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2019年の振り返りと2020年以降の予測

こんにちわ。
業務設計コンサルティングBrownies Worksを提供しているリベロ・コンサルティングの武内です。

2019年も残りあと少し、ということで今年の振り返りと、2020年代の予想をつらつらと書いてみます。

2019年の振り返り

リベロ・コンサルティングという会社は2018年12月20日登記ですので、実質は2019年からスタートした会社です。それまあで数年間はサラリーマン+副業という状態で働いてきましたが、いよいよ自分のスキルと経験で勝負していこう気持ちで作った会社でした。

Libero(リベロ)とはイタリア語の「自由」という意味ですが、サッカーのリベロというポジションが持つ「DFから攻撃の起点になる」という特性をイメージしています。ここでいうDFとは、企業におけるバックオフィスのこと。裏方、コストセンターというイメージを覆し、企業を支える重要な仕事として再定義していきたいという意味を込めました。

僕自身は税理士資格を持ってはいますが、会計事務所で働いた期間はわずかに3年。従来型の税理士としてのビジネスモデルには、税理士登録をする前からあまり将来性を感じていなかったこともあり、税務という部分には最初から固執することなく、企業のバックオフィス全体を業務領域と捉えていました。

結果として、2019年の前半はsalesforceやkintoneの導入時の設計(要件定義)をメインの業務としつつ、スライドや原稿なども頑張ってみました。仕事の方はありがたいことに、そこそこに忙しい程度のご依頼をいただき、ヒアリングして、設計して、エンジニアに依頼して、納品までサポートするという案件が常に複数走っている状態でした。完全に個人的なネットワーク経由での受注がメインでしたが、ご紹介いただく際のポートフォリオとしてスライドやSNSでの露出が重要だと思っていたので、コンサルティングで日銭を稼ぎつつ、将来への投資としてスライドや原稿を作り続けました。

スライドの方は、やはり期限がないと無報酬の仕事は後回しにしてしまうので、すべて「登壇依頼を受けてから作成」するスタイル。登壇する場所で目の前の人に話すだけではなく、最初から「Web上で広く公開する」ことを意識して作っています。10分のLTでも40枚近いスライドを作っているのは、LT中では伝えきれなくても、後からスライドを読んでもらうことを重視してのことです。

途中からデザイナーさんにも入ってもらうようになり、スライドのデザインではなく、より伝えたいメッセージや全体の構成に集中することができるようになりました。スライドという「パッと見て分かりやすい」ものがあるおかげでTwitterのフォロワーも順調に増えました。

一方で原稿の方は、僕に文才がないということだと思いますが、テーマ選びや表現力も含めて、色々とやっても全く手応えがない、という結果となりました。分かりやすい文章で、専門家らしい着眼点で、たくさんの人に届けるというのは本当に大変だということが、よく分かりました。

業務設計やバックオフィス改善というテーマはどうしてもフロー図やイメージでパッと見せてしまった方が分かりやすいので、2019年の後半はスライドは紙芝居形式でパラパラめくれて、そこにnoteでわりとパッションを載せた文章を付加する、というスタイルにしました。スライドは読んでもらえば分かると信じて、noteでは説明ではなくちょっと違う角度から言いたいことを書く。スライドがメインなのでnoteはおまけ。そして、プレゼンもスライドにないことも結構話すので、スライド+当日のプレゼン+noteで1つのアウトプットが完成する、というものを目指しました。

このnoteとかはその狙いがある程度成功したんじゃないかと思っています。反省点としては、1つのnoteが長すぎること。来年はもうちょっとコンパクトに言いたいことを言えるようにしていきたいと思っています。

さて、2019年の後半のビジネスサイドは、Brownies Worksのリリースに向けて、色んな人に手伝ってもらったり、壁打ちに付き合ってもらったり、準備期間と位置づけて活動してきました。そんなに資金が潤沢にあるわけでもないので、業務設計の方の依頼も対応しながらでしたが、コンセプトやデザイン、ビジネススキーム、ターゲットやポジショニング設定など、ゼロからサービスを立ち上げる経験が一通りできました。

そして、12月27日、年内最終営業日でギリギリにWebサイトはリリース。まだまだプロトタイプではありますが、2020年はBrownies Worksを本格的に展開していける下地がなんとか整いました。

2020年以降に起きること

2020年以降は、「中小企業がSaaSをきちんと使いこなすためのサポートビジネス」が確実に増えてくるでしょう。この「SaaSをきちんと使いこなす」という部分は、各SaaSのカスタマー・サクセスが担うものではあるのですが、それはある程度体制の整った中堅以上の企業を相手にしてこそ成り立つ話。

専任の担当者もいないような中小企業に対しては、カスタマー・サクセスはあまり機能していないし、大して料金を払ってくれているわけでもない顧客なので、そこまで手厚く対応もできません。

