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幼稚園児だったわたしにひょんなことから遭遇した話

ウッドブロックという楽器をご存じですか。
木でできた、シンプルな打楽器。

こっきっき
こっきっき
こっきっき

と軽快な音がなります。

今日、突然このウッドブロックの思い出が
脳裏によみがえってきました。

それは幼稚園時代、ヤマハ音楽教室の発表会でのこと。
初めての音楽発表会での私の担当が
このウッドブロックだったんです。
どうやって楽器担当を決めたのか、覚えていないんですが、
当時の気持ちだけは、
よおく覚えています。

私はウッドブロックをやりたくない
エレクトーンがやりたい
エレクトーンが主役で
ウッドブロックはどうでもいい役
私は惨め
私はどうでもいい存在
みんなが私を笑っている気がする

母もサポートしてくれて
自分なりに練習をしたんだと思うんだけれど
「発表会出てよかったー」
「頑張って練習して達成感を感じたー!」
みたいな記憶は全くないんです。

そして時は過ぎ、
ウッドブロックのことも
ヤマハ音楽教室のことも
すっかり忘れていたのに

40年近くたった、今日、
突然、思いがけないタイミングで
ウッドブロックをやりたくなかった自分に
対峙することになりました。

それは、娘と一緒に行った「こどもコンサート」で
オーケストラの生演奏と共にシンデレラのバレエを観ているときでした。

ご存じの通り、
シンデレラは、魔法使いのおばあさんに魔法をかけてもらうけれど
12時には魔法が切れてしまう。
12時には舞踏会を去らなければいけない。

12時の鐘がもうすぐ鳴る!
というカウントダウンで聞こえてきたのが
このウッドブロックでした。

もうすぐ魔法が切れちゃう!
急いで、シンデレラ!
帰らなきゃ!おんぼろの服にもどっちゃうよ!

シンデレラを心配してハラハラする観客の気持ちを盛り上げるかのような
観客のドキドキする鼓動を表現するかのような
ウッドブロックのリズム

クライマックスシーンを見事に彩っていたのが
ウッドブロックでした。

ウッドブロックの音を聴いた時
潜在意識の奥底にしまいこんでいた
5歳の私が抱え込んでしまっていた悲しい気持ちが
ぶわわーと湧き上がってきたのです。
何の前触れもなく、突然。

だから、5歳の私に言ってあげました。

ウッドブロックには
ウッドブロックにしかできない表現がある。

ウッドブロックも
大事な存在。
どうでもいい存在なんかじゃないんだよ。

オーケストラで
バイオリンにはバイオリンの
トランペットにはトランペットの
ティンパニーにはティンパニーの
シンバルにはシンバルの

個性があるからこそ
ハーモニーが豊かになるんだよ。

ありがとう。
ウッドブロックの担当になれてよかったね。
ウッドブロックにしかできない
あなたにしかできない
リズムを表現してくれてありがとう。

今日のこどもコンサートは
小3の娘のためであると同時に
5歳だったわたしのためのものでした。

時空を超えタイムトラベルをしたかのような
不思議な不思議な経験でした。







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