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呼吸と繭

締め付けられる思い出の枷
ゴルゴダの丘は見えないまま
それぞれが過去を背負って歩いている

わかりにくい茨の冠
罪を図る天秤は透明で
罰を受けたがる犬のように
欲しがるがそれも与えられない

引き上げられる希望の亡骸
そこから無数の蝶が羽ばたいて
夢は蛹で毎晩生まれては消えて
想いはいつも見失われていく

礫刑の自意識は眠りを許されず
不確かな確かさは身を苛むが
赦しを願うより欲望を息絶えさせぬよう
そればかりを考え血を吐いている

宙に浮かぶ不安な繭
隙間から夜が忍び寄り
夜は私に呼吸をさせる
生かさぬように殺さぬように

月に満ちて海に消える

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