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木守の柿

秋になると子供の頃は,近所の農家のところへ行き,柿もぎをしていました。
あの頃の子どものほとんどが,スイスイと木登りができました。
高い所にあってどうしてもとれない柿は,竹竿の先端を鉈で割り,
そこへ木棒を差し込んだ道具を使っていました。
木の棒を差し込んでいるので,先端が少し開いているのです。
そこへ,柿が実っている小枝を入れて,ぐるっと回すと枝が折れて柿がとれるという具合です。
そんな柿もぎをしているところへ,おばあちゃんがやってきて,
「全部の柿をとったらいけないよ。2つは残しておくように」と言っていました。
「どうして」とたずねると
「1つは,鳥のためもう一つは神様のためにとっておくんだよ」
と教えてくれました。

これを,
「木守の柿」ということを,倉本聰さんの本「流れ星,破れた」(幻冬舎)で知りました。

近所の柿の木にも,ボチボチと実っています。
しかし,これは渋柿っぽいです。
渋柿は,吊るし柿にすると甘くておいしくなります。
これも,子供のころ,おばあちゃんに教えてもらいました。

遠い昔の懐かしいの話です。