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434位:Pavement 『Crooked Rain, Crooked Rain』(1994)【解説文翻訳】ローリングストーン誌が選ぶ「歴代最高のアルバム」500選(2020年改訂版)

 このnoteでは2020年に、2003年版と2012年版に続き8年ぶりに改訂されたローリングストーン誌が選ぶ「歴代最高のアルバム」500選本家サイトに載っているアルバム解説文の日本語翻訳をしています。本日はこちらのアルバムです。

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434位:Pavement 『Crooked Rain, Crooked Rain』(Matador, 1994)

<ローリングストーン誌による解説(翻訳)>
 インディーロックの怠け王たちによる眩いばかりのデビューアルバム『Slanted and Enchanted』の後、彼らがアンコールとして次に何にトライするのかについては誰も予想できなかった。そんな中リリースされた、28歳になることについてのコンセプトアルバム『Crooked Rain, Crooked Rain』は、Pavementにとって最も明るく歌心のある作品となった。ここでは牧歌的な美しさと思慮深いメロディが溢れ、CCRやJimi Hendrix、さらにはGrateful Deadとの共鳴までもが見られる。スティーヴン・マルクマスの息づかいの近いボーカルとほろ苦いギターの波紋は、大人になる過程で立ち往生し8月の太陽の下で思いきり酔っ払っているような時を見事に捉えている。
(翻訳:辻本秀太郎、 原文へはこちらから)

参考として、「このアーティストのアルバムが500枚のリストに合計何枚ランクインしていたか」と「このアルバムの順位が前回版(2012年版)ランキングと比べてどう変わっているか」についても以下に調べてまとめています。

<ランキングに関するデータまとめ>
【2020年度版】
同アルバムの今回順位:434位
同アーティストのランクイン枚数:3枚(同アルバム以外では、199位『Slanted And Enchanted』、265位『 Wowee Zowee』)
【2012年度版】(前回版との比較)
同アルバムの前回順位:212位
同アーティストのランクイン枚数:2枚(同アルバム以外では、135位『Slanted And Enchanted』)

<感想>
 Pavementについての文章を読むと、いつもローファイという言葉とともに演奏がヘロヘロやヘタクソといったような形容がされているが、実際そんなに下手だとか思って聴けないのが正直なところだ。でもそれって、自分が95年生まれで、音楽を聴く年頃になった頃には、2000年代や2010年代のインディーバンドたちの「下手」な音を聴くのが当たり前になっていたからだなと思う。そう思うと、Pavementの演奏やプロダクションが後のインディーバンドに与えた影響はすごい。
 まぁそれでもやっぱり"Cut Your Hair"のあの有名なコーラスのリフをとっても、ピッチは不安定で、発声も頼りなく、リズム的にも走っているわけで、彼ら自身もそれを自覚的にやっていたのは間違いないのだけど。でもそれをギリギリのバランスでやれてるのは技術だし、わざと下手にやる批評的なスタンスも格好いい。
 ところでPavementって、この500枚のランキングで3枚もランクインしていて驚いた。2012年版ではランクインしてなかった『 Wowee Zowee』も今回は入ってきているので評価はむしろ上がってきているのか。確かに、本来だったら2020年にはスペインの「Primavera Sound」などでの再結成ライブも決まっていたし、その発表時のネットの盛り上がりも結構なものだったように記憶している。もちろんライブはコロナで延期になってしまったけれど。一応2021年の延期後のラインナップには入っているとのことだけど、どうなることやら。


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