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【要約】仏教超入門 

私は
死んだあとは骨を墓に絶対入れる気がないくらいには仏教が好きではない。

おそらく、著者もそんな考えを持っている。
むしろ本の中で遠慮なく
『日本の仏教はおかしい!』
と主張している。
それは


僧侶は、仏教がどういうものであるかを積極的に教える姿勢などもちあわせず、金になる仏教行事のときにだけ顔を出して形式的に経を読み、布施を懐に入れ、次の法事に向かうだけ

という僧侶に対する批判の言葉を皮切りに
本書では所々に現れている。

しかし、私はこんなに現代仏教を批判している著者の書いたこの本から
『仏教は嫌いでも、仏教の正しい教えは嫌いにならないでください!』
という意気込みを感じた。

本書は仏教の入門書ではなく、仏教哲学の入門書

では著者のいう本当の仏教とはなにか?
著者は仏教は宗教ではなく、哲学であると言う。

本書は仏教の入門書ではなく
哲学の入門書である。


思想の中心『縁起』と『空』

仏教哲学の真髄は『縁起』と『空』を身にしみて知ること、これだけであると著者は言う。
仏教の本質だけを書こうとしたら1ページくらいで終わってしまうくらいの文量になってしまうらしい。
この簡潔さも、私が仏教に魅力を感じた一つだ。
(ちなみに、キリスト教はもっと短くて6文字『神は愛である』これだけである)

縁起

まず『縁起』とは

この世に存在するすべての事物は
『関係性』
で成り立っているという真理のこと。

空(くう)

次に『空』とは

縁起(関係性)によって現れる
『現象や状態』
を指す言葉。

例えば、私という存在は
両親の存在、祖父母の存在、生まれた国や家庭環境などなど数えきれない『関係性』の上に成り立っていることが分かる。
ただし、これは今の私の『状態』であって、『関係性』が変われば(例えば国籍が変わるなど)今の私の『状態』も変化してしまう。

これを踏まえて見えてくるのが次の2つの言葉
『諸行無常』と『諸法無我』である。

諸行無常

この世に存在するすべての事物は様々な縁起によって常に変化し、永遠にそのままの形でとどまっていることはない。

諸法無我

この世に存在するあらゆる事物は、縁起によって生じるものであって、なんの関係性も持たないもの(我)は存在しない。

どちらも有名な言葉なので、仏教を知らなくても言葉だけは知っている人も多いと思う。

私も、言葉だけは知っていたが、意味までは理解していなかった。
この2つの視点でものごとが見れたら、どんなストレスもバカバカしく感じられる気がすると、そのポテンシャルに感動した。

私の書き方で分かると思うが
理解が簡単そうなのに説明するとややこしくなる非常にモヤモヤする言葉でもあると感じている。
私の説明で


という方は、本書を読んでみてください。


縁起を知って『感謝』する

私がこの本で一番納得出来たことは
縁起を知ることで感謝をする生き方が出来る
ということだった。

全てのものごとが縁起となって今の自分が現れていると知ることで
今ある自分と周囲の関係、過去の無数の縁起が自分を作っていることが理解できる。
縁起が無くては自分というものが存在出来ないことに気が付く。
つまり人は一人では生きていけないのである。

この、あらゆるものとの関係の中で生きていることを知ることで感謝できるという考え。
当たり前のようで忘れがちな、大事なことだと、改めて心にインストールしたいと思った。

悟りとは

本書の最後に著者は
縁起と空の哲学を理解し、それを実際に体感することで人は誰でも悟れると言います。

悟りと聞くと、とんでもない修行や一部の天才のみが到達する達観のMAX地点のようなイメージを持っていたが、
悟りは神秘体験でも、超常現象で奇跡が起こることでもない。
知性や宗教、信念、修行とも関係ない。
だから、誰でも悟れる可能性を持っている。

これも、縁起と空という2つの思想を知ることで本当にそうじゃないかなと今では思う。

本書は、仏教に詳しくない私のような人にも
分かりやすく仏教の原点について書かれている良書でした。

この世の苦しみから抜け出して
第二のブッタを目指す方は是非読んでみてください。


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