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#39 ノーミスの難しさ

 福祉施設の記念イベント当日は、あいにくの雨だった。ハンドベルはもともと室内で演奏する予定だったが、吹奏楽倶楽部の方は屋外から室内会場へと変更になり、楽器運びなど段取りが狂う。それぞれ楽器を濡らさないように気を付けながら、準備を整えた。
 まずは午前中に、吹奏楽倶楽部のステージだ。メンバーは皆、これくらいの小ホールならそこそこ慣れているのだが、初めてキーボードで出演することになった私だけはどうも落ち着かない💦ドラムのスティックでカウントされると、勢いよく演奏が始まった。本日のプログラムはアニメ曲を中心に全6曲。腱鞘炎になるほど練習した『魔の4小節』。成功率85%ほどでしかなかったその箇所は、本番の緊張で結局ミスし飛んでしまった。こんな自分には、本当にガッカリだ。😭

 気を取り直して午後からのハンドベル演奏に挑む。『りんりん』の控え室は、大正琴で出演されるシルバーな奥様方との相部屋だった。
 りんりんは、ハンドベルが映えるようにと衣装は黒シャツに決めた。緊張し、壁に向かって黙々と手の動きを確認する私達とは対照的に、シルバーな奥様方はとてもハツラツとした声で掛け合い、出番の直前まで念入りに音を出して合奏練習。よく通る元気な声と春らしいピンクの衣装に、とてつもないエネルギーを感じた。そりゃそうか、70歳前後でお仲間とステージパフォーマンスをするのだ。お揃いの衣装をまとい、スポットライトを浴びながら大正琴の腕前を披露しているマダム達の姿をひと言で表すと、『パワフル❣️』そのものであった。
 大正琴の発表を舞台袖で聴く。カラオケのようなBGMに合わせて聞こえて来た大正琴のメロディは、中島みゆき『糸』。すると、りんりんのメンバー2人がが即座に言った。

『糸、この曲大好きハンドベルでやってみたい!!楽譜、アレンジできる??』
・・・こんな感じで、私達の次の課題曲が舞台袖で決まることになるとは。😉

 大正琴の発表が終わり、入れ違いでハンドベルを舞台に搬入する。会場のザワザワが、閉じた幕の向こうから聞こえてきた。いつもの教会ではない、ちょっとアウェイな感覚でステージがいよいよ始まる。
①琵琶湖就航の歌
②上を向いて歩こう
③見上げてごらん夜の星を
④つばさをください

 今回は年配の客層にターゲットを絞った新曲を3曲、最後はりんりん十八番の『つばさをください』で締めくくった。
『けっこうイケたんじゃない!?』
 目標のノーミスは叶わなかったけれど、お客様の反応の良さがすごく伝わってきた。曲の合間には少しトークを交え、高齢の母からハンドベルを引き継いだこと、りんりんの合言葉が『五十の手習い』であることなどをお話しさせてもらうと、『うん、うん』とうなずきながら聞いてくださる方がいたのはすごく嬉しかった。

 本日のステージが終わり、少しの間りんりんは『オフシーズン』に入る。その間に私は『糸』のアレンジに取り組み、譜面を完成させておくとしよう。

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