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5-4.シンコペーション

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シンコペーションの概要

シンコペーションは英語のsyncopate(音を切分する/言葉を中略する)という意味です。切分する…音楽に使われる日本語って、独特でわかりにくいですよね。しかも切分という言葉は国語辞典を引いても他に出てこないのです。

ともあれ、シンコペーションとは、強拍と弱拍が通常と変わる状態、手法を指します。

アメリカの作曲家、ルロイ・アンダーソン「シンコペイデッド・クロック」という作品を書きましたが、本来時計というのは毎秒を正確に刻むものなのに、楽しくなってしまったのか、シンコペーションで秒針を刻んでしまう、といういわゆる「ボケ」で構成されています。
時計とシンコペーションという対局にあるものが合体した「んなわけあるかい!」とツッコミたくなる作品です。アンダーソンの作品はそういったものが多くて本当に楽しいですね。


強拍/弱拍

手をパチンと1発叩いてください。その瞬間「拍」が生まれました。では、均一な間隔で手を叩き続けてください。そうすると「テンポ」が生まれます。メトロノームはこれを自動的に繰り返してくれる機械ですね。

しかし、単なる連続ではどこで区切ってよいかわかりません。ではそこで4回ごとに区切ることにしましょう。1,2,3,4/1,2,3,4/そうして生まれてきたものが「拍子」ですね。4拍ずつ区切れば4拍子。3拍で区切れば3拍子。それを楽譜上で視覚化したものが小節(線)です。

ただ、このようなルールを演奏者が単に「そう決めた」だけでは意味がありませんし、聴く人もサッパリわかりません。実際の演奏に反映させて初めて音楽になるわけですから、拍子を明確にするために必要な決まりを作ることにします。それが、

『小節の最初は強い(=強拍)』

です。こうすることによって強拍が聴こえる(感じる)たびに小節が更新されていくことがわかるようになりました。
このようにすべての拍子はそれぞれの小節1拍目が強拍であり、4拍子の時には3拍目も強拍として扱います(中強と呼ぶこともあります)。2,4拍目はこれと対照的に「弱拍」と呼びます。

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シンコペーションが発生する理由

シンコペーションはこの強拍弱拍が入れ替わることを指しますが、具体的に何が起こってそうなるのか、いくつか例を挙げてみましょう。

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