空を飛ぶ豚🐖(小説)
中世のヨーロッパのある共和国では、有名な豚がいた。
その豚は家畜として飼われているのでもなく、ベットとしても飼われているのでもなく、おもちゃの豚でもなく、一頭の空を飛ぶ豚として存在していた。
その豚はいつも人の姿の前に現れるのではなく、ある条件の時に空を飛んでみせるのだった。
ただ、人々はある条件というのを知らないのでいつその豚が空の上に現れるのか?不思議がって、噂していた。
とあるそのヨーロッパの村に想像力が豊かな女の子がいた。
その女の子はいつも物思いにふけっては、友人や家族に話をしていたのだが、彼らはだんだん彼女の夢物語を聞くのに飽きてきて、彼女の話しを聞くのを辞めるようになった。
女の子は周りの人々が自分が作った話をだんだん聞いてくれなくなってしまうのに気づき、悲しくなったが、想像力を働かせて夢を描くことをは辞めなかった。
そんな想像力を働かせていたある日のこと、自分の部屋から、空を飛ぶ豚が見えたのだ。
「あっ!あれがうわさの空を飛ぶ豚だ!今日は見れてluckyだな。」
と、その豚をみていたら、その豚が女の子の家に近づいてきた。そして、窓に鼻を近づけて
「トントン。」
と叩いた。女の子は怖がりもせずに、窓を開けた。
「豚さん、なぜ私の家に来たの?」
豚は部屋に入るなり答えた。
「僕はいつもみんなの前に現れるわけではないんだ。想像力を持って、夢を描いている、子供や大人達の前に現れるんだよ。」
「そうなのね!いつも物思いにふけって、夢物語を話してばかりだ、と周りの人達に怒られてたりしてきたけれど…。続けてきてよかったー♪」
「そうだよ。みんな現実ばかりにとらわれて、自分の未来について考えたり、想像力を働かせることができない人がいるからね。
君は周りになんと言われようと続けるんだよ。」
「豚さん、ありがと〜!」
「いいえ!また会えるといいね。」
といい、また窓から空へ飛んでいった。
女の子は、俄然パワーが湧いてきた。今まで、自分はしょうもないことをしているのかも?と周りの反応をみて思っていたけれど、そうじゃなかったんだ、と豚から勇気をもらったからだ。
それから何年もの月日がたち、女の子は想像力を働かせた物語を創ったり、夢を描くことを続けていった結果、出版社の目に留まり、小さな枠だが小説を書くことを任されたり、描いていた夢物語が知らぬ間に叶うという日々を歩むようになっていった。
女の子が女性へと成長し、他の人とは違う、自分らしい人生を歩むようになった彼女はいつまでも、幼き頃に出会った空を飛ぶ豚に会ったことを忘れることはなかった。
おしまい。
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