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「京都を、すごす」Vol.8

私が京都を好きな理由に、日本らしさという部分があります。
これぞ日本、日本といわれる由縁、アイデンティティ、そういうものです。

和服(着物)、神社や寺、桜、木造建築に畳。そういう日本らしさのあるものを並べた時、では日本らしい香りは?と考えて、そこでたどり着くのがお香です。

お香の歴史は古く、枕草子や源氏物語など、古典の世界にも多く登場します。
平安貴族の世界で登場するお香の役割は、ご存じの人も多いかと思いますが、もともとは臭い消しのための香でした。
現代のように毎日お風呂に入れなかった時代、体臭をごまかすためにお香を焚いていました。
使い方としては部屋に香りを漂わせるという使い方のほか、着物に匂いを移させるというのも多くありました。着物、そんなに頻繁に洗えないですもんね。

お香好きな私は昔から線香の匂いが好きで、仏壇やお墓の前で手を合わせるときも、あの匂いがたまりませんでした。

今回はそんな私のお気に入りのお香屋・薫玉堂に行ってきた話です。

薫玉堂との出会いは数年前。
中川政七商店で見つけた線香で、なによりまずそのパッケージに惹かれました。そして香りも良い。

こちらは薫玉堂 2016というシリーズ。

日々の暮らしに
潤いと彩りを運び
寄り添う香りを提案するライン

薫玉堂HPより

普段使いしやすいように調香されているシリーズで、18もの種類があります。パッケージもカラフルで目で見ても楽しいラインナップです。
私のお気に入りは三室戸の蓮、この香りは何度もリピートで買っているほどです。


薫玉堂の歴史

創業は文禄三年。文禄三年とはつまり西暦だと1594年。
場所は西本願寺の目の前です。

創業者負野理右衛門は幼少の頃より香木に関心を持ち、沈水香木の鑑定や香材の研究に専念し、薫物商としての薫玉堂の基礎を築きました。沈水香木の奥深い香りを鑑賞する為に志野流香道のお家元をお迎えして稽古に励み、後年には教場として復活し現在に引き継がれております。

薫玉堂HPより

御本山・本願寺を始めとする全国各宗派本山、寺院へ御香を納めている大御所中の大御所です。日本最古の御香調進所の名は伊達じゃない。
伝統を守りつつも、現代の暮らしに溶け込むような香りを作り続けています。


外観

店内は撮影禁止なので写真はありませんが、入口の自動ドアが開いた瞬間からお香の薫りに包まれます。常に何かしらのお香が焚かれているのか、それとも試香のために焚いたものの薫りなのか。とにかくお香好きにはたまらなく幸せな空間です。

私が訪れた時にはほかに数組のお客さんがいて、その方たちは法要のためのお香選びのようでした。


薫玉堂では主に薫玉堂2016薫玉堂1594という二つのシリーズがあります。

薫玉堂2016は先述した通り、現代においても普段使いしやすいように調香されているシリーズです。

薫玉堂1594は法要で使うような、寺院に納められる重厚な香りのラインナップです。


三室戸の蓮をリピートして買っていた私ですが、店舗に行っていろいろなのを試香させてもらって(実際に焚いてもらって)購入したのがこちら。

左から
・試香(香木)セット
・祇園の舞妓(匂い袋)
・音羽の滝
・丸の内1933
です。

試香(香木)
高級線香4種類が楽しめる詰め合わせ。香立付き。
殿上伽羅、暹羅沈香、太尼沈香、老山白檀の4種類。
普段なかなか手が出せない高級ラインの薫りを楽しめるセットです。
今回の本命です。

紫の箱のものは匂い袋です。スーツケースの中に入れようと思って買いました。
スーツケースを開けるたびにいい香りがするの、想像しただけでも最高じゃないですか?
箪笥のなか、引き出しの中、かばんのなかなど、ちょっとした密閉空間に入れておくと、開けた瞬間ふわりと香るのでお勧めです。
お香を焚くと部屋に匂いが付くのが心配、という方へは匂い袋をどうぞ。

薫りを言葉で表すのってとても難しいと思います。
薫玉堂のホームページではそれぞれの薫りに言葉が添えられていて、「ああ、なるほどなぁ」とその薫りの特徴を読み解くことができます。


紙袋までかわいい

普段はエコバック派でショッピングバッグはもらわないんですが、これは袋代を払ってでもほしかった。

買ったばかりの頃は封を切っていない状態でも部屋の隅に置いておくだけでもふわりと香りが漂ってきます。幸せ。

中川政七商店では定番品として取り扱われているので、もし皆さまのお近くにお店があればどうぞ。
あとは、和物セレクトショップや催事場で見かけることがあります。

余談ですが、沖縄に住んでいた時、どこぞのデパートのハイセンスセレクトショップに並んでいたのを見つけてためらいもなく買いました。通販だと離島送料が高くて…。

なにはともあれ、1万円分くらい買ったのでしばらくはお香を切らすことなく生活できそうです。

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