見出し画像

減少する商店街を救え! AIカメラで効率的な集客へ【プロジェクトi実行委員会| 事業紹介】

全国的に問題となっている、商店街のシャッター街化。ここ愛媛県内の商店街も同様で、なかでも東予の空き店舗率は約30%ともっとも高い。そんな減少していく商店街を活性化させるため、「今治銀座商店街」に平常時・イベント開催時などの人流カウント、滞留状況を可視化・分析できる「エッジAIカメラ」が導入された。ビッグデータを収集することで効率的な集客へ繋げる、商店街の新しい取り組みを追う。


フェリー本数が減り「今治銀座商店街」の利用客が減少

今回の実装フィールドとなる愛媛県今治市は愛媛県北東部に位置し、今治市と尾道市を結ぶ「しまなみ海道」沿いには、大島・伯方島・大三島などの島々が点在している。「しまなみ海道」の開通に伴い、観光客数は増加傾向で、サイクリング、今治タオル、造船業などが盛んで全国的にも認知度が広がっている。

一方で、利用客が減少してしまったのが「今治銀座商店街」だ。今治の中心地にある「今治銀座商店街」は、島しょ部と今治市内を行き来するフェリー乗り場に隣接しており、以前は約5万人いた島しょ部の住人たちの玄関口として、「大丸」などのデパートもあり栄えていた商店街だった。
ところが「しまなみ海道」の開通に伴い、島しょ部から離発着するフェリーの数が減少。今治港の利用率の減少により、商店街の過疎化が急速に進み、人流が少なくなってしまったことでテナントも減少し、多くの店がシャッター状態になってしまっていた。

愛媛県内の地域別空き店舗率。東予地域が33.4%ともっとも高い(※)

商店街の人流・属性を可視化すべく「エッジAIカメラ」を設置

そこで商店街の賑わいを取り戻すべく立ち上がったのが、今治銀座商店街協同組合と4つの事業者からなる「プロジェクトi実行委員会」だ。商店街としての考え方や状況をすり合わせながら、商店街を活性化するためにデジタルを活用した分析・戦略・イベントをチームで行っていくのが本プロジェクトの特徴だ。参画事業者は下記の4社からなる。
●プロジェクトリーダー「合同会社GTO」(所在地:愛媛)
●パートナー「有限会社i.h.s」(所在地:東京)
●パートナー「株式会社夢企工」(所在地:香川)
●パートナー「Hub」(所在地:愛媛)

まず「プロジェクトi実行委員会」が行ったのは、2023年11月から2024年2月までの約半年間、「今治銀座商店街」のポイントごとに「エッジAIカメラ」を12台設置し、商店街を利用する人の性別、年齢、滞在時間帯、人数など細かい人流データを24時間毎日測定することだ。

観測カメライメージ。カメラ上に映った通行人のデータ分析を行う

これまでも商店街では人の手で人流カウントをしていたが、細かい属性などを測定するまでには至っておらず、人流データも曖昧なために商店街の意思決定の基準がないことも問題だった。
一方、本プロジェクトでは「エッジAIカメラ」を使うことで、人流及び属性などの定量的なデータを取得、可視化、分析することが可能となる。例えば、「人通りは少ない中でもこの時間帯は女性層が多い」とか「広い商店街の中でも、このエリアはピンポイントで年齢層が高い方が多い」など、細かく可視化して分析することができる。
観測データを「見える化」することで集客ターゲットを絞ることができ、今後の「今治銀座商店街」へのテナント誘致や、イベントなどを考える際の基準とすることもできるのだ。

「今治銀座商店街」で計測した人流データの結果。属性の可視化が一目瞭然

「エッジAIカメラ」の特長は、従来のネットワークカメラやAIカメラよりもコストを抑えられ、効率良くデータ分析ができ、人流計測を図れる点にある。
従来のネットワークカメラでは、撮影したデータを人の手で映像解析をするため人員やコストがかかっており、また一般的なAIカメラでは重い映像データを一旦クラウドに上げ、クラウド上で映像をAI解析していたので処理スピードにも時間がかかっていた。一方「エッジAIカメラ」では、カメラ内(エッジ)で直接映像をAI解析するため、データが軽く処理スピードも速く、セキュリティーにも強いという利点があるのだ。

設置した「エッジAIカメラ」。コンパクトなうえ、カメラ内で映像をAI解析できる

平常時と催事時で人流の変化を比較するため、属性別イベントを実施

さらに本プロジェクトでは、人の流れが少ない平常時と、人の流れの多いイベント時の人流変化を比較検証するため、「今治銀座商店街」にてターゲットの異なる3つのイベントを実施予定でいる。下記3つのイベントそれぞれで人流データを解析することにより、地域の課題やニーズの洗い出しができ、今後の今治市中心部の真の集客ターゲット設定に繋がることが期待される。

【実施予定のイベント】
(1)10〜30代の若年層向けイベント「ホラー体験型謎解き脱出ゲーム」

お化け屋敷の革命児「オバケン」とコラボし、「今治銀座商店街」内の空き店舗を活用し、冬休み期間限定の体験型謎解き脱出ゲーム「ホワイトルーム」を実施予定。
開催日:2023年12月20日(水)〜2024年1月8日(祝・月)

(2)ファミリー層向けイベント「キッズアソベンチャーワールド」

「今治銀座商店街」で子どもが楽しめるイベントを実施。キッズボルダリング、キッズワークショップ、巨大段ボール迷路、フォレストアドベンチャーなど、親子で体験できるアクティビティを複数用意し、ファミリーで休日のお出かけスポットになるようなイベント。
開催日:2023年11月23日(祝・木)

(3)40〜60代向けイベント「ヨル街ラクザ」
地元で活躍中のアーティストや出店者を招いて、夜の「今治銀座商店街」に賑わいが生まれるイベントを実施予定。年間を通しても、特に人出の少ない「冬」「夜」にスポットを置いて、いかに人流変化が起きるかを検証する。
開催日: 2024年2月24日(土)

ビッグデータから真のターゲットを見出し、商店街復活のロールモデルに

今回、プロジェクト実装の舞台となった「今治銀座商店街」

今後もTRY ANGLE EHIME編集部では、実装イベントのひとつ「ホラー体験型謎解き脱出ゲーム」などにも密着予定だ。イベント時、及び平常時の「エッジAIカメラ」での観測データを活かすことで、「今治銀座商店街」の真のターゲットを見出すことができるかもしれない。さらにそのビッグデータを開示し、計測の仕組みを横転することで、同状況に悩む県内商店街を救う足がかりになるかもしれない。「プロジェクトi実行委員会」の新しい挑戦は、減少する地方商店街復活のロールモデルとなる可能性を秘めている。

[参考資料]
※愛媛県庁:令和3年度愛媛県商店街実態調査報告書

■公式ホームページ
https://dx-ehime.jp/

\SNSもやっています/
■Instagram
https://www.instagram.com/tryangle_ehime/

■Facebook
https://www.facebook.com/tryangleehime

■X
https://twitter.com/tryangle_ehime

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?