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ハンドルを握る息子には必ず惚れる説

私には20歳になる息子がいる。
まず、生まれてすぐに抱いてしまった感情は「あれ?呑んだくれた義理のお父さんにソックリ…」
それまでは、勝手に正統派アイドルが爆誕するに違いないと根拠のない自信を持って、妊娠生活を送っていたのだ。胎教にいいとされるクラシックや自分には全く興味がない多国語会話や美術館なんかにも行ってみた。
マタニティヨガもかじってみたり、産休中にハリーポッターシリーズも読破した。育休中に資格取得も考えていたが、そこまではできなかった。

しかし、まだ息子だけの時は、自分の仕事におけるキャリアも捨てることが出来なくて、効率性を重視していた。どこでどう時短をすれば自分時間を作れるのか。
もっと作業効率を上げるには?
会話においても、結論の出ない日常会話は極力スルーしていた。私は、あの人たちとは違う。私は忙しいのだ。なぜ仕事の時間を有益に使わない?チームでチームでって、責任の押し付けなんじゃないの??

でも、生まれた息子は、生まれた瞬間から超絶マイペース。そのくせ音に敏感で、昼寝をしてても少しでも物音を立てると起き出してぐずる。抱っこが好きだから手が離せない。耳を触るのが大好きだったから、私のピアスはいつのまにか穴が塞がっていた。
男の子だからと外に出ても、走り出して遊具には行かない。足元の蟻の観察から、動かない🐜
保育園に迎えに行っても、大抵1人で探していた。ひたすらLEGOブロックだった。でもあの頃は私の理想の男の子像に息子は当てはまらなくて、発達の病気を疑ったこともある。
大きくなるにつれ、息子の周りが戦隊シリーズに夢中になっても、息子は唯一人、ドラえもん好きを貫いていた。
息子が素晴らしいと認めるまで、息子に降伏するまで、だいぶ時間がかかった。
中学の頃には鬼滅の刃のキャラをほぼ全て、しかも上手に描けていたのに、あの時はダメ出しをしてしまった。手先の器用さよりもテストの点数に私が取り憑かれていた。ゲームも取り上げたりして、全くもって酷い母親であったと思う。

彼が自分で選んだ進学先の辺りから、また見る目が変わってきた。いや基本的に、息子は変わっていないのだ。でも成長過程で、私もまた過去も捉え方が変わることで、息子に謝ることができた。
「あの時も別にお母さんは悪くないよ。お母さんなりの愛情だよ。俺も悪かったし」本当に、神息子でよかった。
小6の時の好きな息子の言葉は「天は人の上に人を作らず。人の下に人を作らず」だった。あの衝撃も忘れない。

で、今息子は自動車免許を取った。空間認識能力が高く、すでに駐車は私よりも上手でまだ1ヶ月なのに、一発で車庫入れしたりする天才だ。
何より嬉しいのは、歩行者を見かけるとすぐに減速。高齢者が横断歩道を渡っている時に向ける眼差しの優しいこと。運転適性検査で昔、私は落胆した記憶があるが、息子はそこもすんなり受け止めていた。
今のこの日本で、現代で、どれだけのドライバーが温かい運転ができるというのか??
私の優良ドライバーを、息子にあげたい。
私の場合、ほぼお巡りさんに見つからない人生なだけであって…。

ああ、息子のこれからの運転人生にも、幸あれ。


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