いとうのごはん
「台本を書く会をやりたい」の記事の中で少し触れたが、いとう(※8発目で「血を吸う島」という作品の脚本・演出をやってくれた男)の家で台本を書いていたときに、いとうがお昼に出してくれたカレーがすごく美味しかった。1回目の台本合宿でいとうの家に行ったときは、洗い物が出たりもするし、手間かけても申し訳ないなと思って遠慮して、宮崎駿がかつて出没したという近くの喫茶店に行ってメシを食った。
話はそれるが、その喫茶店は最近全館禁煙になったらしい。宮崎駿がよく出没した店なのに。それにより2度と宮崎駿はその店には寄りつかなくなるだろうし、宮崎駿が来る店、という評判はいつか忘れられてしまうだろうが、まあ宮崎駿よりもより多くの非喫煙者をとったということだ。時代だ。
さて話をもどすと、1回目のときはそうして遠慮したが、2回目の合宿のときもまたいとうは僕にカレーを勧めてくる。正直に言うと、わたしは先天的には全く遠慮の気持ちが備わっていないので、外に出ずにメシが出てくるならなんでもいいからさっさと食べてしまいたかったが、まだこの時点では、その先天的な気持ちに身を任せてしまっていいものか決心がつかなかった。
しかし、勧められるのはこれが2回目であること、いとうの表情やカレーについてのプレゼンぶりに、これは本当に食べて欲しい気持ちが強いのだろうと判断し、甘えてカレーをいただくことにした。
2種類のカレーが出てきた。北インドのカレーと、南インドのカレー。北インドの方は普段食べるカレーに近い気もするが、しかし微妙に複雑な味がする。これを0から作ってしまうのはすごいなと思うし、表現する術を持たない俺はクソだなと思ってしまう。南インドのは豆カレー。まめまめしいのに、ちゃんとカレー。そして、北インドのとはぜんぜん違う。日本におけるラーメン的な共通性と多様性なのかしら。
俺は料理にこだわりがないから、塩と胡椒味がついてて肉と野菜が食べられりゃあいいじゃないかと思ってしまうが、しかし、その甘えが結局、出来合いの惣菜でいいじゃないか。外食でいいじゃないか、という考えにいきつくのだ。別にそれはその通りなのだと思うのだが、その一方で、こんな旨みが深いカレーを食うと、手間暇かけたらその分の価値は生み出されるのだなあ、ということも感じる。自分ができるようになるには、まず性格から変えないとできないだろうが。
そんなことを考えながら美味しくカレーをいただきました。
カレーのおかげでなんだか豊かな昼下がりをすごした。という話。
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