オープンイノベーションの失敗を防ぐ3つのステップーTrusted株式会社CEOファリザ・アビドヴァ氏とのインタビュー

オープンイノベーションの失敗を防ぐ3つのステップーTrusted株式会社CEOファリザ・アビドヴァ氏とのインタビュー

Trusted Corporation

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ファリザさんは、日本企業と海外企業の意思決定者をオンラインで直接つなげることを目指して、4年前にTrusted株式会社を設立しました。 Trusted株式会社は、世界中の企業がボーダレスな技術革新を享受できる社会にしたいという彼女のビジョンから生まれた会社です。
以下では、オープン・イノベーションプロジェクトを成功させるために重要な3つのポイントについてご紹介します。

ファリザさん、あなたのビジョンについてもう少し詳しく教えてください。
ファリザ・アビドヴァ: 私は、オープン・イノベーションの未来は、国と業界の境界を完全に越えたコラボレーションにあると考えており、Trusted株式会社を設立しました。この4年間、日本企業と海外のスタートアップを直接つなぐということに注力してきましたが、ほとんどの企業でオープン・イノベーションのプロジェクトが完了しなかったり、交渉が途中で止まるなど、同じ壁にぶつかるということを何度も繰り返していると気づきました。

そこで私は、その原因を探るために調査に乗り出しました。

オープン・イノベーションのプロセスを阻害する不備についてどのように調査されたのでしょう?
ファリザ: Trustedは、多数の企業を対象にした調査と上層の意思決定者へのインタビューを実施してデータを分析した結果、3つの主要な理由が浮かび上がってきました。

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素晴らしいですね。オープン・イノベーションを阻む3つの壁について、ひとつずつ詳しく教えていただけますか?

ファリザ:はい。まず1つ目の理由は、協働するスタートアップの選定が慎重に行われていなかったという非常にシンプルなものです。

世界中には何千ものスタートアップがあり、企業は市場を詳細に調査するのに苦労しています。そのため、多くの企業はすでにコンサルティング会社やエージェントを利用して、条件に見合ったスタートアップの紹介を受けています。しかし、その条件が、理想的なパートナーを探索して特定するには大まか過ぎることが多いことがわかりました。

さらには、探索のための重要な条件が漏れていることもあります。たとえば、スタートアップの技術を自社の既存の技術とどのように統合できるのか? スタートアップのステージは?、スタートアップの経営基盤が安定しているのか? どのような業界に特化しているのか? どの国で事業を展開しているのか? さらには、その企業のビジョンやミッション、社風が日本企業とマッチすのかどうか?
プロジェクトの成功にはこれらの要素の検証が重要です。

では、企業が完璧なパートナー会社を見つけるためには何をすればいいのでしょう?

ファリザ:膨大な数のスタートアップの中からできるだけ理想のパートナーに近づくためには、スタートアップの選定条件を正確に絞り込むことをお勧めします。

また、何千社ものスタートアップを何十もの基準で選定する作業を自社内で行うことは煩雑で時間がかかるため、橋渡しをしてくれるエージェントを利用することをご検討ください。ただし、そのエージェントがオープン・イノベーションの創出のために橋渡しするスタートアップに関してどの分野に特化しているのかを必ず確認してください。今回の調査では、多くの企業がコンサルティング会社の採用に多額の費用をかけているにもかかわらず、ベンダーであるエージェント側で設定している選定基準が顧客である日本企業によって社内で検討されてきたものと十分に整合していないために、望ましい結果が得られていないことがわかりました。

Trustedでは、まさにこの点に特化し、5,000社以上のスタートアップを顧客企業に見合った条件で体系的に探索できる大規模なデータベースを構築しました。

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オープン・イノベーションのプロセスで見つけた2つ目の課題とは何ですか?

ファリザ: これもまた、当たり前のようなことなのですが、スタートアップと接触する前に、自社内で計画段階が完了していることを確認すべきということです。

弊社の調査では、計画段階が完了していないにもかかわらず、すでに海外の見込みパートナーに接触し始めている企業が多いことがわかりました。これは、プロジェクトの先頭に立っている部署や子会社がすでに交渉に入っていたにもかかわらず、本社や上層部からプロジェクトの承認を得られなかったため、交渉に費やした時間が無駄になるだけでなく、海外のスタートアップを実現することのないプロジェクトに引き込み、エネルギーを消耗させ続けるといった、2つの問題を引き起こしました。

確かに途中で交渉をやめなければならないというのは残念ですね。何かほかにもヒントはありますか?

ファリザ:はい。必ず、1)交渉に入る前に明確な目標とビジョンを持っていること、2)プロジェクトが承認された場合にのみ関係構築を始めるということをご確認ください。そうしないと、関係を構築する前にそれを破壊してしまいかねません。

最後のヒントは、プロジェクトの最終的な目標を明確にするだけでなく、プロジェクトの個々のタスクも含んだ段階的な計画を策定することです。このようなロードマップを作成することで、承認を得る可能性を高めることができるだけでなく、社内外との交渉を効率的に進めることができるようになります。

そのために、Trustedでは、クライアント向けにプロジェクトの準備状況を評価する取り組みを行っています。これにより、企業がオープン・イノベーションに関する交渉を成功させる準備ができているかどうかが明確にわかります。私達は、オープン・イノベーション活動の背景にある、必要な段階、およびインセンティブやビジョンを理解しています。計画の青写真を提供するだけでなく、成果獲得の見込みについて実証された計画としての承認を得られるように、社内のさまざまな部署と協議することもできます。

そして、このような計画は、将来的な見込みパートナーとの交渉を容易にし、交渉が中途半端に終わってしまうリスクを減らすこともできます。


とても参考になりました。オープン・イノベーションの成功に立ちはだかる最後の壁とは何でしょうか?

ファリザ:オープン・イノベーションを始めようという熱意がある一方で、オープン・イノベーションチームを設置しているにもかかわらず、他の部門を巻き込むことができていない日本企業をよく見ます。オープン・イノベーションには、研究開発、営業、物流などのさまざまなチームとの連携が必要ですが、これらが事前に割り当てられていない場合には、インセンティブが発揮されすに効果的な協業が実現しないことが多くなります。

手始めに、以下のことを自問自答してみましょう。海外のパートナーと接触するために、英語を話せるスタッフはいるか? 私のチームには何人のスタッフと、どのようなスキルが必要なのか? スタッフにはトレーニングが必要か、またどのようなトレーニングが必要か? そして誰がそのトレーニングを実施できるのか? プロジェクトの期間は何年ぐらい継続するのか?

専門のコンサルティング会社に、これらのタスクを外注したり、これらのタスクに相応しい担当者を御社の社内から見出すこともできます。Trustedは、オープン・イノベーションプロジェクトの開始に必要なスキルと人脈を持ったチームを派遣することができ、またそれと並行して、社内でのプロジェクトの準備もお手伝いします。

適切な社内人材を見つけ、それと同時に不足した部分をカバーし、プロジェクトの開始を手伝うことのできる経験豊富なコンサルティング会社に相談することをお勧めします。

ファリザさん、ありがとうございます。本当に勉強になりました。最後に、グローバルなオープン・イノベーションについて一言お願いします。

ファリザ: これら3つの壁を乗り越えるお手伝いをすることが、私達がTrusted株式会社を設立した主な理由です。弊社はデータ・アナリティクスから、幅広い人脈やコンサルティングまでのフルパッケージを提供し、初期段階から最終製品に至るまで、お客様と共にオープン・イノベーションを推進していきます。

Writer: Mareike Dornhege
Email: contact@trusted-inc.com


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