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テレワークの普及で見直される住宅費

コロナ禍をきっかけにテレワークを利活用した在宅勤務を行う人が増加しています。

(株)リクルート住まいカンパニーが実施した「新型コロナ禍を受けたテレワーク×住まいの意識・実態」調査(調査期間:2020年4月17日〜20日)によれば、テレワークの実施率が47%に達し、同社が行った19年11月の調査「テレワーク×住まいの意識・実態」調査時(調査期間:2019年11月22日〜25日)の17%から30ポイント増加しました。

では、テレワークの利用が広がることで、住まいのあり方にどういった変化が出てくるのか。生活者の住まい・暮らし方といった観点から考えてみたいと思います。

テレワークによる生活コストの削減

以下のランキングは、引っ越しの際に重視する項目について、「テレワーク(リモートワーク)に関する意識・実態調査」と、同じく(株)リクルート住まいカンパニーが行った「住みたい街ランキング(首都圏)2019」の結果を比較し、差分が大きかった項目をピックアップしたものです。

第1位: 物価が安い(差分12%)

第2位: 住居費が安い(差分11%)

第3位: 防犯対策がしっかりしている(差分7%)

第4位: 徒歩や自転車の移動が快適だ(差分6%)

第5位: 犯罪が少ない(差分6%)

この比較を通じて、テレワークをきっかけとした住まい探しでは、物価の安さや住居費の安さを重視する傾向が強くなっており、住み替えによる生活コストの削減意向が高いと言えるでしょう。

通勤時間1時間増で年間60万円の節約に

実際に東京都心の平均賃料でみてみると、新宿(東京都新宿区)から乗車時間20分の錦糸町駅(東京都墨田区)は、1LDK〜2DKで平均11.9万円ですが、新宿まで乗車時間50分の稲毛駅(千葉市稲毛区)では、同じ条件で平均6.7万円となっています(金額はいずれも2020年5月現在、SUUMO調べ)。

1回の通勤で1時間の負担増となりますが、テレワークの普及で通勤回数が減ることに加え、賃料が半額程度で、年間約60万円の節約になると考えると、経済成長が見込めず、給与が上がりにくいという状況下ではなおのこと大きな金額と言えるのではないでしょうか。

これは、賃貸だけでなく売買でも同様であり、テレワークの普及によって、住まい方・暮らし方は今後大きく変わっていくことでしょう。都心に向かっていった住まい探しの人の流れが、都心から郊外へと徐々に向かっていくものと思われます。

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