合同会社_株式会社

株式会社に組織変更を行いました

2020年3月1日に組織変更という手続きを行い、「リベロ・コンサルティング合同会社」から「株式会社リベロ・コンサルティング」になりました。

組織変更という手続きや合同会社と株式会社の違いなど、あまり馴染みがない方も多いかと思いますので、この機会にまとめてみたいと思います。

1.合同会社とは

会社というとまずは「株式会社」を思い浮かべる人がほとんどだと思いますが、スモールビジネスにおいては「合同会社」の設立件数も増えてきており、新たな設立される会社の5分の1が今では合同会社だと言われています。

合同会社は、2006年に施行された会社法によって生まれた新しい会社形態であり、英語では「Limited Liability Company(LLC)」と表記されます。アメリカでは1977年からLLCの制度があり、株式会社よりも小規模な会社に適した組織形態として誕生しました。日本にもかつて、「有限会社」という組織形態があり、2006年に有限会社法が会社法に統合されるタイミングで誕生したのがこの「合同会社」という組織形態になります。

近年ではフリーランスになったり、独立して事業を始める人の数も増えており、スモールビジネスを始めるための受け皿として合同会社も増えてきているのです。法律上の扱いはいずれも「法人」として扱われるため、いわゆる法人化を検討する際は、まずは「株式会社」「合同会社」のどちらで設立するのかを決める必要があります。

まずは、簡単に個人事業主と法人化の違いを見てみましょう。

2.個人事業と法人化の違い

個人事業主として事業を行う人も増えてきた中で、法人化するメリットとは何でしょうか。色々な違いはあるのですが、私が考える一番のメリットは「法人」という枠組を新たに作り出すことによって、個人と完全に切り離した事業体にすることができることです。

個人事業主は、事業年度も1月から12月に固定されていますし、自分自身への給料という概念がありません。事業用の口座は別に作ったとしても、あくまでも同じ「個人」という枠組みの中で日常生活を行ったり、事業を行ったりすることになります。

これを法人化して個人とは別人格にすることによって、事業年度を自由に設定できたり、法人の内部留保と自分の給料を切り分けることができます。法人は事業のみを行う枠組みなので、法人格を持つことによって、事業とそれ以外の区分が明確に切り分けられるようになります。

法的な手続きを経て法人化することよって、取引先や金融機関からの信用も高まります。大手企業の中には「個人事業主との取引をNG」にしているところもあり、対外的な信用を獲得するために法人化するケースも多くあります。

また、個人事業主は所得税、法人は法人税というふうに適用される税目が異なり、事業規模がある程度大きくなると法人化したほうが節税になると言われています。もちろん、メリットばかりではなく、設立時に費用がかかったり、赤字でも税負担が生じたり、とデメリットもあります。細かいケースについては、顧問税理士等にご相談ください。

3.株式会社との合同会社の違い

では、株式会社と合同会社は何が違うのでしょうか。

まず、「所有と経営の分離」です。株式会社は、株式を発行して出資を受けますが、株主と経営者は別です。小さな会社の場合、株主と経営者がイコールであるケースがほとんだと思いますが、制度上はあくまでも株主総会において代表取締役を指名するという手続きを経る必要があります。

これに対して、合同会社は出資者と経営者が同じになります。ひとりで設立するにはまったく問題ありませんが、複数人で出資をして設立する際は、出資者は全員が会社の所有者となり、しかも出資額にかかわらず全員が対等な議決権を持ちます。このため、出資者の人間関係が良好なうちはいいのですが、対立が起きると合意形成ができずに事業が運営できなくなるリスクが生じます。

また、最大のデメリットは株式がありませんので、VCなどの投資家から資金調達ができないことでしょう。スタートアップの資金調達などが華々しくニュースリリースされたりしますが、合同会社の場合は基本的には借入金による資金調達のみになります。

スモールな規模のまま当面はいく場合や、副業などで行う事業など、ひとり会社の場合は合同会社でもまったく問題ありません。しかし、会社の規模を拡大していこうとする局面においては、資金調達手段が借入だけに縛られてしまうとスピード感で大きく見劣りします。

その他にも利益配分や組織運営に細かい違いはありますが、法人化を検討する上での最大の違いはやはり株式の有無でしょう。その法人化は何のために行うのか、どこを目指しているのかを考えて、株式会社か合同会社かを選択しましょう。

4.組織変更とは

「組織変更」とは、株式会社が合同会社等(合資会社、合名会社も含む、以下同じ)になること、逆に合同会社等が株式会社になることをいいます。

一般的には合同会社から株式会社へ変更するケースが多いでしょう。変更理由は様々かと思いますが、組織規模やビジネスの拡大によって合同会社という形態が合わなくなってきたことが最もメジャーな理由だと思います。

細かい手続きは、司法書士さんに相談したり、色々なサイトを見ていただくとして、組織変更で重要なポイントだけお伝えします。

手続き的には、合同会社を解散して新たに株式会社を設立するという形になりますが、会社法で定められた手続きを踏めば、権利承継等は問題なく合同会社から株式会社に行われます。契約書の再締結も不要ですし、決算を解散時に締める必要もありません。税務署等への廃業届や会社設立届も不要です。(名義は変わりますので、各種変更手続きは必要です)

組織変更計画書の作成、官報への掲載、債権者への勧告など(この辺は司法書士さんにお願いすれば全部やっていただけます)を経て、債権者からの異議申し立て手続き終了後、組織変更計画書に記載した日付に株式会社に組織変更を行い、登記することになります。

官報への掲載期間が1ヶ月以上必要ですので、変更まで約2ヶ月程度の期間を見ておく必要はあります。

5.まとめ

弊社の場合、2018年12月の設立当初は個人事業主の延長で自分ひとりのコンサルティング会社として運営していくつもりでした。投資家から資金調達をするつもりありませんでしたので、合同会社という形態を選択しました。

その後、コンサルティング事業運営の難しさを実感する中で、「継続課金ができるビジネスを立ち上げたい」というところから出発し、思いついたのがBrownies Worksでした。

Brownies Worksというビジネスモデルは、ソフトウェアの開発は行いませんが、事業を拡大していくためには多くのマンパワーが必要になります。最初は固定費をなるべくかけずに、かなりミニマムに運営していく方針ではありますが、このビジネスを今後しっかり伸ばしていくために、将来の選択肢を広げることを考えて、このタイミングで組織変更を行うことにしました。

まだ、出資を受けるなどの具体的な話はまったくありませんが、そういう展開になってから組織変更の手続きに入って時間をロスするよりも、今のうちに変更しておいた方がいい、という判断です。株式会社に変更することによるデメリットはそこまでないと思っているので、「この事業をしっかり伸ばしていく」という自分の決意表明としての組織変更の意味合いが強いです。

Brownies Worksはまだまだはじまったばかりのサービスですが、これからは株式会社リベロ・コンサルティングとして、業務設計とBrownies Worksを会社の両輪として、世の中のバックオフィスをもっともっと効率的に運営できるように支援していきます。これからも株式会社リベロ・コンサルティングを何卒よろしくお願いいたします。

ノートの内容が気に入った、ためになったと思ったらサポートいただけると大変嬉しいです。サポートいただいた分はインプット(主に書籍代やセミナー代)に使います。