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“オープンイノベーション”が中小企業の生き残り策(その3) ~【空気】を変えることができる“よそ者”~

変われない組織には、なぜだか類似の【空気】が存在している。

「集合的に意思決定をする際の絶対的な支配力をもつ判断基準」

となるものが、この【空気】だ。


【空気】は、各層毎のメンバーの意見を聞いて分かるものではない。

「私はこう思うけどみんなはどうかな?」

「みんなはこう思ってるだろうけど、私は違う」

というように、“個人の判断”と“【空気】の判断”は異なるケースが多い。


会議の参加者は、他メンバーの発言や顔色を伺いながら、暗黙の中で【空気】の認識を合わせなければならない。

「お前、【空気】読めよ」

と言ったシーンがあると、その場で共有されていた【空気】が表面化する。



【空気】=“ある前提”

と定義できる。

【空気】が『同調圧力』『忖度』『責任の曖昧さ』を生み出している原因だ。

【空気】に従わない者は、異論者として徹底的に叩かれる。

「みんな同じ【空気】を読んでいるはず」という暗黙の了解で意思決定は行われる。

【空気】は、都合よく現実の一部を隠蔽して、問題解決力を破壊する。



人を変えることができないが、【空気】は変えることは可能なはずだ。

人のパフォーマンスは【空気】に左右される。

良い方向に【空気】が変われば、人は自ら動き出すようになる。

“若者”と“バカ者”と比べると圧倒的に、“よそ者”が【空気】を変えることができる。

“オープンイノベーション”の主体となる“よそ者”が、まず着手して実践すべきは【空気】”を変えることだ。



【悪い空気】を【良い空気】の違いは簡単だ。


【良い空気】は、間違っていることを『間違っている』と指摘し合える【空気】。


逆に【悪い空気】は、間違っていることを『間違っている』と指摘できない【空気】。

『周りから批判されたり、注意されたりすることがなくなった』老害化した人たちの“指示待ち”集団を作り出すだけの【悪い空気】には換気が必要だ。


【空気】は徐々に変わっていくもので、短期間で変えることは容易ではないと考えがちだが、“コロナ禍”という嫌が上でも働き方を変えなければならない【空気】は違う。


コロナ禍は、短期間で職場の【空気】を変えることができる“追い風”だ。



ヒトの組織においても、「働きアリの法則」が当てはまると言われている。

「2割のよく働く人」 ・・・ 自分で勝手にやる気に燃えている人 = 『自燃人』

「6割の普通の人」 ・・・ 火を点けられると燃えることができる人 = 『可燃人』

「2割の怠ける人」 ・・・ なかなか燃えない人 = 『不燃人』

【空気】を変えるには、多数派である「可燃人」に対してどう働きかけるのか?


この「可燃人」に火をつける方法(例)として、働き方改革のキーマンに任命して働き方改革プロジェクトチームを作る。


ここに“よそ者”がアドバイザー的な立場で参加する。


<任せる業務(例)>

① テレワークのデフォルト化へのオフィス環境整備

② 社内規則やルールの見直し案策定

③ 業務棚卸によるムダの抽出

既存の仕組みの延長線上で考えるのでなく、新しい仕組みを創造することが目的。

テレワークもオフィスワークも双方ともにメリデメがあるのだから、双方のメリットを最大限に活かして“生産性向上”に繋がる方向性を模索するには、自らが体験することが近道。

上下関係よりもフラットな人間関係で動き、各スタッフの役割分担と協調性・連携することで、“指示待ち”から“自ら考え行動する”へ体質改善が進み、職場環境に変えてくれる。


【当事者意識を植え付ける】ことは、【空気】を変える重要要素だ。


ここでの“よそ者”の役割は、『楽しい、面白い、ワクワク』の要素を持ち込むことだ。



忘れてはいけないのは、表面的にはピラミッド型で一定の指揮系統は維持しなければ、経営陣から否定的な意見が増えるだけ。

“よそ者”は、フレキシブルなプロジェクト型、ネットワーク型へと移行させる演出家であり、経営陣のプライドを傷つけない上手な“塩梅”が出来る【空気】料理人でなければならない。



「“オープンイノベーション”が中小企業の生き残り策」として雇う“よそ者”に、高学歴で多くの資格やMBA取得者でなければ務まらないだろうか?

反って、頭でっかちの論理思考型人間には【空気】を変えるというファーストステップは不向き。

歴史的な革命家に共通しているのは “ヤンチャさ” と “カリスマ性”。


ここは“ヤンチャ”なポジティブ人間の“よそ者”が適任だ。


“よそ者”に依頼する経営者に必要なことは

「この“よそ者”に任せる」

という“覚悟”だ。


「私の名代として社員に私の考えや想いを伝えて欲しい」

という依頼を素直に受けるコンサルタントでは【空気】を変えることなど出来ない。


どうしても馬の合わない奴だったり、暴走したりする“よそ者”だったら契約解除すればいいだけのこと。


当然“よそ者”にとっても“覚悟”は必要。

その本気度を図る尺度のひとつが【成功報酬型】だろう。


【空気】の最大の弊害は?

意図的な前提を掲げて押し付けることで、都合よく事実の一部を隠蔽する。


不祥事や悲劇、大失敗が【空気】を起点に始まる最大の理由は?

特定の集団が自分たちの前提に都合が悪い事実を一切無視させて、隠した事実が含むリスクをその他の人たちに知らせないからである。



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