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「サポート事務+少し英語」という仕事から「英語メイン」になるまで

翻訳者になるルートはいろいろあるけど、私は会社内で「サポート事務が主+時々英語」という立場からスタートした。

翻訳者になる事だけを考えたら、英語業務の少なさに不満を持ったかもしれないけど、それ以外の要素もあったから、これでよかったと今は思う。

一度体調を崩して働けなくなったこと、初めての子育て中ということ、夫も忙しいこと、実家も遠方、を考えると、負担する業務量や締切りのプレッシャーがそれほどなかったこの仕事は、育児をしながらの仕事社会への復帰リハビリとしてちょうどよかった。

そうやって少しずつ働く体力をつけながら、サポート事務+英語を通じて学べることは沢山あった。

専門用語と業界

たまに依頼される技術的な資料の英訳は、たとえ表形式で少ししか文字がなくても、とても難しいものだった。

省略されている専門用語や会社独特の言い回しが沢山あり、日本語なのにパッと見て理解できない。

でも、職場の皆さんに教えてもらったり自分で調べたりして、現場の仕事とリンクしながら覚えることができた。

コピーをしながら、書類に目を通す。いろんな人の話に聞き耳を立てる。触れる全ての言葉にその世界の情報や雰囲気が入っている。

サポートを極めたら翻訳に活きる

一見英語と関係ない仕事も、極めようとすれば翻訳や他の仕事にも応用できるスキルがつくと思う。

初めに担当したデータベースの構築では、沢山のデータを分類して、階層に分けて、整理する。抽象度の上げ下げの繰り返しが、翻訳する時の、原文の意味を一度抽象度を上げて捉えて、訳文として落とし込むのに活きた。

技術文書のゴーストライターも、何度も直されながら理系的な言い回しやロジックの立て方を学んだ。その後、同じような技術的内容の英文和訳が来た時に、読み手の言葉に合わせた書き方ができた。

費用処理や会計資料の理解のために簿記3級を取得。アプリも日本語版と英語版両方で学んだ。その後、会計資料の和訳が来た時には訳をつけると共に会計用語の注釈もつけて、喜ばれた。

データベースもゴーストライターも簿記の勉強も、その最中には「英語の仕事したいのになんでこれをやってるんだろう」と思う時もあった。でも、今の自分の役割はこれなんだと割り切った。

数年後、それぞれの経験が活きる翻訳の仕事が来た時に、

「ああ、無駄な経験はないんだな」

と思った。

調査力、理解力、仕事効率上がる

新しい仕事をする度に、早く理解して、質の高い仕事を効率的にやろう、と思って取り組んだ。

全体や概要、流れを把握してから細かい事を学ぶと、とても良い事が分かった。

分からない分野も大枠を把握して、仕事に必要な事だけを集中して学んだ。そうやって一つ一つの仕事でベストを尽くそうとしてきた試行錯誤の経験が積み重なり、新しい事が出てきても、調べ方が分かり、理解するスピードが上がっていった。

サポート業務が評価されて英語業務が増える

「英語だけできる人はいらない」とよく言われる。

どうも、英語や語学を専門に学んできた人は、それしかできないと思われるみたい。

だからか分からないけど、サポート業務で英語と関係ない部分を効率化したり、指示を超えたところの提案や改善をすると、

「おや、英語以外も分かる人だな。」

と思われて、複雑な英語業務を依頼されるようになった。技術文書、学会発表、パーティーの挨拶などの翻訳も、目的に合わせた書き振りにすると、特に理系の人に驚かれた。

もし、同じような役割で英語業務の量を増やしたい人がいれば、英語の勉強はしつつも、英語以外の仕事も本気でやってみることもおすすめ。

その経験は無駄にはならないはず。



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