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遠き日の文通友達の話
私がまだ小学生か中学生だった頃。
文通をしている、いわゆるペンフレンドというものがいた。
どこで知り合ったのかは定かではないが、おそらくネットで知り合ったのだと思う。
私は岡山、彼女は確か東京だったと思う。
プリクラの交換をしてどんな子なのかは薄ぼんやりとだがイメージを抱えていた。
その時、どんな内容の手紙を送りあっていたのかは全く覚えていない。
あまつさえ、そんなペンフレンドという存在がいたことですら忘れていた。
昨晩、ふと思い出してしまったのでこのことを書いている。
私は今年32歳で、おそらく20年くらい前の話であるが、それでもその頃はまだ文通というものは存在していた。
薄ぼんやりとした記憶だが、当時は雑誌の片隅なんかに文通相手募集コーナーなんていうものもあったように記憶している。
わりと近年になって、文通の仲介業者があって、その仲介業者を介して互いに匿名で文通を交わせるというシステムがあったが、その話を耳にした時に、なんだか時代の変遷を感じたものだ。
いまでこそ個人情報保護という名目でやたらめったら住所や本名を顔の知らない相手には教えない時代だが、私が少女だった時代にはまだそこまで厳しい世の中でなかったのは、幸いだった。
私の人生のなかでほんの数ヶ月、数年の関係だったとしても、それでも子供時代にそういう経験が出来たのは、今ではいい経験が出来た思う。
今の時代はSNSで知らない相手と交流できるし同じようなものでは?と思われるかもしれないが、文通の趣旨は知らない相手と交流するという以前に、手書きの手紙を交換するというところにある。
そして郵便でのやり取りなので、早くとも数日は時間がかかる。返信がくる頃には一週間は経っているかもしれない。その間に、あれもこれもと話したい内容が溜まっていって、結局長文になってしまうのも、なかなか面白い経験だった。
手間暇と時間がかかる関係こそ、ゆっくり育んでいく関係で、昨今の手軽につながるSNSはやはり希薄になってしまうと思うのは、私が古い考えの人間だからかもしれない。
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