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BYARDの2022年を振り返って

こんにちは、BYARDの武内です。
2022年も残すところ数日となり、すでに年末年始休暇に入られている方も多いと思います。BYARDはフルリモートの会社なので、「誰もいないオフィス」みたいな描写はないのですが、今日・明日はまったくミーティングが入っていないことで年末感を感じています。

2022年はBYARDというプロダクトについてあれやこれや考えることが多く、noteやスライドなどのアウトプットが少なかったな〜という反省もあり、この1年を総括するnoteを書いてみることにしました。

β版でつくったものを捨てることを決める

BYARDというプロダクトについて考え始めたのは2020年の後半ぐらいからですから、もう2年以上もバックオフィス領域における課題解決について考え、それをプロダクトとしてどう提供していくのか、ということを考えていることになります。

ここまで色々ありましたが、割と早めに「こういうものを作ればいけるんじゃないか」という仮説は固まり、システムの構成もすぐに決まり、作り始めることができています。

プロトタイプ(というかモックレベル)をお見せしながらの打ち合わせもかなり反応が良く、手応えを感じていました。しかし、いざ出来上がったβ版を提供すると・・・全然ダメでした。

コンセプトはいいが、プロダクトとしての機能以前に、とにかくパフォーマンスが悪い。操作性以前に画面の読み込みや反応が全くはなしになりませんでした。ちょっとデータが増えただけで一覧表も表示できなくなる始末。

100社近くの企業様に触っていただきましたが、多くの方が1回ログインしたっきりで、そのままフェードアウトしてしまいました。

エンジニアとも色々と検討を重ねましたが、できることは色々あるが今の延長線上で改善を続けてもすぐに限界を迎えることが見えているという結論に達し、リファクタリングではなく、リビルド(作り直し)をすることにしました。

方向性は間違っていない、と自分たちに言い聞かせながら、文字通りゼロから再構築する日々が始まりました。

なかなかできないリニューアル版

再構築とはいえ、作りたいものはある程度見えているし、予定では春にはカットオーバーしているはずでした・・・

ただ、色々な要因が重なり、調べながら、考えながらの再構築となり、1つ壁を乗り越えたら、また新しい壁が現れるような状態で、なかなかプロダクトとしてご提供できるようなものが出来上がってきませんでした。

そんな中で、パートタイムで手伝ってくれていた業務委託の方々がほぼフルコミットに近い形で関わってくれるようになり、CTOの過去の人脈からベトナムのオフショア開発会社とも契約し、開発チーム、という形がなんとか組成できました。

遅まきながら、この辺りからきちんとスクラム開発を開始し、今作っているもの、これから作るもの、が全員で共有できるようになり、かつ、1週間のスプリントのリズムが出来てきたことにより、開発スケジュール通りに進むようになってきました。

チームと呼べるようなものではないから、と属人的に進めてきた開発体制でしたが、人が増えただけでなく、明らかにスクラムによって前に進む道が開けた感じでした。もっと早くやっておけば良かったやつです。

ついにリニューアル版をローンチ

そして、2022年10月1日ついにリニューアル版がローンチされました。

まだまだ機能としては十分ではありませんが、当初から作りたかった「直感的に業務プロセスが組み立てられて、そのままタスク管理にも繋げられるもの」がここで1つの形になりました。

正直これがきちんと動くまで、お客様に提供することが怖かったです。業務プロセスをBYARD上で構築し、いざ現場で使ってみたら超使いにくいし、止まるし話にならない、となったら目も当てられないからです。

まだまだパフォーマンスに改善の余地は大きいものの、社内でドッグフーディングをして、実際の契約管理や入社プロセスを管理するのに問題ないレベルになり、かつ、β版の頃からずっとリリースを待ってくれている数社のお客様が「これで業務を回せる」と言ってくださり、ようやくBYARDというプロダクトが世の中に出ていくことができました。

10月から公開している今後のリリース予定

スクラム開発が機能していることで、予定していた機能も順調に公開することができ、10月のローンチ直後のころよりもデモをした際の反応が最近では格段に良くなっていると感じています。

売るのが結構大変

さぁこうなれば後は売るだけなのですが、「業務管理ツール」という領域はコンペリングイベントが作りにくく、かつ、競合比較されるツールの完成度も高く、さらにはNice to haveになりやすく、まぁなかなか簡単には売れません。

