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小説

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小説的ななにか
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#忘却の彼方

きみのかお

きみのかお

笑顔を見たいという気持ちと、寝顔を見たいという気持ちの均衡は、早寝早起きの習慣のある彼女に対しては、あまり有効ではないことに気がついた。

おはようから、おやすみまでを百獣の王(仮)に見守られ、歯磨き粉を買うように催促されるなかば脅迫的なビジネスのCMが流れるテレビを見ながら、伺うように鼻歌をくちづさむ彼女は機嫌が良さそうだ。

千変万化とまではいわないし、機嫌でコントロールを失う波間の船のような

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