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今回のゲームは、2人の若者を主人公に据えた退魔ものです。
TRPGでは、それぞれの物語における世界観やルールをまとめて『システム』と呼びます。
システムには、サイコロを使うもの、カードを使うもの、魔法の世界での冒険もの、近未来でのアクションもの、架空の学園を舞台にしたトンデモ能力ものなど、非常に様々なものがありますが、今回は、現代を舞台に、オリジナルのスキルや装備を自由に設定して楽しむことの出来る<マトリクス・ゼロ>を使用します。
(以後、専門用語などに関する解説は<マトリクス・ゼロ>を基準に行ってゆきます。他のシステムについても知りたい方は、当サイトの別システムや、市販のルールブックなどを読んでみてください。
このリプレイにおいては、TRPGにおいて大体普遍的な説明に関しては黒字で、<マトリクス・ゼロ>に固有の用語やルールに関しては解説してゆきます。)
主人公は、穏やかながらしっかりした性格の喫茶店主見習い、北條玄(ほうじょう・はじめ)と、無気力でいい加減な素行だけど芯は熱血漢なフリーターホスト、笠原千晴(かさはら・ちはる)の2人。
まずは、物語の舞台となる場所や主人公の紹介が始まります。

WC:東京都西部、珠間(たま)市。
都心、そして横浜方面へのターミナルとなるベッドタウンにして学園都市。
その町の片隅にある、喫茶店からこの物語は幕を上げる。
…その喫茶店の名前とか雰囲気を描写したまえ。そしてそれを盛り上げたまえ、主人と客で。

玄:俺が店主を務める喫茶店「クロノア」。

千晴PL:いいんでない?店の名前から息子の名前つけたかんじ。憩いの時間を大切に、静かな時の流れる喫茶店。

玄:駅からはちょっと歩くが住宅街に近く客の半数は常連。あとは近所の学校の生徒が多い。
内装はちょっと前に流行ってた北欧風の物が多く、経営者である母の趣味でそうなった。

千晴PL:いいねー。

WC:おかんまだ存命だっけ?

玄:今は事情があって両親共に海外にいるため、俺が店主ってことになっている。
店主になったはいいけど、バイトで店に入ってただけの俺は料理の再現に苦労した。
今ではなんとかレシピを見ながら頑張れるが、ナポリタンだけは再現できない…

千晴:「ナポリタンだけっていうレベルじゃねーぞ!おばさんの味になってないんだけど、玄(くろ)!」

玄:「えー?」

常連:「だめだなぁ、若店主。」

玄:「いや、ばっちりのはずだ!」

千晴:「まずね、ナポリタンに使われてるサラミの種類が違う。」

玄:「同じものを使ってる!」

千晴:「もっと、こう舌触りががっしりとしていて、それでいてしつこくなかった!」

常連:「トマトの鮮度もな…」

千晴:「あー鮮度鮮度。」

常連:「バジルはもっと香り高くて…」

玄:「バジル…それはちょっと違うかも…いやいやいや、そういって2人共毎日くるじゃない!」

千晴:「そりゃ、はやく前の味にもどすのに協力しようとね、おじさん。」

常連:「なあ。応援しなきゃ。マダムが帰ってきたときに店がなかったら泣いちゃうよ。」

千晴:「大泣き。」

常連:「俺が。」

千晴:「俺も。」

WC:全米も。

千晴PL:(笑)

玄:「ファンは嬉しいけど、道のりは長いなあ…」

WC:と、アットホームな雰囲気の喫茶店クロノアがふたりのたまり場である。

なんだか登場人物が多く見えますが、『千晴』と『千晴PL』、
『北條玄』と『玄PL』はそれぞれ同一人物です。
キャラクター、またはその内心としての発言は『笠原千晴』『北條玄』のキャラ名で表記し、プレイヤー(PLと略記)としての発言は『千晴PL』『玄PL』としているだけなので、そのように理解してください。
また、『常連』のような、主人公以外の登場人物はノンプレイヤーキャラクター(NPCと略記)であり、すべてワールドコーディネイター(WCと略記)によって動かされます。WCの主な役割である、ト書きや説明文と区別するためにNPC名で表記されているのです。
※普通のTRPGではゲームマスター(GM)と呼ばれる役目を、<マトリクス・ゼロ>ではWCと呼びます。

WC:もう一人の主人公は、自分探し真っ最中のホスト崩れ。

千晴:えーと、おれはロン毛でこぎれいにしてるけど、無気力そうな若者。

玄PL:ナポリタンへの情熱はどこへいった(笑)。

千晴:「さてと、腹ごしらえもすんだし、店にいかんとな。あ、最近合コンの話とかないの?」

玄:「お前の要望に答えるので精一杯で、それどころじゃないよ!」

千晴:「そこは努力、根性、義理、人情でなんとかしてよ。」

玄:「早く店に行かないと、また先輩がうるさいんだろ?」

千晴:「ホント、先輩うるさい。この鼻の絆創膏みてよ、すぐ殴る。」

玄:「まじか、ついに拳か(笑)。成績追いつかれてるのに嫉妬とか?」

千晴:「いや、おれそんなにがんばってないからむかつくんじゃない?」

玄:「あらら、そうなんだ。」

仮想先輩(WC):「お前よ、その無気力ぶりでこの仕事やってけると思ってんのか指導ォォォ!!」

玄PL:教官(笑)?

仮想千晴(千晴PL):「いったーい、なにするんすかーせんぱーい、まじいたいっすよー。」

仮先(WC):「ゆとりか!口でクソする前にサーと言え!」

仮想千晴(千晴PL):「ちっすちっす(=_=)ノシ。」

WC:こいつ(笑)。

千晴PL:ひどいな、俺のキャラ(笑)。リアル俺でも鉄拳制裁だわ。

仮想同期(玄PL):「ゆとりっす!ゆとってますよ!でも好きでゆとってるわけじゃないっす!」

仮想千晴(千晴PL):「そおっすっそおっす!」

WC:同期うぜえ!!

千晴:ナイス援護!

玄PL:1発が2発になるだけっていうね(笑)。

千晴:「こう、社会ってのは下をちゃんと優しく育てなきゃダメだよね。」

玄:「お前若手店主にやさしくないだろ(笑)。」

WC:かたや、店のために努力する若店主。かたや、無気力なフリーター。
ふたりの物語が始まる。

玄:不安だ…

簡単なやり取りですが、2人の関係や立ち位置が見えてくるでしょうか? ちなみに、『仮想』と頭についた登場人物は、ここにはいない人物を仮想的に見立てた冗談で頻繁に登場する、いわば妄想です。
『仮想』の人物が現れたらコントが始まったと思って読み流してください(笑)。

さて、まずはこのように、主人公同士、あるいは主人公とNPCの会話などによって場面が作られます。
そして、WCによる場面転換や事件の描写などによって物語が進行して行くのです。

さあそれでは、物語本編を見てみましょう。

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