解決したい課題は、単なるタスク管理やプロジェクト管理ではなく、業務の引き継ぎや属人化からの脱却というかなり抽象的なもの。そもそもExcelやスプレッドシートで管理している企業も多く、わざわざ新しいツールを入れて解決したい、というほどペインが顕在化していません。

しかし、SmartHR社の導入事例を公開したあたりから、お問い合わせや商談での温度感が変わりました。

タスク管理やプロジェクト管理ではなく、業務設計や引き継ぎにおける課題解決ができる、という部分がこの導入事例によって伝わるようになり、労務や法務、人事などのバックオフィスはもちろん、営業やマーケなどにおいても「業務プロセスを可視化し、コントロールする」という文脈で導入いただけるようになりました。

なんとか年内に目標としていた契約数も達成できて、2023年はここから飛躍の1年にしようという想いを強くしました。

合理的に考え、曖昧さを許容する

では、あたらめて、私たちが作っているBYARDとはいったいなんなのか。

抽象的であることは認識した上でお話しすると、ずっと「いかに曖昧さを許容するプロダクトを作れるか」ということを考えています。

システムとは本来超合理的なもので、合理的であるからこそ超高速に処理ができて、正確な答えが出せるのものです。業務を進める上で、その特性は存分に活用するべきですが、では合理性だけを突き詰めていけばいいのか、といったらそういうわけでもありません。

少なくとも現時点のテクノロジーでは、「合理的に処理することは出来ても人間の代替にはならない」のです。そして、人間とは結構曖昧で不合理な判断を頻繁に下す生き物であり、必ずしもそれが間違いとは言えないのです。

業務プロセスを設計する際に、ワークフローツール上でやればいいのでは、という意見をいただくことがありますが、あれは「合理的なプロセス設計」しかできないものであり、だからこそ稟議などで活用されるのです。稟議には曖昧さを許容する余地はないからです。

一方で、実際の業務プロセス全体を眺めれば、大きな流れは決まっているものの、人間同士の個別の調整があり、様々な不確定事項があるまま業務は進み、予想外の出来事や手戻りが発生し、それでもなんとか前に進めなければいけないものなのです。

業務の効率化も、多くの人は「自動化」の方向に答えを求めがちですが、前述の通り人間行っている業務は曖昧さを多分に含んでおり、自動化できるような単純な繰り返し作業はそのうちのほんの一部に過ぎません。また、一度自動化をしてしまうと、そのプロセスはブラックボックスになり、かつ、一切の例外を受け付けなくなってしまうので、それらをメンテナンスし続ける工数がかなりかかります。

自動化は暫定的な措置だと割り切って構築するのはいいのですが、ずっと業務プロセスの中に組み込むには、まだまだ人間同士の業務は合理化されていないのが現実です。

よって、BYARDは「自動化する前にまずは業務プロセスを可視化し、整理する必要がある」という信条のもと、機能を組み立てています。業務設計がきちんとできてさえいれば、必要な自動化はいつでもできるとも思っていますし、本当の課題は自動化では解決されないと感じています。

そういう思考を突き詰めていくことでたどり着いたのが「曖昧さの許容」でした。人間の思考回路はそこまで合理的でもないので、それを受け止めるキャンバスとしてのプロダクトを作れば、業務プロセスをBYARDで構築しやすくなるのではないか、と考えました。

業務の手順を厳密に定義することはいつでもできます。できますが、厳密過ぎる業務手順はすぐに実態と乖離し、例外処理が無限に生まれてしまいます。それよりも全体像をまずはしっかりとBYARD上で表現することが重要だと思っています。

また、抽象→具体→抽象・・・という形で、全体を常に見ながら、個々の業務の詳細を詰め、また全体を見る、ということをスムーズに実現することが必要不可欠です。既存のタスク管理ツールやプロジェクト管理ツールは「期限管理」に引っ張られて、具体に寄りすぎているのです。

タスク管理ツールともプロジェクト管理ツールとも、そして業務フロー図とも違う、業務の流れを中心に構築していくことができる唯一無二のツールがBYARDです。気になった方は、ぜひこちらから資料ダウンロードをしてみてください。

We are Hiring!!!!

だいぶ苦労はしましたが、2022年の後半から「こういうのが欲しかった」と言われるケースも増えており、埋もれていたニーズを掘り起こしつつあります。PMFまでもう少し!!

2023年を飛躍の年にするためにも、BYARDはあらゆるポジションで絶賛採用中です。フルリモート・フルフレックスで働ける環境も整えておりますので、日本全国からの応募をお待ちしております。

2023年もBYARDをよろしくお願いします。

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