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痩せた…この体重の維持がキモなのか

体重を10+キロ落としてそれを維持できれば2型糖尿病は解消される、という研究がある。

イギリス、ニューカッスル大学のRoy Taylor教授のチームの研究によれば、2型糖尿病発症の原因は過剰なカロリー摂取(要するに、「いつも食べてる」という現代病ですね)によって肝臓、膵臓内に脂肪が貯まることにあるとのこと。この脂肪が膵臓から分泌されるインスリンの働きを妨げる作用をするようになって、やがて正常な血糖コントロールができなくなって高血糖、糖尿病発症に至る、とそのようなことらしい。

脂肪肝と糖尿病の組み合わせは聞いたことがあるが、Taylor教授の発見が独自なのは、糖尿病患者の肝臓、膵臓には脂肪が貯まっていることを突き止めたこと。そして、問題なく蓄えられる脂肪の量は各自まちまちで、その許容量を超えると、脂肪肝という病名がつく前でも、インスリンの働きが阻害されて糖尿病(高血糖)を発症するようになる、という臓器内の脂肪蓄積と糖尿病の因果関係を明らかにした点にあるようだ。

その人独自の臓器内の脂肪許容量を教授はPersonal Fat Threshhold(「固有脂肪境界値」的な?)と名づけて、PFT値が高ければ見るからに体内に脂肪を溜めて込んでいる肥満型の人でも糖尿病にならず、逆に、PFT値が低くければ痩せ型の人でも少しの脂肪の蓄積で発病することになる、と説明している。

ならば、この臓器内脂肪を減らしていけば、肝臓では、血中に流れ出るブドウ糖の量がコントロールされるようになり(インスリンが効くようになって血糖値が上がらなくなり)、膵臓の脂肪がなくなればインスリンの分泌が復活、活性化されるのではないか…。二重の悪循環が二重の好循環に…。しかし、そんなにウマくものごとが進展していくだろうか…と、半信半疑ながら、教授チームは実証実験に着手。教授たちは、糖尿病患者を対象にして、徹底したカロリーコントロールによって短期間(8週間)で10キロ以上の減量プログラムを実施。肝臓、膵臓内の脂肪を燃焼させて減らす試み。参加者は一週間で平均3.5キロ減、8週間で15キロの減量を達成したとのこと。その結果、肝臓内の脂肪はなくなり、空腹時血糖値も最初の一週間で正常レベルまで落ちるという著しい改善が見られたとのこと。

これらの実績を踏まえて、教授グループは10キロ以上の減量による糖尿病解消を推奨している。ただし、体重が増えてくると糖尿病はまたすぐに戻ってくる。いかに体重維持をしていくかが糖尿病から離れ続けているための絶対条件になる、とも。

教授によれば、PFT値には遺伝子要素も関わっていて、日本人を含むアジア人種はこの値が一般に低いとのこと。太る前にすぐ糖尿病になってしまう。それでも臓器内脂肪を減らすために減量が必要。一概に何キロ減量とは言えないのだが、痩せ型の人は体重の15%減を目指すと良いのではないか。自分の肉体的成長が終わった時、18歳とか20歳の頃を思い出してもらえると、ボディビルダーとか特別なケースを除けば、それ以降に増えた体重は余分な脂と思ってそれを目安にすれば良い、とのこと。

翻って自分のことを思えば、食品の「栄養表示」に書かれている数字を意識しながら、炭水化物、糖質をなんとなく避けるような気持ちで暮らし始めて1年。以前ここに書いたTime Restricted Eating(食事時間制限)と一緒にやっているうちに12キロほど体重が減った。なんだかまだ減り続けている気配もある。

Taylor教授の理論に従えば、自分は2ヶ月(8週間)なり1年なりをかけて10キロ以上の減量をした後の地点に立っていることになる。なるほど、体重減と同時に血糖値が安定してきた。今の血糖値は一日を通してほぼ正常値内。これは嬉しい変化だったが、「メタボ体型」ではあったものの、さして肥満型でもなかった身が10キロ超減となると、嬉しいことばかりとも言えず、急激に体重が減っていた頃は、ガクッと体から力が抜ける感じになることも時折あって、このまま虚弱老人、フレイルへの道を歩んでいくのではあるまいかと訝しむこともあった。

しかし、上述の、2型糖尿病治療に体重減は必須という研究のあることを知って、改めて心を入れ替えた(単純!スミマセン)。

なにより、Taylor教授の説は自分の中のここ一年ばかりの変化を内臓側から光をあてて見せてくれているのではないかという気になるほど頷かされることが多い。ある日突然血糖値スパイクが収まったというのは、体重の減った結果、臓器内に貯まっていた脂肪が自分のPFT値内に収まってインスリンが良く働くようになったということではないのか。肥満してはいないけれど糖尿病になったのは自分のPFT値が低かったから。少しの脂肪で堪えられずにすぐ病気になってしまったということではないのか。だから、一旦、脂肪が減り始めると、さほど多い量でなくとも比較的早くに正常(近く)まで機能が戻ったのではないか、皮肉なことだが, etc.etc.

Taylor教授によれば、2型糖尿病を改善していく鍵は、医師でも薬でもなく、患者本人の手に握られている。自分たちの知見を力に変えていってもらいたい、と。

その通りですね。下、Talor教授のインタビュー。

*言うまでもないことですが、私は糖尿病患者ですが医学の知識があるわけでもなく、まして医師ではありません。上は、自分を力付けてくれそうなネットで見つけた「うわさ話」の類です。言葉遣い等、拙い点、多々、ご容赦を。

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