臓物を喰らう

田舎ではどの家でも何かの動物を飼っていた。愛玩ではない。タンパク質の補充である。ニワトリが卵を産まなくなると絞めて食べた。私たち子どもは出来なかったので母親がやっていた。夕食には鶏肉の吸い物が出て私の大好物は大小様々な卵黄のもとであった。裏のゴミ山にはむしられた白い羽根と赤い血が捨てられているのが常であり少しばかり嫌な気持ちになったものだ。
母は肝っ玉母さんではなかったようだ。「泣き虫愛子」と姉妹から言われるくらいたから生き物を殺して食べなきゃならないのはストレスだっただろう。だから今も頭が上がらない。

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