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チームを強くする「アラインメント」の力について ~オンラインでもできるチームワーク向上ワークショップ~

「なんかうちのチームって、いまいちまとまりないよね〜」
「みんな、見ている方向とか、やっていることがバラバラな気がする」

僕の考えとして、まずそれってチームになれてますか? 
チームではなく、まだグループの段階ではないですか? 
と思うことが多い。
 
色々なチームを見てきた中で、メンバーが優秀で目標に共感をして、かつモチベーションが高い状態だとしてもチームになれる率は、実際50%程度。通常であれば、2割ぐらいだとすると、10グループあったとしてチームと呼べるのが2チームというのが持論です。

それほど、チームになるって本当に難しい。
(だから面白いのですけど)

グループからチームになるためには、幾つかのステップがありますが、
最初のステップとしてビジョンを創ること(または再定義すること)が第一だと思います。

今回は、ビジョンを創ったあとの、
2つめのステップ「アラインメント」について考えてみたい。

アラインメント【alignment】とは
調整すること。特に、自動車の前輪または後輪の取り付け具合を調整すること。この調整で、走行時の安定性やタイヤの摩耗の状態が変わる。ホイールアラインメント。アライメント。
出典:デジタル大辞泉(小学館)

組織開発等の文脈では、「アラインメント」は企業理念やビジョンを各プログラムやプロジェクト、そしてそのプロジェクトを行うチームに落とし込みメンバーの貢献を最適化するための意味で使われる。

アラインメントで組織を強くしたマツダの例

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アラインメント例として、マツダの例をみてみたい。

2002年、苦境の中でマツダは、「Zoom-Zoom(走る歓び)」というブランド・コンセプトを立ち上げた。
いわゆるビジョンの創出になる。
そして、そのコンセプトを持ったアテンザという車の開発によって浮上をしていく。

しかし、2008年のリーマンショックにより再度苦境に立たされる。
そこで行われたのが、各専門領域から選抜された12のクロスファンクショナルチームによる「アラインメント」である。
「Zoom Zoom」というビジョンをより実現してくための「MAZDA WAY」という価値と実践をまとめた。
MAZDA WAYとは、マツダの基本的考え方と価値をまとめたもので、社内で「Zoom Zoom」を体験・実践するための共通の価値観と理解を目的としていた。
そして、それはユーザーに対しても行われ「”Be a Driver”」という形で顧客体験の提供にまで落とし込まれていく。
その結果、トップからプロジェクトチーム、社員、そして顧客までが「Zoom Zoom」というビジョンで繋がっていく。
そうして、今のマツダの躍進につながっていく。

ここで言いたいことは、ビジョンを創っただけでは十分では無いということ。

多くの企業やチームにおいてビジョンは、ともすると「絵に描いた餅」になってしまいがちである。
なぜなら、ビジョンは通常トップダウンで降りてくるものがほとんどなので、トップ以外としては「知らんがな」となってしまう。

「Zoom-Zoom? は? 何それ? また外国人の社長がなんか言っているよ〜」という会話がマツダ社内であったりなかったりしたかもしれない。
(完全に想像です。マツダさんすいません)

重要なのは、ビジョンをどのようにチーム、各メンバーに落とし込むかにかかっている。

上から降りてきているビジョンを自分のビジョンとつなげること、それが「アラインメント」を行うことである。

アラインメント チームワーク

チームでアラインメントを行う方法(ワークショップ)の紹介

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チームでアラインメントを行う方法として僕が行っているワークショップがある。

①チームのビジョン(なければ部門や会社でも可)が目指している未来像を絵で描く
②描いた絵に題名をつける(例:活き活きの輪とか)
③チームメンバー同士で絵を見せて、美術館員のように描いた絵について語る
 ※必ず絵を説明すること。自分の考えを説明することではない。
④今度は、それぞれの絵の中で一番重要な要素を1つ出してもらい、その要素のみを使ってみんなでビジョンの未来像の絵を描く。
⑤また、メンバーそれぞれで題名をつけて、それを発表する。
⑥それぞれの絵について思った感想をメンバーで対話する。
⑦メンバーで対話した未来像に対して、自分がどう貢献しているかのビジョンを絵に描く。
⑧一人一人が、絵を説明する。

(※本来は、ブロックを使って実地で行いますが、オンラインを想定して内容・方法を変更)

ここでやっていることは、大きく3段階になっている。
1つは、チームビジョンが、どれだけメンバーの中で異なった意味で捉えられているかを知ること
2つめは、異なった意味の中で重要なパーツを出して、そのチームならではのビジョンを再構築すること
3つめは、再構築したビジョンに対してメンバー各自が自分のビジョンとどう結びつけるかを考えること

この流れによって、それぞれバラバラだった視点が重なり、新しい意味が生まれ、与えられたビジョンから自分のビジョンになりコミットが生まれる。

2時間弱で終わるので、テレワーク中でチームメンバーとの距離が最近開き気味だなと思う方は、是非チームワークを上げる試みとしてやってみてはいかがでしょうか。

今回は、チームを強くする「アラインメント」の力についてまとめてみました。
ワークやってみたよ、等のご感想等もお待ちしております。

v3ビジョンワークショップ投影用スライド0729_final.pptx

画像 Photo by Akson ,You X Ventures on Unsplash
参考文献 加藤・越島(2017)「企業ビジョン革新のための研究開発戦略の動的アライメント」Journal of International Association of P2M Vol.11 No.2, pp.62-76

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