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シャーマンを訪ねてVol.2

シャーマンの家にたどり着き無事に家に上がらせてもらう事になった。

緊張しながらそろそろと家の中に入って行くと50代ぐらいの体型がいいおばさんが中で肉を切っていた。笑顔で「中に入りな」と僕に手招きをしてソファに座らせてくれた。家の中は薄暗く、カマドと大きいテーブルにそれを囲む様に7〜8人ぐらい座れるソファが置かれていた。部屋の奥には人が寝れる用に台が敷き詰められていてマットとブランケットも用意されていた。

体型のいいおばちゃんは作業を途中で止めて、お茶とお菓子を用意してくれてもてなしてくれた。

少しするとノソノソと腰が少し曲がっている高齢の女性がしかめ面をして入ってきた。僕を見るやいなや何か話しかけてくれたけど、もちろんなに言っているかわからなかった。理解できずとりあえず英語でHelloと答えると表情をひん曲げて、自分のベットに入って行ってしまった。

お茶を飲んで沈黙しているとロシア人の団体が部屋の中に入って来た。彼らはわざわざロシアからシャーマンに会いに来ていた。その中の一人の女性は杖をついていてどこか身体が不自由なのが見て取れた。さっきのしかめ面のおばあさんがノソノソとみんなが集まるテーブルの周りに座り話し始めた。

そうそのおばあちゃんこそがシャーマンのビファティマ・デゥアレトワだった。みんなと少し話すと儀式なのか祈りなのか、一人一人の頭にスカーフを巻きつけて強く引っ張り、そのあと首の根元を肘で叩いて行く。なんの意味があるかは聞く事はできずにただその光景を見つめていた。

全ての人にその儀式をすると体型のおばちゃんに「今夜泊まるのか?泊まるなら外でも散歩してきなさい」と言われるがままに外に出て少し家の周りを歩いた。家の敷地内には牛、羊、鶏、ガチョウ、山羊などいろいろな種類の動物が飼われていて家から少し歩くと丘と川が流れていた。

部屋に戻るとさっき英語で家に招き入れてくれた男性が座っていた。彼に少し通訳してもらいここに滞在してもいいが3日以上はいなさいとビファティマ・デゥアレトワに言ってもらえた。

英語の話せる男性の名前はダニャール。これから彼と行動を共にして行くのだが、彼も特別な物を持っているらしく、ヒーラーをやっているらしい。彼はここに3年前から通っていて、ある時ビファティマ・デゥアレトワの息子に「みんな歳を取ってしまい働き手がいる」と連絡が来て彼らの家の敷地内にある農場を手伝う事になったという。彼のおじいさんが農場を持っており小さい頃から家畜の世話などは手伝っていたらしい。次に日から彼と一緒に農場を手伝う事になる。

その夜寝ているとビファティマ・デゥアレトワが何か寝言の様な、人に話しかけている様な、感じで話している。時々声を荒げて何かを訴えている。次の日の朝ダニャールがその事について話してくれた。

ビファティマ・デゥアレトワは昨日僕らの上にいるものと話していたらしい。それはイスラム教の彼らは神と呼び、僕がバリにいた時は宇宙と呼んでいる人もいたし、ある本では大いなる存在と呼んでいた。

ビファティマ・デゥアレトワはもう80歳を超えており体力的にしんどいらしく、もう充分やる事はやったと訴えていたらしいのだが、彼らからはまだ続ける様にとお告げを受けたらしい。

シャーマンという者は人以上に色々感じ、見え過ぎてしまい、辛いのだろうと僕は察した。ビファティマ・デゥアレトワを見ていると幸せそうかと言われるの「no」だが僕ら一般の人と彼らの幸せの形は違うのかもしれない。

東京や日本に住んでいるとそんなオカルト話と思う人はいるかもしれない、しかし多くの国を旅をしていると僕らの常識の範囲では説明できない出来事が多く目にする事がある。

そんな出来事に出会ってしまうと自分の信じていた物は壊れ落ちて行き、正しいも間違えもないのだと気がつく事がある。

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