おわりに
相手へ自分の気持ちを伝えるためには、言葉が必要です。
言葉で伝えるためには、単語を知らなければなりません。その単語が発音できなければなりません。
そして誤解なく伝えるために順序良く言葉を組み立てたり、相手に興味を持ってもらうための抑揚や間(ま)を用いることも必要かもしれません。
音楽ではどうでしょうか。
演奏者は作品や作曲者に対して敬意を払い、そして演奏を聴いてくださる方へ作曲者と自身の想いを伝えるために演奏します。
そのために必要なのが「技術(テクニック)」です。
この「技術本」は、そうした様々なテクニックをひとつひとつ解説していますが、読み進めていくうちにまるでジグソーパズルを組み立てるかのようにどこかで必ず関係し合っていることに気づかれたはずです。
〇〇が苦手、〇〇ができるようになりたい。そうした具体的な目標を持つことは大変素晴らしいことです。しかし、「〇〇ができるようになるために〇〇を練習する」、この発想と実践ではきっと解決しないか、途方もなく時間がかかることでしょう。
大切なことはそのテクニックが他の何とどのように関係しているのかを膨大なピースの中から見つけ、組み合わせていくことです。これは自分だけの力で行うにはとても大変なことです。
そこでこの「技術(テクニック)本」です。「技術本」は複雑に絡み合ったテクニックの関係をひとつひとつ紐解いていくための手引きです。
練習用の教則本としてはもちろんですが、理解を深めるための読み物としても使えますので、ぜひ長くトランペットのそばに置いていただけることを願っております。
みなさんの作品に対する想い、音楽を愛する気持ちがひとりでも多くの聴いてくださる方の心へ届きますように。
荻原明(おぎわらあきら)
荻原明(おぎわらあきら)です。記事をご覧いただきありがとうございます。 いただいたサポートは、音楽活動の資金に充てさせていただきます。 今後ともどうぞよろしくお願いいたします。