役に立っていないのではないか、というのが私の仮説でした。

リモートワークではなくても業務の可視化・構造化は重要ですが、リモートワーク下ではその重要性は更に高まっています

そういうことを考えていた時に思いついたのがBYARDの「ストリーム」という概念でした。

業務プロセスが適切に可視化・構造化できていないことにより、業務が属人化してしまい、効率化や改善をすることが難しくなってしまった企業がたくさんあります。

BYARDはいかに簡単に業務を可視化して、構造化していくか、という部分に尖ったツールです。最終的にはBYARD上で業務プロセスをコントロールすることで、改善に繋げてもらうことまで意図してしていますが、まずは可視化・構造化ができないと始まらないので、とにかく業務の棚卸しや整理をBYARD上で行ってもらうことにまずは注力することをオススメしています。

業務プロセスの全体像が見えないことによる不具合は、組織のサイズが大きいほどに深刻な課題になっていきます。個々人が頑張って業務を回す、拾う、カバーするなどでは対応することが不可能になるからです。

私の感覚では、従業員数が300名を超えてくるあたりからこの課題が顕在化し始め、1000名を超えてくると業務プロセスが可視化・構造化されていないことによる問題はかなりヤバイ状態になっていきます。

BYARD上で業務プロセスを構築すれば、今までなんとなく感覚でやっていた業務や、特定の担当者に属人化していた業務が、誰が見ても分かる形で可視化・構造化がされます。

「ワン・トゥ・ゼロ(1→0)」を定期的に行うためにも、まずは業務プロセスの可視化・構造化がなければ話になりません。可視化・構造化ができていなければリモートワークもうまくいかないでしょう。

業務がうまく回っていない、属人化していて全体像が見えなくなっている、などの状態に陥ってしまっていたら、まずはBYARDを使って業務プロセスの可視化・構造化をお試しください。

BYARDのご紹介

BYARDはツールを提供するだけでなく、初期の業務設計コンサルティングをしっかり伴走させていただきますので、自社の業務プロセスが確実に可視化され、業務改善をするための土台を早期に整えることができます。
BYARDはマニュアルやフロー図を作るのではなく、「業務を可視化し、業務設計ができる状態を維持する」という価値を提供するツールです。この辺りに課題を抱える皆様、ぜひお気軽にご連絡ください。

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