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利島と下田に行ってきた(その1)

序章:直前の行程立案そして変更

 前々から利島には行きたいと思っていた。東京諸島11島のうちまだ行ったことのない3島のうちの1つで、これまで他の島に行く船から綺麗な円錐形の島の姿を眺めるにつけいつか行きたいと思っていた。しかし、何もなさそうなのでほかの人を誘っては行きづらいということと、船の就航率の低さから、なかなか訪問に踏み切れずにいた。

 今回行こうと思い立ったのは多分1週間くらい前だ。天気予報を見ていたら、太平洋がべた凪である。そして自分は木金と休みだ。10月は仕事をしてばっかりでなにもできなかった。これはリフレッシュを兼ねて念願の利島に行くチャンスじゃないか?そう思ったら東海汽船に電話をし民宿に電話をし、気が付いたら旅の体裁が整っていた。中身はなにも決まっていないけれど、とりあえず水曜夜に竹芝桟橋に行けば旅がスタートする状態にはなってしまった。この手早さは10年間伊豆諸島への旅を積み重ねてきた成果である。

 とはいえ、利島になにがあるのか、利島でなにをしたらいいのか、ほとんど私はまだ知らなかった。知っていたのは「椿が有名な島」「港が貧弱で船がすぐ欠航する」くらいだ。
 他は?と思って調べてみると、まあ前段でのイメージ通りであった。基本的には何もない島のようだ。泳げる浜も無ければ温泉もない。ドルフィンスイムや釣りをやるには良い環境のようだが、今回は目的が違う。泳ぐ気も無ければ釣る気もない。調べてみると島の中央にある山(宮塚山)とその中腹(南が山園地)はそれぞれ島の北側、南側を見渡せるらしいのでそこに行ってみることにした。高い所は好きな煙みたいな私である。

 しかしそんなことを調べているうちに、前日くらいになって実は帰りの8日の波が意外と高く帰りのジェットフォイルの就航が危ういことが発覚した。過去の就航実績を調べてみると(そんなのを記録した便利なTwitterのアカウントがあるのだ。便利な世の中になったものだし、物好きな人がいるものだ)、利島は東向き2mの波でジェット船は欠航になるっぽい。そして8日の波予報は東2m。絶望だ。

どうすればいい?即座に幾つかのパターンを考えた。

①就航に賭ける
 雰囲気的には、就航するかしないかは五分五分くらいの感じだったので予定通り行って就航することに賭ける手もあったがその場合のリスクは、欠航になった場合に翌日仕事に行けないこと。土曜日仕事だったのだ。ま、お天道様が原因だからそうなったらなったでしようがないか、と思いたい気持ちもあったが、ここまで欠航のリスクを把握しておきながらそんな一か八かに賭けるのは正直気が引けたので、やめておくことにした。「知らね知らね」が座右の銘ではなかったか、いつからそんな責任感のあるサラリーマンになったんだ、と自分を恥じたが、それで旅行が楽しめないんじゃあ本末転倒だ。いまの自分としてそれは甘んじて受け入れることにした。

②前日のうちに東京に帰る
 となると船の出てる前日のうちに東京に戻るかだが、そうなると8時前に利島に到着して12時には利島を出ないといけない。いくら小さい島とはいえさすがに4時間では慌ただしい。それだったらそもそも今回慌てていかなくても良くないか?と思ってこの選択肢は外した。

③別の島に行き先を変える
 じゃあいっそ別の島にするか。ほかの島へはほぼ確実に就航することが期待できたので別の島に行くという手もあった。しかし原点に立ち返ると「行ったことのない利島に行く」の何にも達成できない!ということに気づいてこれはやめた。

④一泊してヘリコプターで大島に渡り、大島から帰る
 金に物を言わせるなら、ヘリでの利島脱出もありだったが、あいにく金曜日だけヘリは満席であった。ヘリはキャンセルも多く出るので、チャレンジする手はあるがこれもまた一か八かだ。もう土曜日の出社は一か八かでもいっかという思いが次第に強くなる。がここもなんとか踏みとどまった。

⑤一泊して下田に渡る
 じつは利島への航路は竹芝からだけではなく下田からも出ている。ジェットフォイルは欠航になったとしてもそっちの船ならいけるんじゃないか?と思ったが、利島の宿に問い合わせたところ両方微妙とのことでこの案はあんまり解決策になっていないようだった。

⑥その日のうちに下田に渡り、下田で一泊して帰って来る
 そして閃いた。利島についたその日のうちに下田に渡ってしまえばいいんじゃないか。その日は船が15時前発と島の滞在時間も7時間近く確保できる。本当は一泊したいが、7時間でも一周徒歩で回っても十分すぎるくらい時間が取れる。そして、これまで乗ったことのない利島〜下田航路にも乗ることができる。翌日も余裕をもって東京に戻ってくることができる。最高や。これでいこう。

 というわけで、(頭の中で)紆余曲折を経て行程が固まったので、最初予約をした宿とジェットフォイルは申し訳ないがキャンセルし(悪天候が理由の場合、島関係の予約は割と融通がきく。ごめんまた今度来ます)、逆に下田の宿を手配したのが自宅出発2時間前。なんか雰囲気のいい新しくできた民宿が見つかった。ようしこれで出発の準備はOKだ。

 プランが固まるとがぜん楽しみになってきた。よーし行くぞ〜。

 と思ってその前に晩飯(一人鍋)の材料を西友に買いにいったらテンションが上がっていたのかとんでもない量を買ってしまい3人前はあろうかという量ができてしまったため、腹一杯、時間ギリギリで家を出ることになってしまった。

 ちなみに結果としてはジェット船は「欠航」であった。正解正解。

(つづく。いよいよ出発!)

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