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【真面目にまとめ】ジャズで学ぶ『差別』と『特権』が表裏一体という教訓

現代にも通じる『教訓』


対人間・集団に紛争は頻繁に発生して時には深刻な問題になります 

紛争解決の主要原理として『公正』であるということが挙げられます


「人間行動は基本的には利己的動機によるもの」です

『公正』をリソース分配に限定して考えると?

【衡平基準】:リソースはより多くの貢献をした者多く受けるべき
【平等基準】:リソースの分配は平等に行われるべき
【必要性基準】:リソースは必要性に応じて分配を受けるべき

それぞれの基準は妥当なものです 

しかし上記基準は あらゆる問題に対して適切なものではありません


『差別』『偏見』の解決策として『公正動機』だけでは 解決に導けない複雑で難しい課題が多すぎます



1950年代初頭までのアメリカ社会 


次にあげる3つの『差別』が全て存在している状態でした

①『直接的差別』

侮辱的な発言をしたり 人を排除したりする行為(「その行為をした人が悪い」と分かる行為)

②『制度的差別』

法律・教育・政治・メディア・企業といった大きな枠組みのなかでシステマティックに行われるもの 

③『文化的差別』

人々が無意識に共有している価値観「こうするのが当然だ」といった空気感によって 逸脱した行為をタブーにする


白人にとっては「普通」「当たり前」となっていた『人種差別』

【個人の問題】ではなく【アメリカ社会の構造的な問題】です



『特権』を持っているマジョリティには気がつきにくいのですが

『特権』を持っていないマイノリティには『特権』の凄さがハッキリ感じられます

『特権』:マジョリティ性を多く持つ社会集団にいることで【労なくして】得ることのできる優位性



『特権』がなければ開かないドア


マジョリティにとって「開くこと」が『普通』『当たり前』で何の疑問も抱かないかもしれません

『特権』を持たないマイノリティにとっては「開かない」とへの不満・不平等感を感じる人もいれば「開かない」と諦めてしまう人もいるでしょう


【構造的に差別を受けないですむ人】に対して

「差別はいけません」と『個人の心の持ち方を変えること』

を求めたところで【構造的な『差別』】を撤廃する行動に移さないでしょう


【差別を受けている人】のためにドアを開けて中に入れことは 自分にとっての不利益にしかなりませんから

 


現代の企業・組織・集団においても同じ


【自由にモノが言いにくい組織】において

「ちょっとおかしいぞ」と内部にモヤモヤ感はあったとしても 誰もそのことを指摘しない状態は?

『暗黙の了解』の自己規制・同調圧力によって表面上は安定した組織

と言えるかもしれません


「余計なことは言わない」で安定が保たれてきた組織 何かのキッカケで『見て見ぬふりをしてきた不都合な真実』を話し合わなければならない状況になった場合 それぞれの立場や考え方・見解の違いによって多様な意見はでるでしょう

そして 問題がオープンになることで『不都合』『不利益』が生じる人たちも出てくるのも事実です

「自由にモノを言う」ことで 感情的なズレや不信感は お互いの関係性をおかしくするだけではなく 顕在化した問題は解決されるどころか 組織の中に深刻な対立を生み出してしまうことにもなりかねません

一歩間違うと【組織の進化】ではなく【組織の退化】になります


安定が壊れた組織が【混沌状態】に陥り乗り越えるのは容易ではありません


ここで拠り所となることは

「何のためにやるのか?」「何が目的なのか?」「どこを目指しているのか?」といった本質の一致です

その上で【相互理解の状態】という次のプロセスに移っていかなければなりません

相互理解の最初は 相手の『考え方』『見解』にある背景や事情を理解する

ことから始めなければ 前に進まないでしょう



『差別』と『特権』は【表裏一体】


マイノリティ側が被る『差別』の裏には必ずマジョリティの『特権』があります

『特権を持つ者』は 自分の下にいる人間について知ろうとしなくても問題なく生きていられますが 

『特権を持たない者』は『特権を持つ者』の考え方を知らなければ生きていけません


変わらなけれればならないのは マジョリティ側であって

せめて「自分たちは『特権』を持っている」という【自覚】を持つこと

そうしなければ マイノリティとの建設的な対話にはなりません


この【自覚】の無い『特権階級』の人々は 

自分が持っている『権力』がマイノリティにどんな影響を与えるのか?

そんなことも想像もできないので 問題解決の阻害要因なんです



まだ抜本的解決はされていません


1944年 ビリー・ホリデイ『奇妙な果実』での宣戦布告の20年後

1964年 公民権法が制定


しかし 2020年 ジョージ・フロイド殺害事件などをキッカケにして『Black Lives Matter 』のバナーのもと新たな抗議運動の波が起こりました

“Black people. I love you. I love us. We matter. Our lives matter. Black lives matter.” (by Alicia Garza)



まとめ


人は馴染みのないものや異質なものと接触すると『不安感情』を抱きやすいものです

『D&I推進』は国際社会が取り組むべき重要課題で 社会を活性化し イノベーションを起すには【多様性を高める必要がある】ことは多くの人が認めるところで 多様性を高めるには 異質で多様な他者を理解し認め合うことが求められます

そして集団内部に多様性が高まると そこには必ず軋轢や対立が生じます


【偏見の正当化-抑制モデル(Crandall & Eshleman)】

①【平等主義で偏見を抑制】
『偏見』が現れると人道主義や平等主義などの信念でそれを抑制
②【別の信念で偏見を正当化】
別のネガティブな信念で『偏見』は正当化されてしまう
③【罪悪感から逃れる】
正当化することで 相手に対してネガティブな行動を取る時に起こる『倫理的な罪悪感』を避けようとする


皮肉にも「差別撤廃」や「博愛精神」が強調される社会・集団ほど 差別的な考え方を持つ人が増加します


感情や利害によって『差別』が生じて 後付け的な正当化による『偏見』となっていく面が多分にある 組織・集団の共通項は?

『権威主義的な人(権威主義に縋りつく人)』の【パーソナリティ要因】
その他一般的な人にとっての【社会状況や文化といった環境要因】

ここが重要ポイントです



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