それは経営者の責任です
こんにちは、BYARDの武内です。
先日、うるるさん主催のコーポレートテック会議に登壇してきました。
私が登壇したセッション4のテーマは『採用・引き継ぎができない「昭和バックオフィス」を変える方法』。
長いお付き合いであるBizer・畠山さん、うるる・脇村さんと一緒に「なぜ今変わらないといけないのか」ついて、ディスカッションしました。
その中でも特に印象的だったのは、畠山さんの「会社の意思決定として、業務改善や生産性向上に取り組まなければ成功しない」というお話です。私も様々な会社の業務改善に関わってきて、この意見には100%同意です。
現場の人たちが自らの創意工夫によって業務を改善していくことに意味がないとは言わないのですが、どうしても「自分たちが分かる範囲での改善」に終始してしまいます。また、生産性を上げるという観点ではなく、ある意味「自分たちにとってやりやすい形」に改変していくことになりがちです。
これには報酬体系も影響しています。アウトプットを評価するのではなく、時間あたりいくらの報酬体系であり、生産性を上げることに対して従業員側のインセンティブがほとんどないのが実情だからです。アップサイドがないぶん、給与が下がってしまうダウンサイドのリスクもないのですが、そういう報酬体系ではほどほどに頑張るのが最適解になります。
「うちの従業員は全然工夫して仕事してくれないんですよ」
業務改善やDXがテーマのセミナーで登壇した後に、そう言って経営者の方から話しかけられたことは一度や二度ではありません。
でも、工夫させずに仕事をすることを促しているのは自社の評価制度や報酬制度であり、それは経営者自身の責任範囲なのです。もちろん、評価制度を変えるだけで業務改善が実現するほど単純ではありませんが、そこに目を向けることなく「うちの従業員は・・・」と嘆いているようでは経営者失格ではないでしょうか。
特にバックオフィス側の仕事については成果を増やすことはできないので、「生産性を上げろ」と言われると稼働量を減らすしかありません。もちろん、アウトプットの量と質はキープしたまま。
1つ1つの作業の効率化も大事ですが、大きな意味での生産性の向上に繋げるためには業務プロセス全体を見た上で、ミス(手戻り)が発生しないような手順に組み替えたり、過剰なチェック体制をなくしたり、といった打ち手が必要になってきます。
これまでのやり方の延長線ではなく、俯瞰して全体を見た上で「こうすれば生産性の向上に繋がる」という大ナタを振るうためには、経営者が「生産性の向上のために、業務プロセスの見直しを含めてあらゆる改善に取り組む」という宣言をするべきことが最も重要です。
さらに、業務を回していく中では「もっとこうした方がいいんじゃないか」「このプロセスはなくてもいいんじゃないか」みたいな気付きは無限に出てきます。これらをきちんと業務プロセスの改善として取り込むためにも、前述の経営者の宣言がなければ、「変えたいところはあるけれど、現状維持の方が楽だし・・・」という風に埋もれてしまうのです。
売上をあげるために営業部隊を増強したり、SFAやMAを導入したり、広告宣伝を実施したりする攻めの戦術もあれば、ミスを減らしたり、業務上の引き継ぎが円滑にいくようにすることで業務を効率化するような守りの戦術もあります。どちらも経営者が「これにしっかりと取り組む」という風に社内に宣言することが非常に重要です。
多くの日本企業でDX(デジタル・トランスフォーメーション)が単なるデジタルツールの導入に成り下がってしまうのも、そこに経営者の「変えよう」という本気の意思が込められてない場合が多いからです。
「人手不足」を嘆く経営者は多いですが、人手がこれから更に減っていくことは火を見るより明らかです。嘆いていたって、人手が増えるわけではありません。
これまでは安い単価で、非常に柔軟性の高い処理をヒトというリソースが、いい感じに処理してくれたのかもしれませんが、それが維持不可能になる世界がもうすぐそこまできています。
単にデジタルツールを導入するだけでは生産性の向上にはなりません。デジタル化も手段のうちの一つです。業務プロセス全体の見直しを含めてとにかくトップダウンで改革を進める必要があります。
売上を増やしていくことと同じぐらいに、業務の効率化に対して経営課題として考え、経営者自身が本気で取り組む姿勢を見せ、社内に宣言をすることが重要なのです。
SaaSが普及したおかげで様々なツールを安価で導入することが可能になりました。今までの業務のやり方を維持するのではなく、「もっと生産性を上げるためにはどうすればいいか」という目線を常に持ち、トップが変えることに「GO」を出すことではじめて、生産性の向上は実現します。
経営者が現場の業務の細かいことを把握する必要はありませんし、無理だと思います。責任者として変えることを肯定する姿勢を見せるだけで十分です。そして、現状維持(このままでいい)を過度に主張するメンバーには「NO」を突きつけ、業務をもっと良くしようと動いている人達の後押しをしてあげてください。
改革はトップダウンでしか実現しないのです。
BYARDのご紹介
BYARDはツールを提供するだけでなく、初期の業務設計コンサルティングをしっかり伴走させていただきますので、自社の業務プロセスが確実に可視化され、業務改善をするための土台を早期に整えることができます。
BYARDはマニュアルやフロー図を作るのではなく、「業務を可視化し、業務設計ができる状態を維持する」という価値を提供するツールです。この辺りに課題を抱える皆様、ぜひお気軽にご連絡ください。
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