SmartHR社が発表した「30名未満の企業は無料プラン」というリリースは、スモールビジネスにおいては歓喜で受け止められましたが、裏の狙いとしてはコストに見合わない中小企業にはサポートは提供しない、という宣言でもあると理解しています。

この領域は従来は士業(特に税理士や社労士)によるサポートが期待されていましたが、高齢化した士業においてはITの進化に全くついていけない層も増えており、士業が選ぶツールが業務効率化を阻んでいるという弊害まで出てくるようになりました。

そこでニーズが増してくるのが、前述の「SaaS活用をサポートするビジネス」になります。ツール利用料や顧問料のおまけではなく、きちんとフィーをもらってSaaSを活用する体制を整備することを支援することで、企業側の生産性は何倍にも高めることができます。弊社のBrownies WorksTECO Designさんが提供しているサービスがこの領域にあたります。

SaaSのサポートやカスタマー・サクセスでは対応仕切れず、士業も満足に支援できないぽっかり空いたホワイトスペースを埋めようとするいわゆるプロフェッショナル・サービスです。

士業やSaaSのカスタマー・サクセスとは競合ではなく、パートナーの位置づけになり、きちんと機能や業務を理解して整理した上で活用することで、SaaSの真のポテンシャルを発揮することができるのです。

SaaSやサブスクリプションという言葉がようやく広まってきましたが、まだまだ「ツールを入れれば解決する」という幻想を抱く人が多いのが現実です。ツールを使って何をどう解決していくのか、という本質にしっかりとフォーカスをしたサービスのニーズは確実に高まっていくでしょう。

もう1つは、人材サイドに対する意識の変化です。これまでは、非効率な業務や古いシステムであっても、文字通り物量としての人を投下することで無理矢理対応してきたのですが、最近ではこの力技が使えなくなってきています。そのきっかけは「働き方改革」と「人不足」。今の働き方改革の施策はまったく的外れなものが多いですが、「マンパワーを無尽蔵に投下することができる」という誤った経営者の意識を変える1つのきっかけになったことは一定の成果だったと言えるでしょう。

例えば、年末調整という労務担当者にとっては悪夢のような業務があるのですが、SmartHRをはじめとする労務系SaaSを活用することでこの業務を十分の一以下のマンパワーで対応することができます。この事実を前にしてもまだ「従来の紙での対応」を続けるような企業には、労務担当者も労働者も集まらなくなる、という時代がすぐそこまできています。業務を効率化するシステムを導入することはコストではなく、もはや必要経費であり、そこをケチる経営者のもとでは働く人がいなくなるはずです。

これから労働人口が減っていくことが確実な日本において、その貴重な労働力に単純作業をさせておくような余裕はありません。人による作業は最も簡単な解決策でもなく、最も安価な手段でもないのです。経営者はもちろんそうですが、働く側もこの転換点に立っているという自覚をして、仕事を選ばなければいけません。

作業に対する単価はどんどん下がっていくし、将来的には完全にシステムに代替され、作業そのものがなくなっていくでしょう。例えば、自動改札の登場によって、「切符を切る」という駅員さんの仕事はほぼなくなりましたが、それと同じようなことが特にバックオフィス系の作業ではどんどん登場してきます。その流れが2020年代はより顕在化してくるので、作業しかしない人と自分の頭で考えて仕事をしている人の格差がより顕著になってくるでしょう。

今更デジタルトランスフォーメーション(DX)を標語に掲げるまでもなく、むしろデジタルシフトが遅れた企業は、効率化の部分で大きなハンディを背負うことになります。システムが人々の仕事を奪うのではなく、仕事の仕方が変わりつつある分野からは人手が不要になり、新しい仕事が生まれるという循環になっています。

2020年代では人工知能がすべての仕事を代替してくれるようにはならないでしょう。システムをうまく活用した人と、従来のやり方にこだわってしまった人との間の生産性は、システムが進歩するほどに開く一方になります。2010年代は様々なテクノロジーに注目が集まりましたが、2020年代はそのテクノロジーをいかにうまく活用するかがメインになるはずです。

学校の教育システムも、企業での仕事の仕方も、まだまだ日本は高度成長期の影を引きずってしまっている部分が多いですが、人口減少の影響が様々な分野で表面化する2020年代には、多くの「これまでの常識」を疑い、テクノロジーを正しく活用して効率的な仕組みに作り替えていくことが必要不可欠です。

働き方改革とは、本来的には仕事の仕方や仕組みそのものを大きく変えることにあるはずです。制度疲労を起こしつつある多くの仕組みにこだわるのではなく、テクノロジーによって人間が人間らしい働き方や生き方を取り戻すことができる2020年代になることを個人的には期待したいと思っています。

まだまだ小さいですが、Brownies Worksはそういう観点でシステムとバックオフィスの仕組み、働き方をアップデートできる存在となるように、2020年から本格的に展開していきます。

長くなりましたが、それでは良い年末年始をお過ごしください。

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