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アルクトゥルス

夏は窓から差し込む朝日で目が覚めていたのに、
起きて1時間経ってもまだ太陽の気配がない11月の朝5時台。

東の窓を開けると、目の前にひとつ光る星。

iPhoneのアプリ「星座表」をかざしてみると
うしかい座の1等星【アルクトゥルス】とあった。


アルクトゥルスと言えば…
少し前に夢から目醒める直前に
「アルクトゥルス」という言葉が刻み込まれるように
何度も何度も頭の中に響き続け
目が醒めても強烈にその響きだけが残っていた事がある。

それまでアルクトゥルスなんて知らなかったので
iPhoneで調べて初めて星の名前と知った。

なんの意味がある夢だったのかはわからないけれど…


そんなアルクトゥルスは、
日本では古く「麦星」や「麦刈り星」などと呼ばれ
農作と結びついて親しまれてきたようで。
案外そんな記憶がDNAに刻み込まれてるのかもしれないな、なんて思う。


昔から気がつくと星に惹かれて
流星群と聞けば夜な夜な出かけていき
飽きもせず空を見上げたり
好きな歌、好きな本、好きな映画も星にまつわるものばかり。

星という悠久の時を象徴する存在を見上げる時、
遥か太古の人々や、遥か未来の人々と
星の光の道が繋がって想いが今この地点で交錯する気がする。

更には星々の叡智が頭上から降り注ぐ時、そのすべてを言語として解読することは出来なくても
急に視座が広がった感覚になる。
誰でも一度は経験があると思う。

「空はこんなに広いのに、なんでこんなにちっぽけなことで悩んでいたんだろう。」


中学生の時、
どうしても合唱コンクールで歌いたかった
「コスモス」という歌がある。
前奏から始まり高い所から眩しく光が差し込む情景が連想される、とても大好きな曲だった。

当時私は花の名前の方の「コスモス」だと思っていたけれど
大人になって再び聞いた時に
よくよく歌詞を聞くと宇宙の歌だと気付いて驚く。


人間の体を作る元素は、もともとは星の中から来たんだそう。星と同じ成分で私たちは生きている。

だから私たちも星と同じ、命を燃やして
恒星のように明るく輝いて生きよう…
そんな意味の込められた歌だったと知り、
中学生の私が惹きつけられた理由が今になってわかった。

ちなみに、星のように輝き出す時
引力も放ち始めるそう。

もしかしたら、反転した夜空から見れば
私達ひとつひとつの命が星のように光って見えるんじゃないかと思い描く。

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